高校野球は無事なのかな?

2005-02-15 20:17:29 | スポーツ

3f6ac1f2.jpg2月13日の弊ブログ「朝令暮改」でラグビー日本選手権で朝日新聞のロゴ入りのレフェリーのユニフォームにNHKが腹を立て、レフェリーの胸を写さないようにカメラマンが最新の注意を払っていることを「こどものけんか」的と書いたのだが、まったく料簡の狭い話だ。いっそのことレフェリーに試合中は両手で胸のマークを隠しておいてくれと頼めばいい。海岸で大波をかぶりビキニのブラを波にさらわれた胸の大きな女性のように胸をおさえたまま走ってもらえばいいだろう。一つだけ問題があるのは、手を上げられないとすると試合終了のノーサイドの笛を吹くことができないことだけだ。

さて、いまから大変気になるのは、夏の高校野球だ。朝日新聞の新人記者が地方支局に配置になると最初にやるのが、この高校野球出場チームへの密着取材だ。当然ながら甲子園球場には朝日新聞の海軍旗のようなマークが氾濫する。レフェリーの胸マークどころではない。

この夏の甲子園とNHKの関係を想起し、心配するところまでは、まだシロウト的インスピレーション。推測の達人なら、3月23日に始まる、春の選抜高校野球に注目する。
しかし、春の大会は毎日新聞がスポンサーではなかったかと思う方は、まだ読みが浅い。

毎日に対して行う社名露出限定策と全く違うレベルの規制を朝日に対して行うのも、不平等といえる。つまり、NHKが朝日をとっちめようとするためには、毎日にも同レベルで痛い思いをさせなければならないのだろう。


ジャーナリズムと上場の関係は?

2005-02-14 20:21:41 | 市民A
ライブドアのホリエモンのニッポン放送への奇襲(敵対的買収)は着々と進行している。愛読ブログである磯崎哲也氏のisologueはその資金的背景の手法を度々詳しく説明されているが、時々、ちょっと方向がずれたりして解説に苦労されている。なにより堀江社長の目的がよく見えない点に説明が困難な理由がある。ただし、フジサンケイ側の捨て身の反撃である、「株の25%取得後の上場廃止」というのも「予想のうち」という言い方をしているところから、様々な展開を考慮してその投資リスクを算定しているとは想像できる。いくつかの予想されるファクターによる結果と確率を数値化したものだ(というと難しいが、要はゴルフで一打目を林に打ち込んで、単に近くに出すべきか、ハイリスクでも一気に木の間からグリーンを狙うべきかを考えるようなものだ)。

また将棋の新竜王、20歳の渡辺明氏も日記の中で、堀江社長が「詰んでいる王様を穴熊に囲っている」とのくだりを紹介している。将棋的に言えば、もう負けるのだから,早く投了しろといているようなものなのだが、実は、堀江氏は将棋で言えば、「見落としのポカ」が多いともいえる。ご存知の仙台新球団を楽天にさらわれたのは記憶に新しい。少し前には、ネット銀行のイーバンクの買収を途中で断念している。事実まだ取得株は50%には届いていない(ただ、14日の月曜には一気に決着がつくかもしれない)。村上ファンドとの関係が明確ではないが、同じ六本木ヒルズ同士、綿密に打ち合わせは終わっているという線が臭う。

ただし、最大の問題は、堀江氏の真の狙いは何かということである。ジャーナリズムそのものを経営したいのか、あるいはメディアとして利用したいのか、それとも単に、株式の買戻しを要求して、売買差益を得たいのか、あるいはその他の理由なのか?まったくわからない。ただし、フジサンケイグループを狙ったのは、自分のポリシーに近い(あるいは遠い)からということではなく、買収しやすい構造だったからだろう。大きな会社を支配しているのが小さな会社であるのは西武鉄道-コクドの関係と同じだが、その小さな会社が上場しているというのでは、買収を待っていたようなものだ。

もちろんフジサンケイグループは危険を察知していて自分で買取株価を設定し51%の取得を目指していたところだったのだから、撒き餌をしたところ、集まった魚を横から網ですくわれたようなものだ。一旦、買取の株価と目標を公示したあと、株価を引き上げたり、目標比率を引き下げることは株主利益に影響がでるため、やりにくく、こうした構造的不備をつかれたわけだ。実は、昨年7月19日の弊ブログでも紹介したのだが、中国ハルビンビールで同様な事件があった。もともと3香港ドルだったハルビンビール株をすでに30%超のサブミラー社(英)が100%子会社化しようと4.3ドルで集めようとしたところ、バドワイザーのアンホイザーブッシュ社(米)が5.5ドルに上積し、全部買い取ってしまった(長期保有しようとしていた私の株は、特殊ルールで全部5.5ドルで買い取られて、ちょとだけ儲かったのだが)。

話を元へ戻すと、今、日本のマスコミはNHK、朝日系、読売系、フジサンケイ系、毎日-TBS系、日経ーテレビ東京系と6系統になっている。NHK以外は新聞がテレビをHOLDしている。ところが、その会社の経営について、どこまで公表されているかというと、ほとんど公表されていない。この公表されているとかいないということを分類すると、
A.一見公表しているが、内容がおおざっぱで不明瞭・・・NHK、朝日
B.テレビ会社は上場・・・TBS、日テレ、テレビ東京、テレビ朝日
C.親子とも上場・・・フジテレビジョン、ニッポン放送(ただしサンケイ新聞は非上場)
結局、新聞社は1社も上場していない。ただし、朝日新聞は決算を公開しているのだが、特にインターネット上で広く公開しているわけではない。数年前に朝日の企画関係の方に「どうしてネット上に開示しないのか」と聞いたところ、「上場していないし、決算のプロではないから」とよくわからない説明をうけたのだが、ちょっと数字が読めれば、たんまりと溜め込んでることはすぐわかる。また各テレビ局の決算書を見れば、どこも自己資本比率は50%を超えていて、どうみても個人企業のような比率になっている(実際に個人企業になってしまった新聞社もあるのだが・・・)。

また、ニッポン放送でも資産2、300億円、自己資本比率76%、(1,734億円)、経常利益約85億円、現金同等物587億円となっている。どうしてこんなに儲かるのか不思議でしかたないだろう。そう考えると、NHKは一番貧乏なのだろうか、あるいはもっとも不効率ということなのだろうか?そしてジャーナリズムの社員の給料の高さは驚異的なのだ。もっと高かった金融業界は激落したらしいので、業種的にはジャーナリズムか薬品が一番なのだろうが、そういう話題は新聞にもテレビにも雑誌にも出ない。

そして、現在のテレビ、新聞の状況を見ると、堀江社長がまじめにジャーナリズムに取り組もうと考えるとは思えないのだ。おそらく単に、売買益を狙っているのだろうと思っている。

また、仮に報道に口をはさんで、サンケイが今よりも右寄りや左寄りに変わってもあまりたいしたことは起こらないだろうとも考えている。テレビも新聞も、チョイスはたくさんあるのだし、その辺はまたあらためて・・・

そして、どうも新たな企業で海外からのTOBの兆候を感じているので、便乗させてもらおうと策を練ることにする。

朝令暮改

2005-02-13 20:22:22 | 企業抗争
あちこちで本業以外の企業抗争が起きている。ライブドアXフジサンケイ、三井住友X東京三菱、ダイエー入札問題、そしてNHKX朝日新聞。ニッポン放送のTOBをめぐるライブドアXフジサンケイ戦は面白いので別に稿を起こすとして、NHKX朝日新聞は結構本格論戦になるかと思っていたが、どうも低レベルな争いに陥っているようだ。ラグビー選手権2回戦、トヨタ対早稲田戦を生中継しないで翌日中継するとの発表をしたと思ったら、抗議多数によりまたも生中継に切り替えた。

選手のユニフォームに朝日新聞マークが入っているのかと思っていたが、どうも審判のユニフォームだったらしい。事前にユニフォームの広告はNHKに報告義務があったのに、ラグビー協会が連絡しなかったことによるらしい(というのは、いくつかの報道を読んで書いているだけなので、真実はよくわからない)。別に朝日の肩を持つ気はないのだが、どうも朝日に対する嫌がらせなのだろう。どっちもどっちで陰険だ。しかし、NHKはこの試合を放送しないのではなく、翌日報道すると言っていたのは、何と言う料簡なのだろう。1日送れて放送すれば、視聴率はほぼゼロに近くなるが、そんな番組を報道したら、それこそ「受信料を無駄に捨てた」といわれるだけである。チャンネルの私物化だ。それからもしかしたら、広告部分にモザイクでも入れて放送するつもりだったのだろうか。だいたい、本業の方の論戦はどうなったのだろうか?試合に出場するのが、前会長の出身大学だったから方針を再変更したのだろうか??

このNHKX朝日新聞、お互いに最初は威勢がよかったのに、決め手のパンチを出さずに、クリンチを続けてそのうち、もやもやして終わりにする気かもしれないが、モスキート級のボクサーの第10ラウンドような状態になっているのかもしれない。どちらも内部事件の多さには糸目がつかない。

さて、弱っちい同士の喧嘩の話では、かなり以前、赤坂の釜飯店で友人達と酒を飲んでいた時のことを思い出してしまう。結構有名な釜飯+焼鳥の店だったのだが、店内は狭かった。しかも座ったテーブルは奥の方だ(イタリアの諺に、「かまどに一番近い席でピザを食え!」というのがあるが、釜飯店でもそうだ。)。そして、近くの席で、お客同士の喧嘩が始まったのだが、なにしろアツアツの釜飯があちこちに並んでいるのだから危険だ。面倒なことが起こる前にと、仲裁に入ってみたが酔っ払いは言うことを聞かない。こちらも当時は元気がいい方で、相手二人は小男だったこともあり、面倒くさくなり、二人を店の外に追い出して、「喧嘩は外でやれ!」と言って、また酒席に戻る。そして仲裁失敗のことなどすっかり忘れてしまう。

そして30分ほどして、炊き立ての釜飯でいい気分になっていると、なにやら外が騒がしい。頃合ということで、カネを払い外に出ると店の前に人垣ができている。そして警官の声が聞こえる。人垣の中が見えなかったのだが、道端に頑丈そうな自転車があったので、壁際に自転車を固定して荷台とサドルの上に土足で乗って、覗き込むと、さっきの二人がまだ絡み合っていて、数名の警官が取り押さえようとしている。どちらも相手にとどめをさすことができず、だらだらと喧嘩をしていたらしい。もうめちゃくちゃだ。さっき店の外に追い出したことの責任を追及されるのもかなわないので、早く立ち去らねばと思ったところ、友人が慌て顔で、早く自転車から降りるようにせかす。サドルの上に土足で立っているこの自転車をよく見ると白塗りだった。

この2大マスコミの喧嘩にはだいたい仲裁者がいない。しかし、釜飯をひっくり返すほどの力もないようだ。さらに、どちらも視聴者や読者の支持を失うのだろうが、かたや受信料徴収、かたや新聞販売店の公表する水増し読者数により、大きな損害も起きないのだろう。

三菱村と一本の坂道

2005-02-12 21:14:28 | 美術館・博物館・工芸品
7f30e730.jpg三菱自動車工業はとりあえず、「銀行、重工、商事」という三菱の中心企業の増資と融資でつぶれない(あくまでも短期的な話だが)。非財閥系商社の部長さんは、宴席で高笑いをしながら、「財閥の世紀は終わった」と言っていたが、「あなたの会社だって五十歩百歩」と言いたかったが今後の商談の可能性もあるのでやめた。三菱石油が日本石油に吸収され、三菱銀行は東京三菱となってバラ(?)のマークになり、ここで自動車まで身売りすると、街の中から三菱マークがなくなるところだったのだが、かろうじてマークは残っている。

ところで、上野不忍池の近くに三菱村がある。三菱経済研究所の大きな建物の中に三菱史料館がある、そして隣地には岩崎家の本邸が修復され、「旧岩崎邸庭園」として公開されている。旧岩崎邸は庭園として公開されているが、庭園はそれほどでもない。やはり住居の方が価値がある。しかし、ヨーロッパの古城のようにお宝がいっぱいということはなく、どちらかといえば何も無い。

そして、隣地の三菱研究所は平成8年に建った、立派な鉄筋コンクリート造りである。その一角、数部屋が史料館で、創業間もない頃の政府からの文書類などが展示されているが、少し寂しい。やはり重要なものは展示されていないのだろう。そして、三菱グループの資産を垣間見ることができるのだが、この上野だけではなく、あちこちに土地と設備を持っていることがわかる。堤家と異なり、郊外ではなく都心に土地がある。

ところで、この岩崎庭園と史料館の間は、一旦、敷地外に出て一般道を歩くことになるが、そこには坂があり「無縁坂」と表示されている。「無縁坂」といえば”さだまさし”が同名の暗い曲を作っているではないか。しかし、周りには歌詞とイメージの違う立派なお屋敷が多い。これこそ、歌詞と現実は無縁だ。

あまりに「無縁坂」のイメージに違和感があり、後で調べてみると坂を上りきったところに「無縁寺」があったことから、この坂道に無縁坂と名がついたそうだ(ファイアストリートみたいなものか)。そして、さらにこの無縁寺について調べてみると、無縁寺はここだけではなく、江戸中に多数あったことがわかった。回向院は、その中心的な存在で、元々振袖火事で多数の身元不明の焼死体を弔うところから始まったらしい。その他、様々な理由で、引き取り手のいない無縁遺体が日常的に多数発生したのだろう。江戸の裏面史は今やなかなか知ることが難しいのだが、少なくてもスリーダイヤモンドヒストリーよりは面白そうだ。

ジーコ最後の日(ではなかった)

2005-02-11 21:18:23 | スポーツ
34151604.jpgアジア最終予選1回戦をテレビの生放送で見ることができず、さらに、最初と最後の5分間の録画に失敗してしまった人には、この試合は0-1で北朝鮮が勝ったと思えてしまうかもしれない。1点目は開始まもなくのFKがそのままゴール。1-1の同点での後半ロスタイムは偶発的な2点目で初戦勝利。

思い出すと、一次予選の1回戦のホームでのオマーン戦も、ロスタイムに入り、ゴール前に放り込んだロングパスのクリアボールが偶然、中村俊輔の足にあたり、たまたま久保の前にこぼれたのをゴール。今回も、外からのロングボールをキーパーがパンチしたこぼれ球を福西がゴール前に流し込んで、そこにいた大黒が振り向きながらシュートしたら、誰もいないところへ転がっていったわけだ。オマーン戦の時は、インタビューで久保が俊輔のパスを持ち上げていたが、前ワールドカップ落選者同士の友情だなと思ったが、今回の大黒は友情が湧くほどはみんなとプレーしていない。

ということで、北朝鮮では組織プレーが全く機能していなかった。小笠原のプレーは完全に読まれていて、ほとんど突破ができなかった。北朝鮮の攻撃も単純だったか、日本はもっと単純だった。日本、北朝鮮、イラン、バーレーンの中で、FIFAランキングでは一番下の北朝鮮とホームでこんなものだと、これから苦しい。目標は下方修正して3勝2敗1分(勝ち点10)にしなければならないのかな。サントスが次に出られないとすると一見困るが、同じプレースタイルなら三浦(淳)だろう。テヘランには行くのだろう。あるいは小野や中田がかえってくれば、話は違うのだが・・三浦はサントスより攻撃型だが、守備力はいまいちだ。そして、小笠原はしばらくお休みだろう。プレーに意外性がない。

次は3月25日のテヘランでのイラン戦、そのつぎは、すぐに3月30日に日本でバーレーン戦。3試合のあとは少し時間があいて6月に3試合ある。最初の3試合で不成績のチームには気の滅入る中休みになる。そして4チーム中2チームはドイツ行きが決まり、3位のチームには、最後のチャンスとしてもう一組のアジア予選3位のチームと9月に2試合を行い、アジア5位になると、北中米4位のチームと11月に2試合をやって決める。

個人的には、3位になって、ドイツへの長い長い道のりをやってもらった方がスリルがあって面白いのだが、その場合は少なくても最後の4試合の監督はジーコ以外になっているのだろう。そして最後にジャマイカが出くれば、フランス大会の時の借りを返すことができるかもしれない。

次のイラン戦はテヘランであるが、日本から応援に行こうというツアー客が注意すべき点がある。入国カードに宗教を記入する個所がある。日頃、ろくに信心もないのだからNone(なし)と書きたくなるが、それはやめた方がいい。イスラム圏で無宗教というと、犬やらくだと同じ分類になる。とりあえず仏教と書けばいいのだが、ブディズムを英語で書こうとする難しい。dとかhとか2つ並んでいたのにと思うが、なかなか書けず、結局入国カードをくちゃくちゃにしてごまかしてしまう。

松下の特許って「?」

2005-02-10 21:19:50 | MBAの意見
022998ae.jpg松下電器産業とジャストシステムのアイコン特許問題を考えると、何か割り切れないことが多い。一審敗訴のジャストが控訴したので、長くなりそうな予感がある。問題の松下が自社特許と主張するアイコンは要するにヘルプアイコンの「?」の横にマウスの絵がついたものだ。どちらかというと、特許というより、アイディアとかデザインの部分に近い。さらに出願したのが1989年なのに、登録されたのは1998年にもなっている。1989年というのは、Windows95の発売のはるか6年前である(もっともジャスト側も、このデザインを使わなくても良かったはずだが、他人の技術を使ったのは事実であるから不注意とは言える)。そして、これが特許でなく実用新案のようなものであれば、出願後6年(ことし4月からは10年間有効に延長)なので、とっくに期限切れになっている。意匠権だとすると15年。2004年中に期限切れになっている。特許になっているから20年間の権利期間が設定されるわけだ。それでも2009年までで残り4年。

もともと特許と認定したところから、問題が発生しているのだろう。私見でいえばITデザイン特許のようなものは5年から10年くらいの期間に設定しないと不便であるだろう。

松下が、こんなつまらない裁判に力を入れるには他にも理由があるだろうと想像できる。一つは松下として「特許侵害は許さない!!」という強い意思の表明ということかもしれない。これは理解できる。あるいは、社内発明制度の申請者があらわれたのかもしれない。あの特許は私のアイディアだから対価が必要であるとか。しかし特許申請時期が1989年ということからこの線はないだろう。

ここで、少し話しを変えてみる。

よくビジネススクールの教科書に登場する話がある。話の内容から1980年代後半とは思うのだが、松下で家電を担当していた女性課長の話である。彼女はパン焼器(ホームベーカリー)の開発をしていたのだが、どうしてもおいしいパンができない。要するにパン生地の発酵が終わったあと、プロペラを回転させたり、振動させたりしてパン生地をこねる作業を行うわけだが、なかなか腰のあるパンが完成しなかったそうである。そして長い苦闘の末、帝国ホテル大阪の厨房にもぐりこみ、ホテルでのパン製造に弟子入りしてしまうのである。そこで、名人の芸を見ていると、ただこねるのではなく、時々ひねりをいれるという技術を盗んでしまうのである(不覚にも帝国ホテルは特許申請を忘れていたのだろう)。そして、松下はそのひねり運動を入れることで、世界中に電気パン焼器を売りまくり大儲けした(かどうかはよくわからないが)はずだ。

この実例では何点か感想がある。

まず彼女が狙ったのが、製パン業の技術ではなくホテルの技術だったということだろう。製パン業はホームベーカリーの天敵であるわけで、直接的な技術の取得が困難だったろうと思うことと、ホームベーカリーという小さな機械に仕込む技術を製パン業という機械の世界に求めたのではなく、ホテルという人間の技の世界に着眼したことである。

次に注目したいのは、この女性、当時の松下的ではないなあ、ということである。殿様が市井に出て行くのは「目黒のさんま」だが、松下の課長ともあろう人物が粉にまみれてというのは(もちろん今では当たり前だろうが)だいぶ他の課長たちからは白い眼で見られたのかなと思うのである。

そして、三番目の感想なのだが、このすばらしい業績をあげた女性、まだ松下にとどまっているのだろうか?話の筋から言えば、もし在籍しているなら50歳代後半。役員にでも名を連ねているのだろうかとも思うのだが、教科書には何も書かれていないし、数年前からネット上で探してはいるのだが手掛かりは杳としてつかめない。創始者はいずれ忘れ去られるものというのは、日本で廃藩置県や義務教育といった力仕事をした人物が「西郷隆盛」であるというようなことを誰も知らないのと同じなのかもしれない。この女性の現在の動静は私にとっての未解明の興味の一つである。

いたずらにのぞいた松下のホームベーカリーのHPで確認できることは、おいしいパンのレシピと「ベーカリー倶楽部」への入会方法だけなのである。

奇妙な鳥の巣は、・・

2005-02-09 21:21:30 | 市民A
60a9cafc.jpg毎日、歩いている駅までの街路樹。落葉樹なもので、冬の間は枝だけになっているのだが、妙な鳥の巣が現れた。大きさは10センチほどだ。どうも素材の大部分は、天然物ではなく、クッションの中の中綿とか人工繊維のように見える。そして、素材が小枝とかでないために色も目立つ。高さは地上から3メートル程度と低く、カラスだけではなく、人間や猫にとっても手が届くところにある。安全性という観点からいえば失格だが、自然界ではそういうちょっと頭の弱い個体は淘汰されて、子孫を残せないことになっている。

ところで、今年は野鳥が多い。自宅は港北ニュータウンの端の方で近くには小規模な森林は何ヶ所か残るが、それは去年も同じこと。野鳥の種類については詳しくないのだが、それでも種類の違いはわかる。節分で蒔いた豆や、いい加減にふりかけた芝生のタネを食べにくる小鳥の中には、ウグイスまでいる。スズメは、飛び立つときにはハリヤー戦闘機のように地上から上に向かって飛び立つのに対して、ウグイスは横っ飛びで飛んでいく。その他にも、尾が長い鳥や、太った鳥、くちばしの長い鳥などカラス、スズメ、ハトの三大都会鳥の他に5種類はみかける。

なぜ、今年、野鳥が多いか二つの理由が思いつく。一つは暖冬だった影響で、小虫が多いのだろう。それと雑穀なども多いかもしれない。そして、もう一つの理由は、カラスが減ったことかもしれない。ゴミ置き場の管理が厳重になり、ネットや金網付きになってきた。カラスは野鳥の大敵であるわけだから、カラスが減れば野鳥が増える。

しかし、嫌われ者のカラスだが、地方公共団体のゴミの回収システムが完全でなかった頃は、ゴミ回収の手伝いをしていたわけだ。都内でも新宿御苑に居を構え、銀座や新宿に出張して町の清掃員をやっていたわけだ(頭だけ黒いカラスも臨時清掃員だったのだが)。そして、カラスは疲れると日比谷公園の木の上で休み、日比谷から虎ノ門方面に斜めにショートカットして歩こうというビジネスマンの頭を狙っては、落し物をして遊んでいたわけだ。

実は、野鳥がたくさん現れた理由として、もう一つの可能性がある。地震災害の前の小動物の異常行動という線がある。これだけは絶対に当って欲しくない。

話を戻すと、この奇妙な巣だが、使用後なのか使用中なのか、あるいは使用前なのか下からみてもわからない。実は、撮影した数日後、この街路樹の木々が大規模に枝払いされたことに気付いた。近くの電線類に引っかからないように枝ごと鋸で落とされていた。

そして、胸騒ぎを感じながら、この巣のあった樹木に近づくと、なんと、この一本の立木だけはまったく剪定されずに枝が伸び放題のままだ。現場作業員の方に、ちょっとした配慮があったのだろう。しかし、周囲の街路樹はばっちり枝落としをされているため、元々目立つこの巣は、さらに目立つようになってしまったのだ。

もう一つのペイトリオッツは?

2005-02-08 21:23:48 | 市民A
7698782b.jpgフロリダで行われたスーパーボウルは24:21の1FG差でペイトリオッツが辛勝した。ペイトリオッツはニューイングランド、対するイーグルスはフィラデルフィアとニューヨークをはさんで北と南の関係だ。日本でいえば、浦和レッズと横浜Fマリノスが鹿児島で試合をするようなものかな。

さて、もう一つのペイトリオッツとはミサイル迎撃ミサイルである。日本ではなぜかパトリオッツといっている。湾岸戦争の時にスカッドミサイルに対して勝率7割以上の戦果をあげていた。その時の普通のミサイルの改良型はPAC3型と言われ、弾頭が複数ついていて、空中で別の複数のミサイルに分かれ、多少の計算ミスにも耐えられるようになっている。しかし、ペイトリオッツは短距離ミサイル(20Km程度をカバー)である。

そして、問題は北朝鮮のノドン、テポドンが日本向けに発射された場合のことだ。ノドンの射程は1300Kmで、これだけで日本をカバーする。さらにテポドンは2000Km。テポドン2になると6000Kmとも言われる。しかし、テポドン2でもアメリカ本土には届かないし、格段に精度が必要となるため、開発できるかどうかは不明だ。

日本の防空システムは2段階である。まず2隻のイージス艦から3M-3という迎撃ミサイルが発射される。上空200Km程度までカバーしている。ノドンの最高高度は200Kmなのだが、テポドンは1000Kmと言われる。速度はノドンでマッハ10。テポドン2になるとマッハ20と言われるが、日朝の距離では、約10分から12分で日本に落下する。大急ぎだ。そして3M-3で落とせなかったミサイルをPAC3で落とすことになる。

実際にPAC3は射程が短いので大量にあちこちに配置しなければならない。フットボール的に言えば、イージス艦からの3M-3はQBからのロングパスを途中で叩き落とすようなものだ。そしてPAC3はパスレシーバーにタックルするようなものだ。それも何人がかりで。

しかし、QBからのパスを防ぐにはもう一つ方法がある。QBサックといって投げる前のQBにタックルする方法だ。発射台の上のミサイルを基地ごと攻撃する方法だ。ミサイル先制攻撃である。しかし、もしかすると間に合わず、発射後の基地にミサイルが打ち込まれることも考えられる。フットボールではプレー後のQBにレイトヒットするのは重いペナルティが課せられるのであるが、実際の戦争では発射後の基地にミサイルを打ち込んでもお咎め無しだろう。

ところで、よく北朝鮮政府が、ソウルや東京を「火の海にしてやる!」と威勢のいいことを言うのだが、「火の海」ということばには理由がある。ミサイルの性能を示すことばにCEP(半数必中界)という数字がある。確率的に50%以上のミサイルの目標からのバラツキ距離を言う。この北朝鮮のノドン、テポドンのCEPは2500mと言われる。目標から半径2500M内に落ちる可能性が50%というのでは、ピンポイント攻撃はできない。だから、都会を狙って打ち込み、町を火の海にすると言う発想になってしまう。一方、トマホークのCEPは10mと言われる。ノドンの250倍も正確だ。目標物件に対する破壊力は距離の二乗に反比例すると言われるので、目標物体に対する破壊力は、トマホークは250×250=62,500倍ということになる。

そして、東京の地図を見れば気付くが、都心に森がある。人口過疎地帯がある。そのエリアは横に2Km、縦に4Kmくらいだ。森を狙って発射して、森に落ちてしまうとたいした戦果は得られない。また、すぐ先は東京湾なので、そこに落ちても何もおきない。東京までミサイルが飛ぶ間には、何発も迎撃ミサイルが発射されるだろうから、そもそも東京を狙うのは失敗率が高いのかもしれない。むしろ日本海側の都市があぶないかもしれない。PAC3を完備するためには、100基くらい必要らしい。そして問題は、ミサイルの弾頭部分に何をつめるかである。核兵器や生物兵器を積んだ場合は話は難しい。練馬区上空でミサイルの迎撃で核爆発とかなるのは困るだろう。

一方、ワールドカップ2次予選の初戦の日本-北朝鮮戦は2月9日に迫ってきた。個人的に興味があるのは、北朝鮮サポーターを朝鮮総連が何人集めるかということだ。一応、埼玉スタジアムには6000人分の北朝鮮応援席ができるそうだが、私の読みでは、1000から2000人くらいではないかな。なにしろ在日朝鮮人の方々の家族や親類も北朝鮮にいて人質のような形態になっているわけだから・・・。適当と本気の間で動員をした時の予想人員だ。


最後にサッカーの話を付け加えると、日本チームにはどうして怖そうな顔の選手がいないのだろうか。顔付だけなら唯一、スペインに行った大久保が怖いが、残念ながら彼の身長では「単なるベビーフェイス」ということなのだろう。

難攻不落の城攻め(彦根城)

2005-02-07 21:25:52 | The 城
844f6d7c.jpg昨日の弊ブログで日本最高度の山城「備中松山城」を攻略(TAXI多用だが)した後、高梁市の観光もせずに、急いだと書いたのには訳がある。同日中に現存12天守閣のうち、もう一つも制覇しようとたくらんだからだ。1日に城攻め二本とは、羽柴秀吉でも思いもつかないだろう。二本目は、かなり離れた彦根城。滋賀県にあり米原駅から1駅。なぜこの城に行こうとしたかは、実は別に理由はあるのだが、最後に書く。

事前にホームページで見ていると、彦根駅からただ琵琶湖方面に15分歩くと彦根城で、さらに15分で琵琶湖に到達するようになっていた。いつものように「行き当たりばったり的」だ。海外ならもう少しは調べるが・・

ところが新幹線が京都を過ぎると、思いがけずも空が俄かに暗くなる。そして雪が舞い始め、米原駅は吹雪であった。もちろん隣駅の彦根も雪が降り風も冷たい。午前中は岡山の山中の雪道、午後は吹雪か。そして頼みのタクシー乗り場には人間が1ダースとタクシー0台。ここは平地なのだからと意を決して歩き出す。雪道を歩くコツはガニマタとピッチ歩行だ。しかし、交差点の横断歩道は怖い。路肩も見えずに車道を歩く。なにしろ歩道は40センチの雪だ。そして、彦根城の入口に到達する。雪の中の足跡は数えるくらいだ。天守閣と博物館と庭園の3箇所の入場券をセットで買った(というか勧められたまま)。

彦根城は井伊家がずっと城主であり、井伊直弼は13代当主だ。彼が桜田門外で倒れた日も江戸は大雪だった。と雪に諦めの理由を見つける。桜田門外といえば、江戸城の目の前だ。幕末はかなり治安が乱れていたのだろう。日本史のベスト20には入る人物だろうし、事件もベスト10ものだろう。

ところで博物館は、おそるべき充実ぶりだ。この地が非常に豊かでかつ井伊家が藩の運営に長けていたことがわかる。井伊家は文武両道を極めたようだ。すごいお宝ばかりだ。そして雪の日に博物館を独り占めだ。そして、小高い丘の上にある天主閣に向うが、これが難儀を極める。傘はすぐに破損。石段に雪が積もっている。危険!

なんとかかんとか上りきると、小ぶりながら美しい城があらわれるが、吹雪でかすんで見える。もちろん城内は寒い。天主閣最上階から広く見えるはずの琵琶湖はもとより、石垣の下がやっと見えるくらいだ。しかし、なんとか到達した。こういうのが旅の醍醐味なのだろう。3枚セットの3枚目のチケットで行けるはずの庭園にはまったく道が閉ざされていて、池に落ちそうなので、もったいないが止める。自制心も重要だ。そしてお約束の下りの石段。自分の足跡をたどりながらスキー場で片足の板を流されたヘボスキーヤーのように横歩きで降りていく。そして、やはり彦根駅までは歩くしかなかった。

実は、全国47都道府県の中で、足を下していなかったのは、この日本の真中にある滋賀県だけだったのだ。これで都道府県めぐりは完結。だからといって現存12城めぐりはまだ4つだし、念頭にはない。残りが3つくらいになったら考えるかもしれないが。

彦根駅のホームで米原行きの電車を待ちながら、吹雪の中に佇んでいると「いい日旅立ち」が流れてきた。JR西日本がキャンペーンに使っていると聞いていたが、この極限的状況で聞くとは思ってもいなかった。鬼束ちひろの歌い方は、やわらかく、軽い。山口百恵は低くそして重く歌っていたが、時代の差なのだろう。吹雪の中では、山口百恵の方が聞きたかったので、心の中で転調した。

後注:本ブログを書くために少し調べたら、谷村新司はJR西日本のために歌詞を書き直していたらしい。「♪雪解け真近の…」を「♪遙かなしまなみ…」に変えたと書いてあった。ただ、今、私の脳裏に残っているのは、雪解け間近の方なのだが、その真偽を確かめることはあえてしない。

杉本家の希望

2005-02-06 21:32:49 | 市民A
ピピ島で津波に襲われた杉本遼平君の一家四人がとうとう揃うことになった。無神経な日本のジャーナリズムのカメラから逃れることもせず、一人で家族を探していた12歳の遼平君の無念を思うと、ことばが継げない。これからの日本が、彼にとって、希望をもって成長していけるような国であることを心から望みたい。

タイ政府が身元の確認を続けていることも、心が痛む。津波被害があった直後から、バンコクの臨時献血所には市民が長い列を作っていた。日本政府の援助要請を断ったのも、他の国に回してほしいということが真意だったそうだ。世界地図の中では太平洋の西側の短いラインかもしれないが、タイ発の善意のラインを何本か見つけた。

昨年9月24日に、三陸地方に伝わることわざを書いた。”津波てんでん”とか”てんでんこー”と伝えられている。津波から逃げる時は、一家てんでんばらばらに逃げろという意味だ。そうすれば一家の誰かが助かり、家を継いでいけるといういいつたえである。自分で書いておいて、今は少し辛い。

難攻不落な城攻め(備中松山城)

2005-02-06 21:30:57 | The 城
df5e1c92.jpg日本にはオリジナルのまま現存する中世の城は12とされる。松本・丸岡・犬山・彦根・姫路・伊予松山・丸亀・備中松山・宇和島・松江・弘前・高知。このうち、高知と姫路の2城には登城している。今さら、全城郭制覇などと考えているわけではないが、オリジナルにはやはり味がある。機会があれば、何とか一つでもと思っていたところ、西日本へ金曜日に出張の用件ができた。週末1日を使い足を延ばすことにした。狙ったのは備中松山城。岡山県倉敷から伯備線で35分ほどの備中高梁(たかはし)駅へ向う。碌に調べず行ってしまうのが常だが、ガイドブックには駅から徒歩1時間30分で駐車場。そこからさらに15分と書いてある。嫌な予感だ。高いがタクシー利用だろう。なければ歩くしかないが・・・。

伯備線はワンマンだ。各駅は小さく無人だ。高梁駅が近づいてくるので、よくふくらはぎをマッサージする。しかし、駅は大きくタクシーはたくさんあった。そして、クルマは山道を登り始める、かなり狭い道を登りつづけると、降ってまもない雪塊がところどころに残る。秋の台風でのがけ崩れ個所もある。さらに山を上り空気が薄くなる。「歩けるわけないだろう」と思う。そして、さびしい駐車場につき運転手のかたに概略の道を聞くが、足元だけには注意するようにと言われる。そして帰りのタクシーの予約番号も。

標高が高いわけだ。日本で一番高い位置にある山城だそうだ。標高480メートル。平面地図ではわからない。山道は雪で凍結している。そして、眼下はまさに谷底。そして、道はキツイ上り坂。寒い。息苦しい。資料では、この城は江戸になるまでは何代も城主がかわっている。こんな城をよく攻略できたものだとあきれはてる。難攻不落だ。クラウゼヴィッチの戦争論では城に立てこもった敵に対しては10倍の兵力が必要と言うが、ここでは10倍でも大変だ。城攻めで、有名なのは毛利に攻め落とされた三村家。親子二人は斬られたが、幼少の嫡男は寺院に預けられていたが、聡発なところを見抜かれ、三村家再興をおそれ、幼時に斬られた。古くは平清盛が幼少の頼朝、義経を見逃したために逆に滅ぼされた歴史があだになり、その後の歴史は一家皆殺しが多くなった。

そして、ようやく山の頂上にたどりつくとそこに備中松山城があらわれる。激しい風が吹いている。軽いめまいを覚える。城自体は小さい。しかし、石材や木材をよくここまで運んだものだと感心。付属の展示館でビデオを見ると、この城、何回も城主が変わっている。赤穂藩浅野家が管轄した際は、大石蔵之介も城代をしている。浅野家の他にも後継ぎを得られずにお取り潰しを受けた大名もいたらしい。場内の一角には「装束の間」という小部屋があり、落城の時の城主一家の死に場所が用意されていた。前述の三村家一家がこの部屋で死んだのかどうかはわからないが、少し城主には運の無い城だったのかもしれない。しかし現存していることを考えれば、案外建物としての城そのものには運が強いのかもしれない。

そして、下りの山道はさらに危険であり、駐車場でタクシー会社へ電話をしても誰も電話に出ない。一瞬不安になったが、電話ボックスに別の会社の電話番号が書いてあった。高梁市の他の観光地に寄ろうとも思ったが、気力がわかず、次へいそぐ。

変異型ヤコブ病出現と吉野家

2005-02-05 21:33:24 | マーケティング
二つのニュースがある。一つは89年に一ヶ月間の英国滞在歴のある男性が01年にヤコブ病を発症。04年12月に死亡していた。もちろん決定的な断定はできないのだが、おそらく英国で感染し(という表現が正しければ)10年以上の潜伏の後、発病したと考えられている。日本初のBSE感染牛が発見されたのが01年なので、この男性は日本での感染の可能性は少ないと考えられているが、90年代後半に日本にはBSE牛が存在していたと仮定すると、国内感染の疑いは払拭できない。仮に欧州発のBSEプリオンの拡大速度から考えると、2007年頃には患者が多数あらわれるかもしれない。米国も同様だろう。

一方、吉野家が2月11日に限り、牛丼を復活させる。販売中止1年ということだ。記事を読んでいると販売中止になる前に輸入した牛肉を使うそうだ。150万食用意するそうだ(実際には1日80万食程度の実績のように読めるが)。これは、吉野家の安倍社長が、ユーザーの反応を見るための仕掛けを打っていると考えてみたい。日米間の協議が解決し、輸入再開となった場合、かつてのファンが戻ってくるかどうか、不安が募っているのではないだろうか。何しろ、同業の”すき家”は次々と新メニューで売上げを維持しているが、吉野屋は対前年で7割程度で、豊富な現金性資産も目減りしている。あと1年半がデッドラインだろう。ブログを見回すと、今回の1日販売には賛否両論があるが、万が一、将来発病しても、誰も補償してくれないと考えておいた方がいいだろう。

何しろ、日米交渉は、かなりBSEの本質から離れたところで議論されている。要するに、生後20ヶ月未満の検査ではBSE感染が特定できない。だから20ヶ月以内を輸入制限する意味は無いというのが米側の主張で、一方、日本側は20ヶ月といっても米国の大雑把な飼育法では月例を特定できないので、もっと若い(若いように見える)牛に限定しようとしている。つまり、BSEの感染の問題ではなく検査制度の問題が論議されている。米国にBSE牛がいる可能性についての議論ではない。

もう一つ、吉野家にとって気懸りは、あまりに若い牛肉だと、脂肪分が少なく、元のような味が出せなくなるかもしれない(豪州産と同じ結果かもしれない)点だ。

一方、今回の限定販売に使う牛肉は輸入禁止になる以前からのものだそうだ。少し心配がある。

アメリカでは現在でもかなりのへたり牛がいるらしく、欧州より怪しいかもしれない。なにしろ、全頭検査を拒否する最大の理由は、米国内に感染牛が多数いるという結果になるとパニックが起きるからだという説もある。そして、その結論は、あと数年後に人間の方にあらわれるかも知れない。

今や、日本ではほとんど耳にしない言葉に「モツ鍋」がある。90年代初め(92年から95年位?)にブームがあったと思う。今考えると、危険部位とされる大腸下部も含まれていたのではないかと想像できる。ちょうど潜伏期間が経過した頃だが・・・

行き先の不明のトンネル工事

2005-02-04 21:34:08 | MBAの意見
企業再生のプロが集まった産業再生機構でも、少しは失敗例もあった。と3年後に言われそうな案件リストに「ダイエー」も入るのだろうか。数ヶ月前にUFJ銀行を中心に、やっと産業再生機構という箱に詰めて、とりあえずの釘を打ったわけだが、次なる経営主体が決定しない。というか、当初候補13社からのスタートが7社に減り、3社までに減っている。報道では、イオン、丸紅、キアコンの3社。ヨーカ堂も、ウォルマートも不動産(底地)目当ての方々も脱落。結構寂しいものになっている。さらに、スポンサーが決まる前に、産業再生機構が閉店リストまで作ってしまい、その後の経営にも参画することを明言していて、スポンサーの意欲は沸かない。

一方、切り売りではなく一括引受けということになると、この3社のいずれも二の足を踏むのではないだろうか。既存大型店の中にはイオンとの競争で負けた場所もあり、地域的競合もある。イオンは大型店のいくつかには興味を持っているだろうが、小型店は得意とも思えない。丸紅は納入業者として100億円位の売上債権が人質になっていて、また、マルエツの株主ではあるが、だからといって、ダイエーの社名をマルエツに変えただけでは、何もはじまらない。キアコンは地区集中型の食品スーパーをめざしていて、ことばの上では再生機構の構想には近いのだが、既存店の1/4位の面積しか使わないのではないかと思うのと、雇用の継続ということからいって難が多い。

となると、今の段階では、一括引受けとは言っているが、結局は、大型店-->イオン、中型店-->丸紅(マルエツ)、小型店-->キアコン、引受け無しでも政策的に継続する店舗-->再生機構直営の国営スーパー(ダイコクヤとか)、といったところに落ち着くのではないかと思うのだが、いずれの店舗も店内改装、社員教育、仕入れ代金の資金繰りとか簡単にはいかない問題が山積みになるだろう。

産業再生機構の冨山COOは「商圏が最大の資産だ」と言うのだが、逆に「商圏だけが資産だ」ということもいえる。競合すると、負けてしまう。特に関東では、イメージが悪い。「ダイエー」の名を残すために多くの犠牲を払い、さらに今後もメドがつかないなら、再度やり直した方がいいかもしれない。

つまり、名前は捨ててしまい、全体としての統一性も捨ててしまい、1商圏ごと、1店舗ごと、1子会社ごとに入札をしていき資産を活用していくわけだ(本当は三菱自動車こそこの方法が妥当だったような気もするが)。そうすれば、閉店するとかしないとかは、COOが任意に決めるのではなく、公正なマーケットの中で、決まっていくものと考えられる。

しかし、この問題にめどがつかなければ、UFJの資産査定も進まず、東京三菱との合併比率も決まらず、結果としていまだ公式にはあきらめていない三井住友からの縁談話も宙ずりになったままになってしまう。

The long good-bye??

2005-02-03 21:36:07 | MBAの意見
テレビ東京の早朝番組、モーニングサテライトのキャスターでニューヨークからの中継を担当する矢吹藍子さんが降板した。といってもCBSのダン・ラザーのように誤報の責任をとった訳ではない。なんと「出産」ということ。今週月曜の朝から驚いてしまった。

「矢吹キャスターは無事出産のため、しばらくは産休です」とのことなのだが、実は毎日、席に座ったままの彼女の上半身だけ見ていたわけで、まったくそうとは気付かなかった。というより、数ヶ月前から、「少し顔が太ってきたのは、年のせいかな?」などと失礼なことを考えていたわけだ。

この番組を見ている人は、結構多いはずなので、同じように思っていた方は、多いのではないだろうか。

ところで、問題は、このモーニングサテライト、彼女が中心の番組であるのは間違いないところだったのだが、これからどうなるのだろうか。何事もなく、数ヶ月(あるいは数週間)で再登場となるのだろうか?あるいは、彼女がバタバタとギャラの高い仕事に飛び去り、番組は登場する各人がバラバラに個性を主張し、統一性を失ってしまうのだろうか?視聴者に認められた選択権は、スイッチのONとOFFしかないのは言うまでもないのだが。

法廷へ出るレッドアロー号

2005-02-03 21:34:42 | MBAの意見
1f975d2a.jpg西武鉄道の個人株主213人が、西武鉄道とコクド、堤義明氏他役員に対して損害賠償請求を提訴した。3億5千万円。また、同時に東京地検に対して有価証券報告書の虚偽記載で告発した。

この事件、要するに本来、堤氏とコクドが西武の株式の80%以上を所有していたものを、上場基準に合わせて、実態と異なる社員名義にしていたことが発覚し、規則どおり、上場資格を失い、株価は急降下してしまったわけだ。そしてまずいことに、急遽、取引先の大手企業に西武鉄道株を売却していたために、売却先の会社に、多額の損害が出た。そのため各社からの圧力を受け、取引自体がなかったことにするため、購入時点の価格で買い戻していたわけだ。大口先は、圧力をかけたわけだが、さて個人は泣き寝入りか?と思っていたが、とうとう提訴が行われた。当然だろう。

しかし、こういうものは、裁判所の判断が大変だろう。株の差損が出た直接の因果関係は証明できるだろうが、全部は認めないのではないだろうか。株式取引には危険が伴うのは一般的には当然だし、不正経理などどこでも見られるのだから。結局、この213人の他にも損害を被った個人株主はたくさんいる。すべてに補填(買戻し)を行うと、西武鉄道再建どころではないだろう。

しかし、会社が損をしたのなら株主代表訴訟ということになるのだろうが、そうでもなくあくまでも株主の損害補填という部分の補填というのも、あまり聞かない。そして、同様の、会社の不始末での株主の損害補填というのもまた、あまり聞かない。中国株など、不正経理で暴落することなど日常茶飯事である。しかし、すでに大手の会社には補填済みであることも割り切れない。

コクドを鉄道部分と非鉄道部分に分けて西武鉄道と一体化しようと考えているようだが、逆に重荷になるかもしれない(新執行部と堤氏の了解事項はコクドと西武と一体化して再建するということという報道もあり、この話もよくわからない)。なにしろコクドの経営内容はよく判らない。

再建のためには、多くの付帯事業の切り離しが行われるのだろうが、例えば、秩父にある「秩父ミューズパーク-スポーツの森」なども少し手を入れれば集客力もあるのだろうが、現西武的経営では無理だろう。ちょっとしたホスピタリティが不足している。テニスコートとか、ロッジのふかふかベッドなどなんとかしたらと思ってしまう。おそらく外資系が再生するのだろうが、広大な駐車場を使ったカートレース場には、早めに行っておいた方がいいのだろうか?