ロシアの金持ちを甘く見てしまった極北の写真家展

2016-09-04 00:00:01 | 美術館・博物館・工芸品
9月5日まで銀座松屋で開催中の「星野道夫の旅」。没後20年記念である。

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慶応大学在籍中に米国各地を旅行し、大学の冒険部に入部し、アラスカを中心とした極北地域に住む動物たちを被写体とした写真家を目指す。

カリブーをはじめとした草食動物やクジラやアザラシ類のような海生生物。そして成獣は大変おそろしい肉食のホッキョクグマなどを至近距離で撮影している。

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もちろん、カメラを持つ撮影者は、影のようにふるまわないといけないわけで、雪と氷という自然環境の怖さに加え、野生生物の生態に詳しくなければ写真技術だけでは到達しえない作品を次々に発表。

若くして世界の注目写真家になっていった。

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しかし、20年前、まだ43歳の彼に事故が起こる。テレビ局T社の仕事で、カムチャッカ半島(ロシア)で撮影中に、近隣にヒグマが出没。鮭が川を上る時期で、ヒグマは餌が豊富な時期は人間には近づかないという一般的な生態を知っていた星野氏は、テントでの野営を続けていたそうだが、そこに悲劇が起きてしまった。

その後、彼を殺害したヒグマは地元の会社の社長が餌付けをしていて人間の匂いや人間の食べ物に近づいてくるようになっていたことが判明した。簡単に言うと、熊をペットにしていたということだ。熊が人間界に慣れ、人間が野生動物の世界に慣れてしまったという双方の誤解が惨劇の原因だったわけだ。

熊をペット化するロシア人など日本人には想像を超えていたということだが、米国人にしても、犬と猫に次ぐ第三位のペットが馬だということを知らなければ彼らを知ったことにはならないだろう。


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