湘南オンラインフレネ日誌

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自学教材ヒント集に《複雑な動きのおもちゃを作ろう・クランクとカム》を載せました

2005-02-20 06:06:48 | フリースクール
--- 今回は以下の教材の解説です。

●自学教材ヒント集《複雑な動きのおもちゃを作ろう・クランクとカム》


 今回は動力伝達機構の中の「クランク」と「カム」を考えてみた。この両者も歴史は古い。古代文明の石臼の取っ手もクランクの一部だし、中世の水車小屋の杵を落とす機構には「カム」が使われている。中国の機械文明はシルクロード経由だけではなく独自の文化の所産もある。カムが果たして欧州から伝わったものであるかどうかは定かではない。日本はその中国の影響下であったが、江戸時代に入ると出島経由の西欧文化の影響も強く受けながら独自のからくりを生み出していく。

 僕が驚いたのは茶坊主の人形の足元の車輪が傾いている事だ。芸が細かいというか、技はそこまで磨かれていたのだ。

 最近の子どもの遊びには、動きの仕掛けを作ることが遠のいている。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の朝食作り機風の仕掛けを作ろうということで、メモを描かせたことがある。中1だったが、梃子や滑車が登場した子が圧倒的に少数派で、矢印や吹き出し説明派が圧倒的。因果をつなぐイメージも途切れ途切れだった。小学生の方が描けるので、機構そのものを知らないのではなく、想像の弾力がなくなってきていると思った方が妥当だろう。

 科学アニメのロボットなどのマシン群も機構の意識は薄くブラックボックス的に機能モジュールが付け加わったり、機能しているように思う。霊力モデルとでもいうか、機能が宿っているに過ぎないのだ。円周上の点の回転時の軌跡サイクロイドをたどることもハードルが高い。

 三角関数の単振動のグラフのように分割して点を作ってそれを結んでいくという紙面操作を行えば、結果を見て納得するという具合だ。果たして表象の固着化と作業経験不足の因果がどのようにとれるかは怪しい気がするが、自転車のように同一平面上の動力伝播は納得できても、ラチェットとかラックとピニオンのような力の方向が変わるものが含まれるとなかなか納得しにくいのが現状だ。

 白状すると、そんな理由は実はあとから付いたのであって面白そうだから「カム」を扱ったのだが、機械工学の教材は、やっておく必要があるように思う。

 モーターのような動力を使うと、装置の強度がその回転に耐えられないで壊れることがしばしばある。むしろクランクハンドルの手回し式の大き目の模型を作った方が機構理解には向いているように思う。これならゆっくりまわしたり、途中で止めたりして、動きをとらえやすいからだ。これは実は認識論上面白いのだが、それは以降に譲って、カム作りの面白さを伝えたいと思うのだ。

 カムを描いて予想し、実験的に確かめるということを行うのだ。円周が静止ということに気づく子が出てくるし、複数のカムの角度が相互のタイミングになることを駆使し始める子も出てくる。

 注意することは上下するバーは、ある程度重さがないといけないし、接触部が角ばっているとひっかかることだ。ここをどうするかは、試行錯誤に任せたい。

 ただ穴から出入りするだけだが、実は結構工作が難しい。モーターを使うとバーにガイドの筒がないとはずれてしまったり、折れてしまう例もあった。だから手回しがいいのだ。

 気に入った動きを利用していく。ここからおもちゃを作っていく。ただここに移るのは、他の動力伝達法も経験しておくのがいい。クランク・ウォーム歯車・プーリー・輪軸は試してみるといいだろう。

 今、ロボット工学の分野は人体の動きの模倣と、機能純化した精緻な動きを追う方向と別れながら、からみあって進んでいる。コンピュータ制御などに比重が移っているが、その実験の際にも、ロボットを作らなければならないわけで、この単純な模型作りも、実用性がないわけではない。人体の関節が回転軸を持っていることを知覚するという時その背後には物理構造・機械としての人体モデルがある。これは一例だが、動きを理解する基準がそこに生まれている。だから意味合いは大きい。しかし、それを前面に立てるより、カムは面白いから遊ぶというところを大事にしたいと思うのだ。

 この実践(遊び)の延長に、機械を分解する試みをぜひ連続させて欲しい。結構はじめて見る機構も多いはずだ。

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