日本三位の庭、山本亭とは

2006-01-15 21:49:31 | 美術館・博物館・工芸品
e09b49e2.jpg2005年9月10日に弊ブログ3年連続日本一の庭園とは・・では、島根県安来市にある足立美術館をとりあげたのだが、その広大な敷地に遥かに広がる大庭園を日本一と採点したのは、米国の日本庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデン」。当時の日経記事を引用すると、

足立美術館(島根県安来市、足立隆則館長)の日本庭園が3年連続で「庭園日本一」に選ばれた。米国の日本庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデン」が2003年に始めたランキング調査によるもので、今年は国内693カ所の庭園を対象に実施した。 同誌は「細部まで維持管理された造園の大傑作」と論評し、2位に桂離宮(京都市)、3位に山本亭(東京・葛飾)を選んだ。

実は、その時から気になっていたのだが、1位の他、2位の桂離宮はメジャーであるのだが、第三位の東京葛飾の山本亭。なにしろ693庭園の中、第三位。しかし、東京には数多く名園がある。まあ、書き連ねるのも面倒なので省略する。京都の寺院にも各種庭園がある。さらに日本三大名園というのもある。それをおいての三位。見に行く一手なのだが、ずいぶん遅れてしまった。何しろ、場所がわからない。というか調べなかったのだが。

e09b49e2.jpgそして、色々情報をとると葛飾の柴又にあることがわかった。となれば、「寅さん」に、「柴又帝釈天」に、「矢切の渡し」であるのだが、やはり山本亭というのは聞いたことがない。よくわからないが現地で対応ということにする。最寄り駅は柴又。京成電鉄の支線の柴又線(高砂-柴又の一区間しかない奇妙な線だ。)で柴又駅に着く。すると駅前には観光地図があり、いきなり帝釈天への門前通り。山本亭は帝釈天と寅さん記念館の間にあるようだが、私の頭の中には数万坪の足立美術館のイメージが刷り込まれているため、ピンとこない。

帝釈天は日蓮宗で、宗派違いのため軽い寄進にとどめ、裏口から外へ出ると、木造の旧宅が建っている。それが山本亭なのだ。どこにでもあるような、ちょっとした豪邸風だが、数万坪というわけではない。その建物に入るには入場料がいるのだが100円。足立美術館は2,200円。その差は何かと言うと、この山本亭は葛飾区が地元のお金持ち山本家から購入し、区民に庭園として一般公開しているからだ。だから、建物も歴史的建造物だし、庭園は「書院造り」になっている。ようするに、普通のお金持ちの家の庭という解釈で全面的に正しい。e09b49e2.jpg

庭面積は890M2(270坪)、建物は450M2(136坪)。建物の中では、抹茶や和菓子を所望することができるし、”ちょっと大正デモクラシー”という気分だ。外を眺めれば、縁側の近くに池を設け、背後には緑濃い植え込みと築山を用意し、さらに滝を落としている。典型的な書院庭園である。さらに緋鯉が悠然と泳ぐ。ただし、視界の中には、庭のすべてが目に入るので、まことに気ぜわしい。江戸城内の黒書院の前には小庭園があったとされるが、こういうものだったのだろうと思いをめぐらせてみる。

しかし、よくこの面積にこれだけ詰め込んだものだ、と感心するのだが、ふと、先日、外国人とよくビジネスランチをする方に聞いた話を思い出した。

「外人向けの和食で、一番無難で好まれるのは、”幕の内弁当”です。」

米国紙で評価が高いのも、この理由なのだろう。「幕の内庭園」。

ところで、都内三大書院庭園なるものがあると建物内の掲示板に記されていた。山本亭の他、墨田区の旧安田邸世田谷区の徳富邸だそうだ。亭の字と邸の字の差はよくわからない。また深みにはまりそうだ。  


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