荷馬車とは荷物を運ぶために馬に引かせる車。その馬を馬車馬といい、競走馬とは区別し見下げた感じで呼んでいた。わき目もふらずひたむきに働く人を「馬車馬のようだ」とも言った。昔の親たちの姿でもある。
子どものころ見た馬はみんな馬車馬。荷車を引くだけでなく牛と同じように農耕にもなくてはならない貴重な家畜だった。そんな馬も馬車を引くとき道の処かまわず糞をする。その量たるや少々ではない。今のご時世だったら大問題になろう。
運動の苦手な小学生のころ。「馬の糞を踏むと早く走れる」こんな他愛無いことを信じ、人の目線がないとき、特に運動会前にはそれを踏んづけ、走ってその場を去った。その効果があったという記憶は無い。
そんな馬糞がバラの根本に撒かれている。それもフカフカのベッドを作るために湯気のでるホカホカの馬糞を撒いたという。いまの世で大量の馬糞が手に入ることにも驚いたが、淑女の一団がバラが好きの一念で糞を掴むとはそれ以上に驚いた。
糞は「ん」ともいう。きっと皆さんいい「運」をつかまれる、そんなことを1人思いながら馬糞にちょっと触り、フカフカのベッドに咲く大輪のバラを見に来ようと決めた。
(写真:根本にタップリと撒かれた馬糞と喜ぶバラ)