憲法改正手続き

2013-05-28 00:00:13 | 市民A
アベノミクスの最大の問題は、金融政策、財政政策に続き、「成長戦略」を構築できるかということなのだが、どうも遅々として進まずということのようだ。

このままでは、25年度上半期の流行語大賞に「アベノミクス」という用語が加わり、一歩間違えば政権交代ということになってしまうだろう。

で、「成長戦略」よりもご執心なのが「憲法96条改正」ということらしい。どうも総理の頭の中では、憲法9条を書き変えるためには、まず96条の「国会議員の2/3で発議、国民投票の1/2で憲法改正という手順を緩和し、国会議員の1/2での発議」ということが先と思っているようなのだが、各種世論調査を見ると、国民の意識とずれている可能性がある。

世論調査では、「憲法9条の改訂には賛成だが、96条の発議要件である2/3を1/2に改正する件については慎重論が多い。

世論調査はともかくも、日本人の気性のムラから考えると多くの国民は安易な改正は危険と見ているのだろう。小選挙区制度では選挙のたびに一過性議員が大量発生してしまう。少なくても国民の政党別支持率より議員数の政党別支持率の方が多くなるわけだ。つまり、改正要件としては国民投票の比率よりも、議員比率の方が大きい方が自然なのである。

また、憲法というのは、現在の国民のみならず、これから生まれてくる国民をも規定する法であるわけだから、単に「現在の国民の過半数で変更可能」というのも、考える点はあるように思う。


また、ご執心の第9条を改訂したあと、今度は憲法改正をもっと難いルールにして、右寄り硬直型憲法に変わってしまうことはないだろうか。理論的にはありえるのだろう。

もっとも、現行憲法の中心命題は第9条だけではなく、「基本的人権」、「主権在民」というところにもあるのだが、「種々の人権侵害」とか「一票の格差」とか、おざなりになった部分も多い。逆に、日本国民が私有財産を保証されているのかどうかはっきり書かれている部分がきわめて少ないことや、そもそも立派な憲法の元で第二次大戦に国民総意で突っ込んでいったドイツの例や憲法のない英国とか考えると、はたしてこんな議論をしていることさえ、どうなのだろうとか考えてしまう。


個人的なアイディアだが、一旦改正した憲法でも、5年を経た段階で再度、改正された部分について、国民投票を行って「本当に変えてもいいのか」を再可決するような方がいいのではないかと思う。

それより、「成長戦略」をおざなりにすれば、またもアベノミクスからアソノミクスに逆戻りすることもあるわけだ。