不戦敗ぺナルティ100万円は高い?

2007-08-11 00:00:08 | しょうぎ
将棋連盟は、どうなっているのだろう。あと何年、何のためにこの公益法人はあるのだろう。と、かなり疑問を感じる事態が起きている。

この1ヶ月で不戦敗をした3人の棋士に対して、処分が発表された。産経と読売より

不戦敗の2棋士に罰金100万円 将棋連盟 (Sankei 2007/08/09 19:46)

 日本将棋連盟(米長邦雄会長)の理事会は9日、今月の銀河戦で2件続いた不戦敗の該当棋士2人に対し罰金各100万円と、該当棋戦について次回の出場停止処分としたことを発表した。100万円もの高額の罰金を課すのは初めて。
 不戦敗を喫したのは中田功七段(3日)と武者野勝巳六段(6日)。2人とも対局日程を勘違いしたという。2人はこれまでにも日程のうっかり忘れなどで、棋聖戦や王将戦を含めて過去20年間に5回(今回を除く)も不戦敗を喫し、突出していた。
 100万円は、過去に半年間の出場停止処分を受けた棋士が失った手当などをもとに、同額程度として算出された。7月の東西棋士会で厳しい処分を求める声が強かったことなどを受けた、異例の処分となった。
 このほか、7月17日の順位戦C級2組で不戦敗となった中村亮介四段については、今回が初めだったことから謝罪書の提出と、手当の月額30%減(1カ月)とした。


20年間で不戦敗6回、中田七段と武者野六段に罰金百万円(8月9日19時36分配信 読売新聞)

 日本将棋連盟(米長邦雄会長)は9日、公式戦で不戦敗した所属棋士、中田功七段(40)と武者野勝巳六段(53)の2人を、罰金100万円と不戦敗した棋戦(銀河戦)の次回出場停止の処分にしたと発表した。
 それぞれ今月初旬の対局日を、別の日と勘違いして現れなかった。同連盟は、2人がともに過去約20年間で6回目の不戦敗であることを重く見た。高額の罰金を課すのはきわめて異例。
 罰金100万円は、下位棋士の年間対局料・手当の3分の1以上に当たる金額。しかし、他の棋士から「連盟理事会の対応が甘い」「相撲界を見習え」という声が出たこともあり、処分に踏み切った。米長会長は同日、棋戦の主催者を訪ねて謝罪した。



棋界のことを知っている人なら、すぐ思うのが、「もしや、報復攻撃か?」ということ。罰金100万円の処分を受けた武者野六段は、昨年、著作権裁判で米長連盟会長から和解金数百万円を受け取ったはずだ(2000年に武者野六段が「将棋セミナー」として発売したソフトを米長会長が「みんなの将棋」と改題して発売した件)。負けた会長がそのままいるというのも一般的ではないが、どうも「20年間に6回目の不戦敗」というような統計がすぐ出てきたところから、「あらかじめ狙われていた」という感じがしないでもない。

つまり、過去に5回も不戦敗したのだから、いつか6回目があるはず。その時こそ、”痛い目”にあわせてやろう、というわけだ。

不戦敗自体は大変いけない行為で後述するとして、事前に明快なルールもなく、いきなり100万円とはちょっと乱暴な感じがする。暴力団関係の駐車場に違法駐車した場合とか、ある種のマッサージの女性と規定外の行為をした場合などに登場する料金ではないだろうか。

おそらく武者野六段がペナルティ支払い拒否をし、連盟とトラブルが発生し、またも「裁判所で会いましょう」ということになるのではないだろうか。裁判所も、最初に行くまでは抵抗があるものの、一度スリルを味わうとクセになるものらしい。前回の裁判は、武者野VS米長という単に個人対個人の争いだったが、個人対公益法人という関係の裁判があれば、公益法人の権利の範囲についての判例ができるような気がする。テレビ棋戦に対局を売るという行為が公益かどうか、ということもある。

また、下位棋士の年収の1/2が100万円というような発表をすると、いかに、最低ビジネスであるかということが、世間に知れてしまったわけだ。


ところで、不戦敗というのは、どういう状況で発生するか。まず対局通知が棋士のところに郵送になる。対局日を決めるのは連盟の手合係であり、特段の事情のある人は事前に、この手合係に根回ししておくらしいが、いずれにしても一度決まったものは変わらない。実親に不幸があった場合のみ対局の当日キャンセルが認められるそうだ。(先日高柳先生が亡くなられた際は、一挙に対局がキャンセルになったのは例外事項なのだろう)

対局通知は指定場所に郵送され、棋士は受け取ったことを返信ハガキするそうだが、それが完全に守られているかどうかはよくわからない。

そして、対局の場所(東京か大阪の将棋連盟、テレビスタジオ)へ向う。通常は棋士の対局は月3局程度なので、あまり間違えることはない、というか、逆にたまに行くので間違えるのだろうか。遅刻は一般的によくあることで、開始時刻に遅れれば遅刻ということになり、持ち時間から遅刻時間の3倍を差し引かれる。たとえば持ち時間6時間であれば、2時間遅刻すると、持ち時間がなくなり、その段階で不戦敗が成立する。だから、不戦敗というのも時間切れ負けの一種ということになる。

サラリーマンと違って毎日出社するわけではないので、欠席の理由は「うっかり」ということですむ。本当は「前夜飲み過ぎて、対局に出かけても負けるだけだから、不戦敗にしよう」ということであっても口に出す人は絶対にいないだろう。一流棋士に不戦敗がないのは、元々スケジュール帳が詰まっていて、「つい一日間違えた」などという言い訳が通じるはずないからだろう。

個人的意見としては、不戦敗の理由が「事故・急病・入院」「東京と大阪の対局場の間違い」などの個人では予測できない理由の場合は、単に対局料ゼロ(場合によっては、対戦相手に払うべき対局料分をペナにする)。確信的不戦敗については所定の処置(次期当該棋戦出場停止など)がいいのではないだろうか。累積ペナルティを言うなら、今からスタートしなければ、既に6回不戦敗棋士は、いきなりクビ寸前ということになる。殺人罪だって、昨年までは15年で時効だった(今は25年)。20年も不戦敗の罪を負うのは重すぎると思える。

しかし、不戦敗ペナルティ制度を作っても、「今夜は飲みすぎたので、ついでに朝まで飲んで、将棋連盟に寄って、一手だけ指して投了してから帰宅しよう」というような不届き者が現れるかもしれない。
 1.対局前にアルコール検知器使用のこと
 2.眠気覚ましに特定の薬物を使用しないように尿検査すること
 3.無気力将棋を禁止するため、50手未満の負けは、不戦敗扱いにする
などというルールも必要なのだろうか。もちろん外人棋士が現れる前に決めておかないと、相撲界のようになるだろう。


920c1fe0.jpgさて、7月28日出題の地下鉄詰将棋だが、最初の問題(原図)の解答は、

▲8九金 △同玉 ▲7九馬 △9九玉 ▲8九馬 △同玉 ▲3九飛 △9八玉 ▲8九銀 △9九玉 ▲8八銀 △9八玉 ▲9九飛まで13手詰。

ようするに「地下鉄飛車」にこだわったわけだ。対右玉攻略の特効薬の戦法で、左の香を一つ上げてから、9九に飛車を回って端攻めをすれば、部分的には突破できる。

しかし、詰将棋としては簡単すぎる、という声があったため、第二問題(改良図)を速攻で作る。実は、最初の問題で、初手に4四馬という詰みそうな筋があって、そこを改造してみた。第二問題の解答は、

▲5五角 △7七桂(途中図) ▲8九金 △同玉 ▲4九飛 △6九銀 ▲同飛 △同桂成 ▲9八銀 △同玉 ▲9九歩 △8九玉 ▲9八銀まで13手詰。

2手目の△7七桂が最善手(改良途中図)で、8八に金合、銀合では早詰あるいは駒余りになる。△7七桂を▲同角ととると、後手の△同角で角筋が5九に通るため詰まなくなる。この二手目の発見がすべて、と考えればいいのだろう。

この問題は、さらに発展していて、現在では飛車が一枚退場している(現段階図)。解答は省略。


920c1fe0.jpgさて、今週の問題は、かなり軽い問題。どうも詰将棋パラダイス誌では8月号は夏休み用に、難易度の高い問題を集めているようだが、それではせっかくの夏休みがだいなしになるので、軽い問題を置いてみた。最後は地下鉄ではなくモノレールで。

いつものように、コメント欄に最終手と手数と酷評いただければ、正誤判断。



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