
今年の土用の丑の日とは7月19日(土)と7月31日(木)。なぜこの日はうなぎを食べるのか、高価で縁の薄い私にも現役のころの思い出が一つある。ある年の土用の丑の日、熊本市の関係先へ出張で訪問していた。用件が済んだとこで訪問先の社長から「今日は丑の日、熊本でうなぎが一番美味い店にご案内しましょう」と社有車で案内された。
店内は満席だった。運ばれてきた重厚な器の蓋を開ける。そこにはこれまで見たことも、もちろん味わったこともない身の厚い大きなうなぎがご飯を覆ている。箸を使うのを躊躇するくらいその豪華なうなぎ、ふわっとした箸触り、その味など以降こうした機会はなく、もう少し記憶に残しておけばよかった、とは後の祭りだ。
我が家は丑の日、ホテルのうな重を届けてくれる人があり居ながらにしてホテルの味を頂いだける幸せ夫婦でいる。今年も程よい時間に届き夕食で頂いた。日ごろ晩酌はしないが、今日はうなぎに敬意を表して日本酒を冷酒でぐい飲みで1杯、チビチビと頂く。ああ日本人だ。
うなぎの稚魚が獲れなくて養殖が思うに任せないという報道を見ると思い出す。小学校へ通う橋の上から、うなぎ籠を川舟に引き上げて、うなぎを取り出す光景を欄干にもたれかかりよく眺めていた。まあ食べた記憶はないが、環境の変化が川舟で天然のうなぎを獲れなくしたのだろう。もう元には戻せないだろう。
(今日の575) うなぎには源内の知恵疎ましい