江戸時代、長崎に滞在したシーボルトが観賞用に持ち帰り、1850年ころ英国の王立植物園にもたらした「イタドリ」が大問題を起こしているという報道がある。原因はその強い繁殖力が道路のアスファルトや家の土台を突き破る被害が大きく、新たな植え付けは1980年に禁じられ「最も破壊的な植物の一つ」と呼ばれる。
イタドリは日本など東アジア原産の多年草。日本で新芽などは山菜として煮物や炒め物としてた食べたという。乾燥させた根は生薬として使われた。効能は便秘や膀胱炎、咳止めなどに利用されるという。葉には止血作用もあるというから、医師シーボルトが持ち帰っても何ら不思議はない。当時、その強い繁殖力とそれを抑える天敵の無いことが知られていたかどうなのだろう。
英国から言えば外来植物だろう。この外来と名の付く生き物が我が国でも問題を起こしている。最近は殺人が冠としてつくわずか数㍉の「ヒアリ」が各地で発見されている。川にも沼にも草原にも動植物を問わず在来品種を脅かすものが増えた。もとは飼育や栽培などの放棄も原因の一つかと思うが手にしたものは終わりまで責任を持つことが人ではなかろうか。
イタドリ、子どものころには乾いた茎でチャンバラをしたり、のどを潤したり、水車を作ったりと中空の茎を遊びの中に取り込んでいたことを思いだす。近在を歩けばどこででも見かけるイタドリ、かの地で環境破壊物として植え付け禁止、駆除されるとは、さすがのシーボルトも診断できなかったのだろう。