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奥野修司「満足死」;講談社現代新書

2007年04月08日 | 「Weekly 読書感想」
 
満足死 寝たきりゼロの思想

講談社

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 恐縮ながら本書は著者から寄贈頂いた。
全国17都道府県に「満足死の会」があることを本書で初めて知った。“満足死”とは2・3人称の“尊厳死”と対比するとその意味がよく分かる。高知県佐賀町(現黒潮町)で在宅医療中心に診療所勤務の疋田医師の活動レポートを中心に高齢化社会の医療を論じている。
 例の「ナツコ」を10年近い著者独特な取材活動は評判になったが本書も4年かけている。著者と懇親した昨年には2月第一版の本書を含め、いくつかの取材執筆活動をしていたことになる。

 通夜の席で遺族に詳細な死の病状経過を語る疋田医師の描写を読むと末期癌に苦しむ亡母に“もう大丈夫ですから”と強く退院を迫り、自分の出勤しない日曜日、点滴等全ての治療停止を看護婦に命じ、入院3ヶ月目きっちり死に追いやった大宮日赤の当時の亡母担当医を思い出した。
 本書で疋田医師の説く「社会、生活、生物」の3段階死は考えさせられた。退職リタイヤ後の社会貢献活動はまだ社会死とは言えないだろう。介護5段階で義母がお世話になっている特養ホームの人々を思い浮かべ、“明日はわが身”を考えさせられた。
 著者は役所当局と摩擦を起こしつつも町の医療費を劇的に低下させた疋田医師の功績を讃えているが、決してヒーロ扱いにはしていない。とは言え「ナツコ」のときも感じたがサポートした男性、本書における疋田夫人や役所関係者等の主人公の周りへの人々へ微温的記述と著者の気配。新書版ながら重い内容だった。

 奥野さん、お贈り頂き有り難う御座いました。 (著者の奥野さんと)
  



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