歌人の谷村はるか(東京在住)さん、JR山陽本線大竹駅前からから岩国市美和町鮎谷行きのバスに乗車しての感想を「峡谷美 車窓から堪能」と題した短い紀行文が載っていた。これは「街に会う 旅を歌う」という連載で中国地方の街が紹介さる。訪れたことのある街だとより真剣に読んでいる。
「バスは大竹市と岩国市の共同運行で、業務委託されたタクシー会社のマイクロバス。バスはこんな道を?と驚く山峡の細い道、小さな集落を縫って山深く入っていく。弥栄ダムの大橋を渡るとぐるりの山の木々に目を奪われる。どこで降りていいの分からず終点まで乗ることにした。
バスというよりドライブして峡谷美を堪能させてくれる格安の大型タクシー、終点まで620円。終点の鮎谷から折り返し便に乗る。『もう帰るんですか』とバスの運転手。『バスに乗ることが目的なんです』と正直に話すと『はっはっはっ』と白髪の運転者さんが笑った」
所要で出かけたおり大竹から弥栄湖まで谷村さんの文章を思い起こしながら足を伸ばした。何度も運転しながら走っているが、この時期は上流へ向かうにつれて紅葉が広がる。谷村さんはこの紅葉に出会われなかったようだ。
弥栄湖畔のバス停で時刻表を眺めた。平日と休日で運行時間が変えてある。それでも1日5便。谷村さんは「折り返しの大竹駅行きは各停留所から少しずつ乗って、座席はほぼうまった。町内会の旅行みたいで楽しかった」と結んであった。
弥栄湖は国道186号線を広島・山口県境の小瀬川沿いに上る。大竹市内からおよそ20キロ。
(写真:歌人にも見て欲しい湖畔の紅葉、)