機関銃の設計図を中国に・・

2021-05-25 00:00:42 | 企業抗争
陸自の機関銃の設計図の一部が中国企業に流出した。普通、流出と言えばコンピューターに不正に侵入したり、ビル清掃会社のアルバイト社員として女性諜報員をオフィスに闖入させ、ごみ箱のごみを回収したりと、情報をいただく方が苦心するのだが、今回は、頼まれもしないのに自分から流出したそうだから驚くばかりだ。

陸自から設計を頼まれた某社が下請け会社に仕事を投げて、下請け会社が部品の設計のため機関銃の図面の一部を中国の会社に渡したようだ。

しかし、下請け会社に対して指導が不足していたといっても、作っているのが機関銃(マシンガン)。ここは日本なので機関銃を使うのは自衛隊で、現下の情勢で中国に頼むなんてことが、どうして起こるのだろう。下請け会社だって、いや誰だってまずいと思うはず。

尖閣列島のような岩場ばかりの島は、防衛が難しい。だから、両国とも先に上陸したりしにくいわけだ。先に上陸しても反撃されれば壊滅するはずだ。その時に最初に使われるのがマシンガンだ。

当該社は、もう機関銃をつくることはやめたそうでHPにも本件の説明は見当たらない。


武器に限った話ではないが、国の発注事業にコストダウンのため海外の会社が絡むというのは、経済学的にいっても、困った話だと思う。国の支出というのは一方で税金が原資(実際には半分近くは国債なのだが)なので安い方がいいと思われがちだが、実際にはその波及効果がある。大恐慌の後のニューディール政策では政策出動の10倍の波及効果があったと言われる。そこから上がる利益(広い意味の利益で、売り上げに近い)からは法人税や社員の所得税や給料が上がった分の購買からは消費税も国に入る。

ただ、戦後の日本の場合、道路のための土地代は地主の懐に入って、地主はそれを使い切れず金融機関に預けてしまうので、波及効果はあまりなく、およそ3倍ぐらいだったはず。

商流の各段階での利潤や社員の給与(人件費)、国産の原材料の付加価値分などが国内に残りそれに対して2割ぐらいの税金収入があるはず。

一方、大部分を海外委託費にすると、最終段階での僅かな利潤だけが国内に残り、税金収入なんて期待できない。多くの利潤が海外流出してしまうわけだ。


ところで、当該社は機関銃製造を終了するはずだが、機関銃製造のことは前から知っていた。東京都の西側、西武池袋線ひばりが丘と西武新宿線田無の中間に当該社の製造所がある。隣の土地に以前勤めていた会社の研修所があって、研修しているときなどグラウンドで野球をやったりするのだが、球場ではないのでうっかり本気でバットを振ると、隣の敷地にボールが飛んで行ったりする。センター方向のフェンスには隣地の間に穴が開いていてボールを回収できるが、三塁側のファウルボールを打つと、ボールはあきらめるしかなかった。厳重な塀があったからだ。

その時は、何を作っているのだろうと、うっすらとした興味はあったのだが、真相を知ったのはもっと後のことで、たまたまエレベーター関係の仕事をしていた人から聞いた話なのだが、巨大なエレベーターが工場にあったということ。トラックごと、エレベーターに乗るそうだ。それも自衛隊のトラック。完成した機関銃は上階で工場から自衛隊に引き渡しになるそうだが、自衛隊のトラックが一階からエレベーターに乗り上階で機関銃を積み込み、そのまま一階に降りて、どこかに走り去るそうだ。

ブツは厳重管理だが図面は流出した。機関銃は戦闘中は高温になり銃身が歪んできて、命中精度が下がるという欠陥があり、そこに技術力が必要なのだが。