樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

桐の下駄

2008年08月11日 | 木の材
宇治に最もたくさん人が集まるのは花火大会。昨年は22万人でしたから、宇治市の人口(19万人)よりも多い人が押し寄せたことになります。毎年8月10日に開催されますが、今年は日曜日と重なったので例年以上の人出だったでしょう。
わが家から1kmほどの場所で打ち上げられるので、毎年ゆかたを着て下駄を履いて、すぐ近くの特等席で見物します。

       
                   (玉屋~、鍵屋~)

その下駄について、私も知らなかったのですが、男物と女物はサイズ(長さ)が同じなんですね。玄関にそろえた時、美しく見えるようにそうなっているそうです。
実際、私と妻の下駄を比べたら、どちらも同じ23.3cm。踵を下駄からはみ出させて履き、足の大小に対しては鼻緒の締め具合で調節するのが基本だそうです。

       
             (男物と女物は幅は違っても長さは同じ)

作るときは、左右同じ木目になるように、背中合わせにして木取る「拝み取り」という方法が用いられます。シンメトリーに仕上げるだけでなく、重さや歯の減り方を同じにするためでもあるとか。下駄の材はご存知のようにキリですが、別の原木や同じ原木でも離れた部分から木取ると重さが微妙に違うそうです。
私たちは下駄の音を「カラン、コロン」と表現しますが、職人に言わせると「カラン、カラン」と左右同じ音で鳴らないといけないそうです。

       
                  (妻の下駄はうづくり)

しかも、高級品は「うづくり」といって木目を浮き立たせて仕上げます。カルカヤの根で磨いて、キリの軟らかい部分を削り、硬い木目(年輪)だけをすこし浮かせて細かい凹凸をつけるのです。これによって畳のような感触が生まれ、ベタつかない、疲れにくいという利点が生まれるそうです。
現在は年に数回しか履きませんが、いろんな知恵が込められているんですね。
コメント (6)
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