聞けば悲しい御殿場線

2019-11-28 00:00:44 | たび
所用で御殿場に行った。晴天であれば御殿場駅の南側にある立体駐車場の屋上から富士山の雄姿が見えたはずなのだが、あいにく小雨というか霧というか視界不良だ。

駅の周辺の一番の名物は『おおわらじ』という2~3メートルのわらじということだが、どこにもない。駅前の観光協会に行って聞くと、夏のわらじ祭りの時だけの展示だそうだ。いつも出しておけばいいではないかと思うのだが、もしかしたら、わらじは毎年の祭りの時だけ使いまわししているのかもしれない。晴れていれば観光協会で「富士山観覧証明書」をいただけるはずだが、一寸先は深い霧ということで、欲しいとは言えなかった。わらじが見られないことで観光協会の人には大いに慰められたのだが、わらじを見るために御殿場に行ったわけではないので・・・



ということで自然と足は、駅に隣接した『ぽっぽ公園』に展示されているD52蒸気機関車に向かう。もちろん、雨の公園を楽しむ人なんかいない。

思えば、沼津から北上し、御殿場から東海道線の国府津(こうず)までは御殿場線だが、単線であり本数も一時間に上り下りとも2本といったところだ。ところが日本に鉄道網が広がった時分、この御殿場線は東京と大阪をつなぐ大動脈であり、名前も東海道線だった。開業したのは1889年だった。しかも2年後の1991年には複線化した。箱根を迂回するために沼津から御殿場までが上り、御殿場から国府津までが下りということで、御殿場駅までの上りは機関車2台で走り。御殿場で切り替えていた。



また、陸軍の演習場が御殿場で行われることになり兵員や物資の輸送が多く行われていた。

ところが、1934年に丹那トンネル開通で熱海と小田原が結ばれることになり、東海道の大動脈としての御殿場ルートの役目は終わった。さらに残念なことに、戦争遂行のため物資不足ということで、1944年にはせっかくの複線化にもかかわらず、単線化され、レールはどこかに転用されてしまった。その後、復活の兆しは見えない。



もう一つ悲しいのは、御殿場線は神奈川エリアも静岡エリアもJR東海管轄のため、電子マネーはSuicaではなくTOICAだ。Suica区間で乗車してもTOICA区間なので精算できないそうだ。

今は、毎年8月の後半に行われる富士総合火力演習(略して、火力演習)の日が大賑わいだそうだ。チケットは応募申し込み方式でおカネで買えるわけではないのだが、その故、入手困難を極めているようだ。ただし、地元で聞いた話では、防衛省内にコネのある人はもらえるとのことだが、真偽は不明。桜を見る会みたいなものだろうか。

富士スピードウェーはあるものの、以前1年だけF1開催したときに、街中が渋滞になり、サーキットに到着したときには表彰式が終わっていたという醜態になったこともあり、それっきりになったそうだ。