以前、高知県に面白い人がいて400種類もの木でスプーンを作ったことをご紹介しましたが、大阪にも負けず劣らず面白い人がいます。
解体される家をウクレレにして残すという活動をしているアーティスト、伊達伸明さん。先日、その伊達さんとギターデュオ・ゴンチチの片割れであるチチ松村さんのトーク&コンサートが大阪で開かれたので行ってきました。
左が伊達さん、右がチチ松村さん
伊達さんは京都市立芸大で木工を学んでいたときに楽器づくりに目覚め、卒業後は建築物そのものを楽器にすることに挑戦。その後、バブルの頃に古い建物が次々に解体されるのを目にして、楽器にして残せないかと考え、ウクレレを作ることを思いついたそうです。
たとえば次のウクレレは、2002年の大阪・中座の火災で類焼したバー「路」のウクレレ。表板はカウンターの天板、ネックはカウンターに取り付けてあったバー、ヘッドはインテリアの丸い刳り物を使っています。
ヘッド
作品に触れないので写真はないですが、裏板はカウンターの腰板で、お客さんの荷物をぶら下げる金属のホックがそのままついています。指板だけは別誂えのコクタン。
次は、新世界厚生会館のウクレレ。終戦後は引き上げ兵の一時宿泊所、その後は簡易宿泊所や民宿として使われてきた建物の正面玄関の扉で作ってあります。
表板は扉の蹴込板、側板とネックは扉の枠木、ヘッドは表札。写真はないですが、裏板は扉の窓ガラスで、ご丁寧に中には当時のカーテンも張ってありました。
ステージでは伊達さんが各ウクレレの経緯を説明しながら、チチ松村さんがそれを演奏するというスタイル。どれも音がちゃんと出ていました。このウクレレは裏板のガラスのせいか、ギターでいうドブロみたいな響きでした。
次の派手な1本は通天閣歌謡劇場のもの。リニューアルされる際に廃棄された建材やディスプレイを使っています。
表板はステージの上の壁紙と「通天閣歌謡劇場」の切文字の「天」、側板はステージの腰板、裏板は柱を剥いだ木材。出演者の看板札で作ったヘッドには、ステージの飾り物もついています。
いや~、世の中には面白い人がいるもんですね。
すでに60本以上のウクレレが完成していて、個人の家を解体する場合も1件約20万円でウクレレにして残してくれるそうです。
希望者は伊達さんのサイト「建築物ウクレレ化保存計画」までどうぞ。
ほんとに面白いことを考える人がいるものですね。
ウクレレは大きさ的にちょうどよいし弾きやすいからいいのでしょうね。
バイオリンだと大変そう・・・(笑)。
ウクレレになるのは杉が多いのでしょうかね。
でも指板だけは別というのは納得しました。
壁に飾っておくにも、ギターでは大き過ぎますからね。
この日は5本のウクレレが展示されていましたが、うち4本は指板は別誂えのコクタンでした。1本だけレストランの床板を指板に使ったものがありました。
材質については不明ですが、スギやヒノキ、ナラなど建材によく使われるものでしょうね。