それでも夜は明ける(2013年 映画)

2021-06-17 00:00:07 | 映画・演劇・Video
奴隷映画だ。ある意味、1841年に、奴隷ではない黒人が誘拐され奴隷として首都ワシントンから南部の奴隷州に売り渡されたわけだ。被害者はノーサップ氏。彼はなんとか12年の忍耐の末、自分が自由黒人であったことが明らかになり救出されたが、ずっと奴隷の身分だった彼の奴隷仲間は置き去りになった。

ノーサップ氏はその後、奴隷体験記を書き、それが本映画のシナリオになった。監督は、スティーブ・マックィーン。

その頃の奴隷の歴史は、南部奴隷州と北部自由州と中立州にわかれていて、北部自由州には、ノーサップ氏のような自由黒人と南部からの逃亡奴隷がいた。北部州は奴隷制度はなかったが、ただし南部の地主たちの奴隷所有権は認めていて、逃亡奴隷を南部州の組織が北部州で見つけた場合、南部への連行は認めていた。まあ、ひどい国だ。

その後、1861年から4年間の南北戦争で50万人が死亡し、その結果、奴隷制度は廃止になった。といっても公民権を認めたわけではなく黒人が入れない場所は公立施設もふくめたくさんあった。法的にはケネディ大統領の時に、公民権は認められ、差別はなくなったはずだが、社会の中の差別は色濃く残っている。

そして、話題となり映画賞をいくつも獲得した本映画だが、よく考えると日本でいうと幕末の動乱期で、切り合いをしていた頃だ。様々な歴史ドラマに描かれている。アメリカでは黒人差別を歴史として認識していないのだろうか。

もっとも、南北戦争の後、奴隷制が廃止になったため、労働力不足となり、穴埋めに日本の農村から大量の働き手がアメリカ大陸にあふれていったわけだが、日本の歴史教育では教えていない。