樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

木のマルチ商法

2009年05月04日 | 樹木
桐の苗木3本をオーストラリアで育成・管理する権利を25万円で販売する会社があります。その際、会員を紹介すれば毎月数万円の報酬が得られると勧誘したため、経済産業省から特定商取引法違反で3ヶ月の業務停止命令を受けました。
その会社のホームページを見ると、植えるのは桐を改良したスーパーポローニアという品種で、通常なら成木になるまで20年かかるところ4~6年で成木になるとか。「地球環境改善に貢献するプロジェクトです」とも書いてあって、エコを餌にしたマルチ商法のようです。

       
              (桐の花。ちょうど今ごろ開花します)

桐材として販売すれば収益が上がるという触れ込みで出資金を募り、実際にオーストラリアで植林しているようですが、桐材はそんなに高く売れるのでしょうか。
ご存知のように、日本では女の子が生れたら庭に桐を植えて嫁入り道具のタンスの材料にすると言われてきました。でも今は、伝統的な桐のタンスを嫁入り道具に持っていく人は少ないでしょう。家具以外にも箱、琴、下駄など用途は広いですが、投資の対象になるほど収益性があるとは思えません。

       
               (桐の幹は白っぽいのが特徴)

それでも、業務停止命令が出るまでに約3万人の会員を集め年間30億円を売り上げたそうです。よく考えれば木材でそんなに儲かるわけがないと分りそうですが、大手家具メーカーと取引契約があるというウソの説明もしていたようですし、「桐のタンスは高級」というイメージを持つ高齢者が「環境にもいいから」と思って罠にかかったのでしょう。
それにしても、ついに樹木を餌にしたマルチ商法が出現したんですね。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする