DOMANI・明日展2006

2006-03-05 08:05:11 | 美術館・博物館・工芸品
daa8a927.jpg3月1日に終了した新進クリエーターの作品展。新宿の損保ジャパン東郷青児美術館で。

いきなり、「新進」と書いたが、必要十分条件ということではない。正確には、文部科学省の下部組織である文化庁が、昭和42年から若手芸術家を海外に派遣する「芸術家在外研修(新進芸術家海外留学制度)」を利用し、最近、欧米(ほとんどフランス)から帰国された40歳前後の方の発表会といった感じだ。元をただせば税金であり、これまでの累積は2,000人を超えるそうだが、私は惜しくも選をもれている(来年は、元祖アートブログで・・)。

個人的には、現代芸術は嫌いではないが、独創性のないものは嫌いである。そういうように考えると、この留学制度は「旧態依然」として「制度疲労」にあぐらをかいているのではないだろうかと感じないでもない。古来、フジタだって梅原だって岡本だって基本的には、自分あるいは親の資力でパリに行っている訳で、税金を使ってというのは、ちょっと筋が違うのではないだろうか。

そして、現代は絵画でも写真でも彫像であっても、材料も技術も(下請けも)かなり自由に選べる。構図の下書きくらいならパソコンでも可能だろう。が、それでも芸術家は芸術を作るし、似非芸術家はゴミを作る。

それに、現代美術に限れば、東京はかなりの先進地域だ。


出展作の中では、大井秀規の一連の赤茶けた石の彫刻は迫力を感じる。ただ、あまり近くによると、石を削るのに電動機器を使ったことはわかってしまい、技巧的には冷たい感じを受けるのが残念なところである。やはり手彫りの方が人間の意識には心のガードを解いて受け入れやすい。


ところで文化庁だが、内部に、文化庁プロパー職員と文部科学省からのキャリア組の対立構造があるそうだ。

任期中、大過なく2年務めてサヨナラするキャリア官僚は何もしないそうだ(というか困ったことをして、サヨナラした官僚もいたそうだから)。

そして、なぜ、損保ジャパン美術館で、こういう展覧会を行うのかと言えば、理由は表には出ないだろうが、たぶん留学生に掛ける旅行保険は入札の結果、いつも損保ジャパンになっているのだろう、と推測。

そして、新進クリエーターにとっての困った問題は、この作品展を見終わった有料入場者および無料入場者は出口付近で、常設の東郷青児やゴッホやセザンヌ、ゴーギャンの作品を一挙に、見比べることになるからなのだ。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿