イン・ザ・ヒーロー(2014年 映画)

2017-05-29 00:00:48 | 映画・演劇・Video
スーツアクターという仕事がある。怪獣とか仮面ライダーとか「かぶりもの」を使って主に格闘をする。格闘をしなくてもいいというのは、ご当地キャラだが、格闘するとなるとさらに体力と忍耐が必要だ。悪役に慣れなければならない。5人登場とすると、最後に勝つのは1人で、残り4人は殴り殺さる役だ。4人で1人を殴るということにはならない。

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本映画では、このスーツアクターになるのは、いわゆるスタンドマン(スタンドバイ)と言われる人たちで、アクション映画だけではやっていけないから「かぶりもの」もやる、という設定になっている。

実際には、そういう簡単な話じゃなくて、「かぶる」方は専門の人がいたり、役者の卵が数合わせで動員されたりするはずだ。そういう人たちからの批判があったらしい。

そして、下落合ヒーローアクションクラブの経営者で自らも25年のスーツアクター経験がある男を演じるのが唐沢寿明。実際に、そういう仕事をしていた過去を持つそうだ。

妻とは離婚したものの娘を介してしょっちゅう会っている。本当はいつか自分の名前と自分の顔をスクリーンに映したいと願い続けている。

そして、唐沢の前に現れたのはハリウッドスターを夢見る生意気タレント。映画に出演するため、アクションを覚えようとするが、簡単にはいかない。福士蒼汰が演じる。

ここからは、唐沢と福士がぶつかるという定番コースに入るが、よくある展開で、二人の将来の夢が同じ方向であることが明らかになっていく。

そして、簡単に言うと、福士がやっとつかんだハリウッドへの道に大きな障害が現れる。フィナーレで白覆面の忍者が登場して、山盛り人数の黒忍者を切り殺すシーンの冒頭の二階から落下するところが危険すぎるとして予定されていた俳優が香港に逃げ帰ってしまったわけだ。

そして、ワイヤーとかCGで対応しようという話になり、それなら、そもそも物価の高い日本ではなくソウルで撮影したらどうだろうなどということになるのが、監督が同意せず、そのシーンのために撮影前に4か月特訓していた唐沢の出番になるわけだ。

本映画は、映画のストーリーにはまりこまないと、なかなか共感しにくいところがある。二人の男の夢というのに同意するのが前提だし、なんとなく暗い影を感じるところがある。

といっても、暗い影がなければ、単なる喜劇かアクションになってしまうような気もするし、ちょっと浮いているが唐沢の娘を演じる杉咲花が場違いに明るいというところが勘違い的ユーモアを添えていると言えるかも。