樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

樹を守るべきか、鳥を守るべきか

2008年08月20日 | 木と鳥・動物
家から8kmほどの所に勧修寺というお寺があります。境内には氷室池という蓮の名所があり、今がちょうど満開。池の中には島が築いてあります。
最近、その島の樹木にたくさんの野鳥が棲みつき、多量の糞によって樹が枯れつつあるそうです。犯人はコサギ、アオサギ、カルガモ、カワセミの面々。普通のお寺なら鳥を追い払って樹木を守るでしょうが、勧修寺の場合そうはいかない事情があります。

       
             (蓮の花がたくさん咲いている氷室池)

勧修寺は皇族である山階(やましな)家ゆかりのお寺。日本の野鳥研究の基礎を築き、私財を投じて山階鳥類研究所を開設した山階芳麿博士の菩提寺なのです。池の前に双眼鏡を置いて野鳥が観察できるようにしてあるのも、そうした縁からでしょう。
野鳥と関わりの深いお寺だけに、住職は「糞害は広がりつつありますが、鳥たちの楽園を何とかして残したい」とおっしゃっているそうです。樹を守るべきか、鳥を守るべきか、悩ましい問題ですね。私が訪れた日も、樹上の巣でコサギの幼鳥が2羽うごめいていました。

       
                  (左の樹は枯れています)

鳥の糞害による樹木の景観破壊は琵琶湖の竹生島でも発生しています。こちらの犯人はカワウ。糞による悪臭や観光被害が深刻化したため、数年前に滋賀県が駆除に乗り出しました。野鳥研究家も参加していろんな方法が試されていますが、なかなか効果は上がっていないようです。
もし私自身がこういう究極の選択を迫られたらどうするかな? 例えば、庭木が鳥の糞で枯れるという状況になったら…。鳥には悪いけど(ゴメンネ~)、やはり追い払うでしょうね。樹が枯れたら、私もせつないし、鳥もいられなくなりますから。
こうした問題の背景には、周辺の環境が悪化して野鳥が棲みづらくなり、社寺林や無人島などに集中せざるを得ないという要因もあるようです。
コメント (2)
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