アントキノイノチ(2011年 映画)

2017-05-02 00:00:34 | 映画・演劇・Video
2009年に出版されたさだまさしの同名小説が原作。2年後の2011年に映画化される。その映画公開直前に映画より2年前のシチュエーションのテレビドラマが放送される。やや意味不明だ。

岡田将生と榮倉奈々がW主演で、それぞれ心に傷を負った過去を持つ人物を演じる。クーパーズという遺品整理会社で働くことになる。

antoki


実は、先日、実家の一つをロープライスで売却したのだが、家を解体する際、残った物品を処分してもらった。解体業者の下請けで遺品整理会社が使われた(あるいは解体業者自身が行ったかもしれない)のだが、家で孤独死したわけでもないので事前に自分で片付けていたのだが、親が捨てずに残していた雑多な物により、親の考えていたことがうっすらとわかることもあった。といっても映画に登場する遺品整理の場面は、死体に沸いたウジとか幼児が殺されて親が刑務所に行った後とか、ゴミ屋敷とか、かなり悲惨だ。

たぶん、給料は中の上なのだろうが、社員の定着率は悪いのだろうな、と想像がつく。

そして、二人とも心の傷を徐々に癒していくのだが、残念ながら二人のうち一人がなくなってしまう。

通俗的に言うとメンヘラ映画ということになるのだが、メンタルヘルスマネジメント1級という資格を取得している身から考えると、心の傷をいやすために過去の記憶をもう一度蘇らせ、それを再分析して、「よく考えれば、あなたが悩む必要なんかなかったのですよ」という結論を導き出すという治療方法は、一時、大流行したのだが、その過去のつらい思い出が脳の中に復元された結果、最悪のケースが多発することになり、今では行われない。病状が悪化して亡くなった人のことは誰も口に出さないことになっているようだ。

そもそも精神科医って難しすぎる分野なのに報われない。

まず、自分は病気ではないと思っているのに無理やり連れてこられる患者が多い。普通の病気と逆だ。次に、眠れないとか胃が痛いとか言ってくる患者にしても、脳腫瘍とか胃潰瘍かもしれないわけで、通常の医学的検討を行ったうえ、他に原因がなければ心の病気というわけで、判断が難しい。さらに潜在的患者数に対して医師が少ないので、一人当たりの診察時間も短いし、短い時間の中では、何が異常かもわからない。言葉巧みに、嘘を並べる人だっている。しかも会社を休職している患者は、1年間等の規定の期間を過ぎると復職できずにタイムアップでクビになるので、「なんとか治ったことにしてほしい」と必死に頼まれたりする。精神科医自身がよく病気にならないものだ。

最近の事件でも、谷秘書官とか中川議員とか3億8千万円を強奪された会社員とかメンタルが心配である。