樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

音響と木

2008年08月27日 | 木と楽器
ビクターはスピーカーのコーン(振動板)に木を使っています。これまでは紙やプラスチック、金属などでしたが、世界で初めてウッドコーンの開発に成功したのです。
樹種は樺。カバノキと言ってもシラカバ、ダケカンバ、ミズメなどいろいろありますが、多分ウダイカンバのことでしょう。
カバは音の伝達速度が速い(=立ち上がりいい)、残響を抑える(=音に濁りがない)、他の素材のような共振がない(=音がなめらか)など、理想的な音響特性を備えているとか。他にもシナノキ、ブナ、オーク、チェリー、スプルースがテストされましたが、カバが最もいい数値を示したようです。

       
       (コーンの木目が見えます。この非均一性が共振を防ぐとか)

振動板に木を使うアイデアは以前からあったものの、薄いコーン状に加工する技術がなかったそうです。ところが、開発者が飲み屋でスルメイカを一晩日本酒に漬けると伸びることを知り、薄い木のシートを日本酒に浸せばひび割れせずにコーン状に加工できることを発見。世界初のウッドコーン開発に道が開けたという話です。
また、キャビネットにはタモ、マホガニー、カリンなど9種類をテストしてチェリーを採用。さらに、吸音材もそれまでの綿からチェリーのチップに切り替えたそうです。
樺と桜は全く違う種類ですが材質はよく似ていて、家具業界で「サクラ」と言えばカバを意味しますし、木材(カバ)を「カバザクラ」と呼んでいます。音響の世界でも樺と桜は相性がよかったんですね。

       
            (わが家のスピーカー。デカいので横置き)

ビクターはこのウッドコーンの技術をヘッドホーンにも展開し、本体と振動板に木を使った製品を発売しています。
わが家のリビングルームには20年以上前に買ったバカでかいスピーカーが鎮座しています。昔流の3wayですが、おそらく3つとも紙でしょう。そろそろ換え時かな~?
コメント (4)
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