樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

TARASEA

2009年05月06日 | 木と作家
私も知らなかったし、多分みなさんもご存知ないと思いますが、タラセアという木の絵があります。象嵌(ぞうがん)による木のアートをスペインでこう呼ぶらしく、中世の教会や宮殿に今も残っているそうです。そのタラセアのおそらく日本で唯一の作家、星野尚さんの展覧会が大阪で開かれたので見てきました。

       

約80種類の木を使って、着色せず本来の色や木目、節、虫食いの穴もそのまま生かし、小さなパーツに切り取って嵌め込んであります。事前にwebサイトで確認はしましたが、実際に自分の目で見ると想像以上にカラフルで、気が遠くなるほど細かいハンドワークでした。

                

似たような伝統工芸に箱根の寄木細工がありますが、こちらはもっと薄い木片で、絵画というよりも器や箱のデザインとして幾何学模様が描かれます。
また、焼きゴテで板を焦がして絵を描くバーニングアートという手法がありますが、星野さんも陰や輪郭を描くときは焼きゴテを使うようです。

       
     (タラセアの技法サンプル。基板に細かい木片を嵌め込んで描きます)

サクラ、ケヤキ、ブナなどの国産材のほか、チーク、シタン、コクタンなどの洋材も使われています。絵のサイズは、おおよそA4サイズ。モチーフによって細長いものや正方形のものもあります。

                

        

スペインの古い石造りの建物を描いた作品が多く、ご本人は「木で石を描く」とパンフレットに書いておられます。スペインの美術専門学校で学び、その後も現地で何度か個展を開催されているので、その時のスケッチが下絵になっているのでしょう。
1枚部屋に飾りたいですが、私が手を出せる値段ではなかったです。
コメント (4)
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