日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

2日を3日に

2024年06月24日 | エッセイサロン
2024年6月24日 毎日新聞「はがき随筆」掲載

 働く人の実質賃金低下が続いている。年金支給額も同じことで、このところの物価上昇への対応に誰もが苦心している。
 牛乳売り場で聞こえてきた高齢者同士の会話。1パックを2日で飲んでいたが3日に延ばした」。何とも気の毒で情けない世情を嘆きながら思った。それは、かつて高度成長を担ってきた人らが年を重ねた今、楽しんで満足する食生活ができないとは情けない日本だと。
 湯水のように流れている政治にまつわる金、そこには庶民感覚など全くうかがえない。
 好きな牛乳をしっかり飲める政治をしてほしい。

 (今日の575) 永田町物の値上がり知ってるの
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教科書

2024年05月30日 | エッセイサロン
2024年5月30日 中国新聞「こだま」掲載
                 (私作の復刻版より)
 おはなをかざる/みんな いいこ。/きれいな ことば/みんな いいこ。/なかよしこよし/みんないいこ。
 平仮名書きの、この詩は、私が小学校に入学した昭和22(1947)年度の国語教科書に載っていた。子どもたちが遊ぶ様子を描いた挿絵とともに今もはっきりと覚えている。
 この詩を載せたページが岩国市の岩国学校教育資料館に展示されているのを先日、見つけた。黄土色に変わり何力所もテープで補修されていた。77年の歳月を感じさせる姿だった。
 戦前に使われた国定教科書の最後になる第6期(昭和22、23年度)と紹介されていた。平和と民主主義の教育が読み取れるとも記していた。
 22年といえば現在の6・3・3・4の学制が始まった年である。それまでの教科書では片仮名をまず習っていたが、この年から平仮名が先になったという。
 ということは、私は戦後の大きな変革の年に1年生になったわけだ。 50人余りの級友と、どんなふうに授業を受けていたのかは忘れてしまった。教室にあった2人がけの机、教卓そばのオルガンは記憶にある。夢と希望に燃えて勉学に励んだことが懐かしく思い出される。

 (今日の575) 平仮名に平和民主の姿着せ
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二人旅

2024年05月08日 | エッセイサロン
2024年5月8日 毎日新聞「男の気持ち」掲載

 5月は息子の義母の十三回忌に当たる。生前は地域の話役として多くの人から頼りにされておられた。しかし、病には勝てず60代半ばで他界された。そんな息子の嫁の母と妻の二人旅を思い出す。
 2人の旅は関西に住む孫の誕生から始まった。どちらどう誘っていたのか私には分からないが、私は妻から2人分の乗車券の手配を頼まれる。約束の日、2人は広島駅で落ち合い、乗車後すぐに車内販売のコーヒーを買い、持参の菓子を食べながら話し込んでいたという。
 2人で出かければ3、4日は孫と楽しみ、息子の嫁の案内で観光名所などを訪ねた。帰宅すると旅の話はよく聞かされた。そして次の旅を楽しみにしていたから、よほど気の合う2人だったのだろう。
 こんな話をなじみの飲み屋のママさんにした。「嫁の母と息子の母が仲良く二人旅、1年に何回もなんて珍しい」と驚いたが、そのうち羨ましい関係ねと認めてしまった。
 妻は、嫁の案内で訪れた観光名所がテレビに映ると、旅のあれこれを今でも思い出し、折々の孫の成長を交えながら話してくれる。
 いろいろな事情で家族旅行の少なかった我が家。子供から手が離れ、初孫を抱き、その成長をじかに感じる楽しい旅は、嫁の母も同じだったのだろう。今は孫からの写真と一緒に届く「ばあちゃん元気ですか」のLINE(ライン)を楽しみに待っている。

 (今日の575) 文字打てば孫とつながり旅費要らず
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年金支給日は窓口開けて

2024年04月23日 | エッセイサロン
2024年4月23日 毎日新聞「みんなの広場」掲載
 
 最近は働き方改革ということなのか、一部の金融機関では昼休みに窓口が閉鎖される。偶数月の15日は年金支給日だ。私の町では現金自動受払機(ATM)には順番待ちの列ができる。
 4月15日の昼前。私か信金の店内のATMで順番待ちをしていると、年配女性が入って来るなり「ありゃりゃりや」と声を発した。
 窓口に通じる入り口のシャッターが下り「11時半から1時間、お昼休み中」の張り紙が張ってあったからだ。彼女はATMを指し「私はこれが使えんので、窓口で引き出してもらうんです。また出直してこよう」と引き返した。
 ATMからは通帳を使っての引き出しもできるので手伝ってあげたかったが、金銭に関することなので、ためらわれた。張り紙には「お急ぎの方は電話を」とも書かれていたが、まず誰もかけないと思う。年金支給日は交代で休憩し、窓口が利用できるようにする工夫はないものだろうか。


 (今日の575) 年金日何をおいても引出しに
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ありがとうな

2024年04月06日 | エッセイサロン
2024年4月6日 毎日新聞「はがき随筆」掲載

 狹い通り。自転車に乗った数人の小学生が向こうからやって来る。運転中、似たような状況でヒヤリとした経験がある。
 子どもらの通過を待とうと車を左に寄せて止まる。先頭の子が「すみません」と一声、続く子も同じように声を出す。最後は「ありがとうございました」と言い、ぴょこんと頭を下げた。思いもしなかった言葉に驚きながら、いい子らに出会ったとうれしい気分になった。
 ルームミラーで子らの背中を追いながら、ちょっとした気遣いを分かってくれ、礼を残していった子らの一団に「ありかとうな」とつぶやいた。

 (今日の575) 子どもらの素直な言葉宝もの
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卒業式

2024年04月03日 | エッセイサロン
2024年4月3日 中国新聞セレクト「ひといき」掲載

 「お兄ちゃん、卒業式に来てもらえる」。式の直前に、高校3年生だった下の妹から頼まれた。
 この半年前に入院中の父が急逝、病身な母は父の死による心労も加わり伏せりがちだった。工場で働いていた私は3交代という勤務をしていた。記憶にある妹のすまなさそうな話し方からは、どうしようかと考えた末の頼みだったと思う。私は承諾した。           ‘
 卒業式は厳粛に進んだ。年配の父母に挟まれた若い身空を感じた。突然、降ってわいたようにあることに気付いた。今もはつきりと記憶している。
 「兄でもあるが、これからは親代わりとしても弟妹を守っていかなければいけない」と。身を引き締める何かを授かったような感じだった。「卒業式に参列してよかった」。今も思う。
 父の死の後、長男として家族を守るという心構えでいたが、それとは違った、より重さを感じるものだったと思う。    
 卒業式からほどなく私は結婚した。妻もよく理解し協力してくれ、弟や妹の結婚式はもとより、親戚や地域との付き合いなど多くの場で親代わりを果たした。            
 能登半島地震の被災地で行われた卒業式の報道を見て、その意味の深さを改めて思い返した。 

 (今日の575)老けている言われた裏に苦労あり
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産科の閉鎖 少子化を憂う

2024年03月21日 | エッセイサロン
2024年3月21日 中国新聞「広場」掲載

 岩国市の岩国病院が6月末で産科病棟を閉じ、分娩の受け入れをやめるという9日付山口総合面の記事を読んで驚いた。医療スタッフの確保が難しくなったのが主な理由とある。少子化対策が問われるこの時期に残念でならない。
 1884年に創立された歴史ある病院で、わが家に近くお世話にもなっている。その岩国病院など産科がある市内の民間の2医療機関に対し、市が2024年度から補助金を出すという記事を先日読んだばかりだ。それだけに驚きが増す。
 国は少子化対策として児童手当や出産・子育て応援給付金といった子どもや親に対する支援の拡充は進めている。だが、子どもを産む環境が整っていなければ少子化は止まらない。それには産科の支援も欠かせないが、対策は進んでいるのか。
 岩国病院に行くと、いつも妊婦の方を見かける。院内には生まれた子どもの顔写真も掲示されていて、ほほ笑ましい。この病院の子どもへの思いが絶えることがないように、関係者の努力をお願いしたい。

 (今日の575) うぶ声の聞こえし廊下笑みを呼ぶ
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「なぜ」と「考える」の大事さ

2024年03月12日 | エッセイサロン
2024年3月12日 毎日新聞「みんなの広場」掲載

 1日の本欄「不思議なことを考え続ける」という中学生の投稿を読みながら、小学2年の冬を思い出した。かなりの積雪があった朝の教室、担任から「何か質問があるか」と言われ「雪はなぜ白いのですか」、そんな質問をした。先生は黒板に大きな字で「なぜ」の2文字を書き、いろんなことになぜという疑問を持つことが大切だといった話をした。「なぜ」は私の心の中でいつの間にか定着し、いろいろな場面で使った。しかし、使いすぎはいけないことも教えられた。
 就職して教育を受けながら疑問に思うと、なぜ、と質問をしていた。ある時「考えてみろ」と宿題を出された。そのときハッと気づいた。学ぶということは教えを請うだけではない、自ら考えることが加わって身に付くのだと。それからは考えてから行動するよう心掛けてきた。
 投稿者の疑問点に対する視野の広さ、検討の方法など、これからが楽しみだ。

 (今日の575) なぜを何故忘れもせずに覚えてる
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裏金並ぶ「不明」あきれる

2024年02月18日 | エッセイサロン
2024年2月18日 中国新聞「広場」掲載

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、国会議員が政治資金収支報告書を訂正している。しかし、当事者に、問題解明のために内容を説明しようとする姿勢は全く見えてこない。
 所得税の確定申告受け付けが始まった。わが家は医療費控除の還付申告をした。領収書から支払った医療費を正確に転記し、診療・治療、医薬品購入、介護保険サービス、その他と仕分ける。対象外のインフルエンザ予防接種代は差し引いた。
 これに対し、今回の収支報告書の訂正では、派閥から高額の還流などを受けた議員に金額や日付を「不明」とする支出の計上があるという。「不明」が並ぶ写真を報道で見て、これが国民の代表のやることかとあきれた。
 還流分が課税対象にならないなら批判が高まり、国民の納税への義務愍さえも薄れかねない。
 裏金問題の解決と再発陌止には、さかのぼってなぜそうなったかを示し、そこから対策を議論すべきだ。各議員が説明貢任をしっかりと果たすよう求めたい。

 (今日の575) 国税の出番ですよと民の声
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支え合い

2024年02月07日 | エッセイサロン
2024年2月7日 毎日新聞「はがき随筆」掲載

 寒中のある日、暖かな日差しの中を散歩していた。
 向こうから、ゆっくり歩いてこられる二人はひと目で散歩中の高齢夫婦とわかる。それは、すこし下向きで杖をつく妻を支えるように付き添う夫。初めて出会う人だ。
 挨拶をすると、「気持ちいい日差しなので家内が外に出たいというので、久しぶりの散歩です」と立ち止まって笑顔。
 我が家は間もなくダイヤモンド婚。どちらがどうなるか分からないが、支え合えばゆっくりでも二人で歩ける。ダイヤモンドは贈れないが散歩なら可能。笑顔からそんなことが浮かぶ。

 (今日の575) 冬の日も心通じりゃ温もりが
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