端渓の硯

2018-06-24 00:00:21 | 美術館・博物館・工芸品
文化大革命が破綻し、四人組が拘束された少し後の北京で、ある中国物産品の専門商社の方が手に入れてくれた硯が、しばらく前に手元にもどってきた。一度手放したものが戻ってくるというのも、嬉しいこともあれば悲しいこともあるが、どちらかというとこの硯については嬉しい。その原因は悲しいわけだが。

tankei


それで、硯の鑑定だが、実は「端渓硯(たんけいすずり)」には大きく分けて3種類があるらしい。

そもそも端渓の故郷は香港の少し西(といっても川に沿った山奥)にある肇慶という場所の岩石である。漢の時代から明の時代まで掘られていた。古代の歴史的な硯であるとだいたい5百万円から1千万円だそうだ。清朝のもので50万円位。

一方、ちょうど文化大革命の頃に、中国政府は全面的に発掘禁止にしたため、端渓という名ではあるが端石という硯が登場した。実用上は同じだそうだが、こちらは5万円程度。流通していた経緯を考えれば、手元にあるのは、これだろうか。

さらに、ほんの最近になってあらわれたのが、いわゆる偽物的製品。プラスティック製だそうだが、なかなか見分けがつかない精巧なものらしい。値段はない。

つまり、完全に三段階になっている。これは「松竹梅」の真ん中の「竹」ということだろうか。しかし、よくみると梅の図柄が彫られているわけだ。