樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

400年前の土木工事

2007年09月12日 | 木造建築
テレビや新聞で報道されたのでご存知かも知れませんが、豊臣秀吉が築いた堤防が宇治川沿いのマンション開発用地で発見されました。
徒歩15分の場所なので、説明会に行ってきました。「近所の人が100人くらい集まる程度だろう」とタカをくくっていたら、1回目の説明会だけで約300人。しかも、報道用のカメラがあちこちにセットされていて、上空にはヘリコプターも飛んでいました。それほど重要な発見だったんですね。

      

1600年頃、秀吉が伏見城を築く際に、物資運搬や治水のために宇治川の流れを変えたと言われていた「太閤堤」。その文献上の記録が、今回の発見で裏付けられたそうです。
堤の幅は5.5m、高さ2.2m、法面の角度は30度。写真のように割石をきれいに並べて護岸してあります。今回はマンション用地内の75m分だけが発掘されましたが、昔の記録や地図から測ると総延長は約12kmに及ぶそうです。
私が関心を持ったのは、水際の石が流れないように打ち込まれた木製の杭。「立入禁止」なので近くには寄れませんが、直径20cmのマツ材だそうです。

      
         (400年前のマツの補修杭が残っています)

400年前の土木工事の杭が残っていることは驚きですが、さらに昔の土木工事も発見されています。弥生時代の集落跡である登呂遺跡(静岡県)では、水田の区画工事に大量のスギ板が使われていたそうです。こちらは2~3世紀の遺跡ですから、1700年前の工事の木がまだ残っていたわけです。
当時はまだノコギリがありませんから、スギを伐るのも、そこから板を作るのも並大抵の労力ではなかったはずです。昔の人の知恵やエネルギーもスゴイですが、今まで残ってきた木もスゴイ!

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コメント (2)
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