猫あつめの家(2017年 映画)

2021-05-17 00:00:11 | 映画・演劇・Video
千葉県多古町(たこちょう)を舞台とした猫愛好家用の映画という性格と、文筆に行き詰まった若手小説家になんとか再起の道を与えようとする女性編集者の奮闘という二つのストーリーが絡まっていく。

実際には、二つのストーリーの関係は最後にわかるのだが、といってその関係性を聞いてのけ反ったりはしない。

デビュー作以降、ぱっとしない平凡な作家を伊藤淳史が演じ、女性編集者は忽那汐里。わき役陣は田口トモロヲ、木村多江、大久保佳代子とどうみても喜劇系が並ぶ。主役の二人だけが深刻なわけだ。

出版社の連載に穴を開け始めた作家は編集者の要望で無理やりゾンビを登場させてみたものの、ゾンビすら平凡になってしまう。あげく占い師に頼って、雲隠れ先を選んでもらうのだが、頼んだ占い師は店番の老女。本物の占い師が買いにいったタコヤキが待ち遠しく、思わずつぶやいた「たこ」という言葉を頼りに、千葉県の中央部にある多古町(千葉10区)の古家を借りることにするが、不動産屋の書類に職業:小説家と書いてしまい、不動産屋の女性社長がツーショットをSNSにアップしたところから、一夜にして編集者に見つかってしまう。

そのあと、なぜか彼の家に猫が集まりはじめて「猫ハウス」となっていく。

その後、家賃が払えなくなり、ペットショップの店員として猫の夜露を凌ぐことになるも、編集者だけではなくショップ経営者の木村多江からもそそのかされ、奮起して一作の新作を書き終える。

別に、悪い映画ではなく、猫を見ているだけでも心が和むのだが、怖いところとか深刻なところとかは存在しない。小説が書けなくなってガス管をくわえるとかだと、ハラハラするのだが、猫の餌代を稼ぐためにペットショップでバイトをするというような生活ってどうなのだろう。悪く言えば、「猫好きに甘えた映画」という面も、すこし感じる。


なお、映画には全く登場しないが、多古町には有名な観光地はない。鉄道の駅もない。産業の中心は農業だ。特に「やまといも」は生産量が全国二位、生産額は全国一位となっている。内陸なので「蛸」はいない。