
新燃岳は、九州南部の霧島山中央部に位置し、有史以降も噴火を繰り返している標高1421㍍、山頂に直径750㍍の円形火口を擁する活火山として知られる。この新燃岳が6年ぶりに爆発的噴火を起こし、立入規制区域も当初より広がった。いつもこうした映像を見ると自然界の計り知れない力を想像する。これまでも新燃岳の噴火を知ると思いだすことがある。
この新燃岳の西方、立入規制区域内に入る処に大浪池(湖)がある。かっては大波池と称したという。この池は標高1411㍍にあり、水面は海抜1241㍍、池の周囲約2㌔、水深は10㍍強と言われる。この大浪池を見下ろしたことがある。1958(昭和33)年の春、高校の修学旅行でのこと。麓の宿についてから希望者だけで夕食前に登った。見下ろした真っ青な湖面の印象は60年余り過ぎても思いだせるが、周囲の景色などは記憶に乏しく、遠景に見たであろう新燃岳も同じだ。
アルバムを探すが山頂での写真は見当たらない。今なら、ふんだんに写真を撮っただろうがその時代はカメラが各家庭にある時代ではなかった。下山して全員が揃ってしたことは靴の洗濯だった。その日の気象状況は覚えていないが、靴が泥だらけだった。野郎ばかりの修学旅行一団とはいえ誰いうこともなく靴洗いをした。その後の楽しみな夕食にクジラのおばいけが出た。こんな標高の宿にはふさわしくないなどと思いながら食べたことを何故か思いだす(笑)。
今のところ溶岩の流失は見られないが広範囲に渡って降灰の影響が出ている。風下に当たる地域のこれからの生活に大きな影響が出なければよいがと心配する。登校児童がヘルメットにマスク着用、その徹底した姿に、活火山と近接する人らの日ごろの備えを感じ、火山以外にも気配りしたい。ただ、飛んでくるミサイルにはすべのないことを憂う。