国の名勝・錦帯橋畔と近くの吉香公園の染井吉野は満開。桜も良く天気も良く、弁当を開く人らでにぎわっている。昨日の人出は「錦帯橋が落ちるかと思う」ほど多かったそうだ。落ちるほど、とは面白い言い回しだと聞きながら頷いた。今日の昼頃は桜を眺めたり写真を撮りながらゆっくり渡れた。
一帯の染井吉野は3千本と言われる。支えられた老木から樹皮のつやつやした若木まで年輪差はある。ただ、年輪に関係せずどの木も爛漫と咲き、短い花の命を謳歌しているようだ。そんな桜木の中に全国で2番目に古い桜の木が複数本ある。樹齢にかまわず今年も咲き誇っている(写真)。
吉川家の記録によるとその桜は1886(明治19)年1月21日に植えられたとある。明治時代の写真を比較すると現在と同じ位置に植えられていることから当時植えられた桜と考えられる、と小さな説明板にある。説明板が目に入らないのか立ち読みする人をほとんど見かけないが、今日は、説明板を写真に撮る年配の人を見た。単純だが何故かよかったと思う。
報道では職場の花見のため場所確保が新入社員の腕の見せどころらしいが、今年は開花が早く難を免れた新人さんも多かろう。何十年か昔、大卒新人が寮から直接場所取り出かけた。携帯などないない時代、公衆電話で確保できたと連絡してきた。残業なしで出かけたところ、かの新人君は熟睡。病かと思いきや隣の席の人が「一杯差し上げたら寝てしまった」。年輪を積んだ桜の木は毎年こんな光景を眺めていたのだろう。