A Tail of Magic(ミュージカル/麻布演劇市)

2017-05-22 00:00:44 | 映画・演劇・Video
劇団あまみゅ☆カンパニー第6回公演のミュージカル。六本木の小さなシアターで。数年前に同劇団で公演したもののリメイクということだそうだ。





某王国の王様が病気に伏し、放蕩息子が王冠を継ぐことになる。国民が困窮して食べ物も乏しいというのに、本人はスイーツや肉をがつがつと食い、肥満体になっている。さらに忠告した料理長は粛清されてしまう。

となると、日本近郊の某国を連想してしまう。リメイクとなったのはそういう事情かもしれない。

王子はちょっとした理由で城を出て街中を歩き回る。暴れん坊将軍みたいだが、市井で自分の悪評をさんざん聞くことになる。そして、身分を隠したまま、反政府活動に加わり共謀罪で捕まりかけてしまう。

そういった、王族対民衆の対立とは別に、この国の支配権をめぐり、人間対魔女というテーマがある。魔女は時に怒り王国を滅ぼそうとしたり、気まぐれに許したりする。北風政策と太陽政策というわけだ。

ということで、二つの対立軸が劇中で交錯するので、案外複雑なのだ。隣の席に座っていた全くの他人の小学生女子は、栄養失調で亡くなってしまった女性の娘がくさりかけたリンゴを、遺体を演じる母親の口に詰め込む場面で泣き出してしまった。笑っている人が多い場面だったのだが。

で、劇中では、魔女(米国?)が若い新国王を殺してしまうのだが、思い直してまた復活させてしまう。その必要エネルギーは最大級で、魔女は力をかなり失ってしまう。


全5回公演の千秋楽であって、役者数を数えたところ27名ということで、かなりの迫力であったが、演劇ってその無形性が演劇たるところではあるものの、千秋楽の幕が下りるまでの累積エネルギーって莫大だよね。