ライターの脳みそ

最近のマイブームはダム巡りと橋のユニークな親柱探し。ダムは目的地に過ぎず、ドライヴしたいだけ…。

根気よくリズムを教えること

2006-10-13 04:30:59 | 音楽あれこれ
一般の人に歌を教えるうえで最も難しいのはリズムではないかと最近思うようになった。一見簡単に見えるシンコペーションや三連符なのに、それがなかなか理解できないのである。特に三連符の場合、強拍上に音がないケース、つまり3つある音の最初が前の音からタイでつながっている、もしくはそこが休符になっていると、もうお手挙げ状態。

ならばそんなリズムの曲を教えなければいいじゃないかと思うだろう。できればワシもそうしたい。しかしこの教室は生徒さんたちが楽しみながら歌を覚えるというのが主旨。取り上げる曲は老齢の生徒さんたちの歌いたい曲が最優先されるのである。

ある意味で知らないことは恐ろしい。いい曲だなと思っても実際歌うのが難しい曲はたくさんある。でも生徒さんはそんなことはおかまいなし。「この曲が歌いたいんですけど…」と容赦ない提案をしてくる。その楽譜を見るとリズムがめちゃくちゃ難しかったりする。本人が歌いたいというのにダメですとはなかなかいえない。そこがツライところだ。

ツライといえばリズム感を養うためのソルフェージュ教材を導入しにくいこと。なぜ導入できないかというと、それらの教材は彼らにとっては自分の歌と無関係のものと思っているから。すなわち興味のないものに楽しみは見いだせない。だからある種無味乾燥な教材は苦痛だという理屈である。ここが受験生などを教えるのとは決定的に違う点だ。

ならば対策はどうするか。結局は根気強く「穴埋め」をしていくしかない。うまく歌えないリズムが出てきたらその都度そこだけを取り出して反復練習させる。それを繰り返していけば最終的にちゃんと歌えるようになるハズ。

注意しなければならないのは、彼らが歌いたい曲だからといってそのリズム練習を厳しくしてはいけないこと。できるだけ早くそれを習得するにはバシバシ教えるのが早道だが、相手はあくまで趣味で楽しく歌いたいと思っている人たち。苦痛だなと思わせてはいけないのである。

じゃあ、どうするかというと、ほれ、そこは、まあ軽妙なジョークを織り交ぜながら進めて行くのですよ。そして少しでも上手くできたら即座に褒める。「よっしゃ、よっしゃ、今のいいですね!」とか「そうです!そうです!そんな感じです!」とか。もちろん、褒めちぎるのはよくない。おだてていると思われたら次第に信用されなくなるからね。

何回繰り返してもできないことはある。そうなると生徒さんは自分の不甲斐なさでヘコんでくる。でも、だからといってこちらの判定基準を甘くしてはいけない。あくまで設定した目標は変えず、励ましながらレッスンを続けていくのがよい。実際にはそのあたりの「さじ加減」が本当に難しいのだが。

でも、ひとつだけ確かなことがある。こちらが一所懸命取り組めば相手にその熱意は通じるということ。苦手なリズムを一緒にマスターしましょうねという気持ちで接することが相手の頑張る心に火をつけるのかもしれない。それでいいんじゃないだろうか。
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