古墳の話(小林行雄著)

2019-10-16 00:00:15 | 歴史
古墳について、本を読んでいる。先日は森浩一氏による『古墳の発掘』という本を読んだが、同じようなことを書くにしても、アプローチはまったく異なる。『古墳の発掘』はどちらかというと発掘現場からの視点で、いかに考古学が大変なことになっているかというような涙の物語風だが、『古墳の話』は、発掘された様々な歴史の証拠品を組み立てて、古墳時代の日本の姿を明らかにしようという視点にたっている。



とはいえ、現場的な感想も書かれていて、古墳の調査に行くとかならず聞かれるのは、1.誰の墓なのか?2.いつ作られたものなのか、という質問で、ほとんどの場合、1の質問も2の質問も、正確には答えられないわけで、現地の人からは、「三流学者」という目で見られるそうだ。

そもそも、最初は天皇というか王というか、そういう国家の支配者の墓だったのだが、そのうちに豪族までもが古墳を作ることになり、さらに困ったことにそのうち古墳が作られなくなり、すぐに古墳の主もはっきりしなくなったようです。天皇陵ですら、確定しにくいのに、地方豪族の古墳の主を調べるのは、ほぼ不可能のようです。文字がなかったし。

あと前方後円墳といっても時代や地域によってデザインは異なるし、古墳に関するすべての事柄に諸説があることがわかるわけだ。

そういう意味では中国という立派な国があったわけで、そこの記録を調べることにより、中国と朝鮮半島とそこにチョクチョク顔を出す日本という存在を推測しなければならないわけだ。

常識的に考えれば、朝鮮半島南部に日本の拠点を作って武力行使をするほどの余裕のある国が日本にあったということが、なかなか理解しがたいのだが、日本にいない馬を輸入して戦闘用に牧場(牧)で育てて、それを船に乗せて朝鮮半島まで連れて行くというような、技術があったということが信じにくい。米軍が同盟国に戦闘機を売るようなものではないか。

古墳の本を読むと、次々に歴史の謎が増えてしまうわけだ。