都市鉱山、いや都市金山の話(1)

2017-05-03 00:00:01 | 市民A
福岡市で金塊購入費3億8000万円が強奪された事件があったのだが、報道によると奪われた札束の重さが38キログラムということだった。札束の場合、1キログラムが1000万円ということになる。

一方、1キログラムの金塊は、およそ500万円弱(消費税込)なので、1万円札は重量当たりでは金の2倍の価値があるということになる。通貨の面目を保ったということだろうか。

ところで、金は希少価値がある金属で、今までに採掘された量は18万トン程度といわれている。その中には都市鉱山といわれ古い携帯電話などに使われたままになっている金は7千トンあるらしい。しかも金鉱石の金含有量は1トンあたり6gなのに携帯電話1トンからは300gも取り出せるそうだ。

ということで、携帯電話から金塊を作る順番を押さえてみる。(田中貴金属資料などより)

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1. 王水溶解と還元
王水というのは硝酸1と塩酸3を混ぜた液体で、これに金を使った部品を入れるとプラスティックは溶けず、金だけが溶ける。そして金を溶かした王水を分離し、そこに酸化しやすい還元剤を投入すると、粉末状の金が分離される。


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2. 濾過と乾燥、精製
溶液から金粉を濾過し分離。水分があり茶色の状態。これを洗浄する。
そうすると、サラサラな金粉になる。カレー粉みたいな色になる。


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3. ささぶき加工と鋳造
聞きなれない言葉だが、カレー粉のような金粉を1200度で溶解。そして冷却すると米粒の半分ぐらいの粒子になる。この状態をささぶき(笹吹き)という。
さらに1000度の状態で型に入れ、地金が完成。検査の後、刻印を押して完成。


ところで、都市鉱山を活用して東京五輪のメダルを作ろうという怪しいプロジェクトがあるのだが、次稿へ。