B787搭乗

2011-11-29 00:00:20 | 市民A
B787が、数々の問題を解決した末、初めて納入した先が、全日空。

最初のフライトは羽田~香港のチャーターだったような気がするが、チケットはオークションで120万円になったということで、搭乗券は手に入らなかった。というか、手に入ったら120万円で売っただろう。

そして、国内線では羽田~岡山、羽田~広島にその1機が就航しているということで、何とか搭乗成功。

b787


しかし、搭乗前に、イヤなニュースがあった。

B787型機が初めてのトラブル

11月6日午前8時50分頃、羽田発岡山行きの全日空651便・B787型機が、岡山空港に着陸しようとしたところ、主脚油圧装置のバルブ故障を示す警告が点灯しました。このため、同機は着陸を取りやめ、手動で主脚を降ろして、約20分後に無事着陸しました。実際に脚が降りていなかったのか、警報機器の故障だったのかは「調査中」との事です。B787型機の運航中のトラブルは初めてになります。同機は部品を交換して、同夜、乗客を乗せずに羽田空港に回送されました。


もし、手動でも脚が降りなかった場合、どうなったかというと、たぶん胴体着陸ということなのではないだろうか。

一方、機体軽量化のために、機体には東レの炭素樹脂が大量に使われていると聞いている。エプロンに胴体をこすると高熱が発生することが想像されるが、どういう結果になるのだろうか。マッチ棒になるのだろうか。

実際に胴体着陸の実験を行うと、一機が無駄になるのは間違いないのだから、やはりトライ&エラー方式なのだろうか。

(もちろん、本読者がこの原稿を読んでいるということは、筆者が無事生還したことを意味しているのだから、同型機に乗らない限り、読んでいて怖いことは何もないわけだ)

787


そして、せっかく新型機に乗っても、この飛行機の快適性の一つのポイントの窓の広さとか電子遮光カーテンについては、窓際の席に座らなければ関係ないのだが、予約段階で3席しかあいてなく、35列になっている座席の前から18番目、そして横も中央の席と、ほぼ機体の中央の席を選ぶしかなかった。だから、快適性というのは、気持ち席が広く感じること、天井が高く収納スペースが大きいこと、ヘッドレストが上下に調整できること位だ。

機内で見られる映画(といっても短編)はまだ本数が少なく、『いちばん先の景色へ。・ ボーイング787 世界初就航までの軌跡』をみると、機体の35%を日本企業が製造したということになっていて、特に全日空が特注したアイテムは、客室内の結露落下防止装置とトイレに洗浄機能追加ということだそうだ。いかにも日本的。

そして、欠点の一つは、長所でもある頭上の収納スペース。確かに容量大型だが、大き過ぎて、小さな手荷物は、着陸後、靴を脱いでシートの上に立ちあがらないと手が届かない。

もう一つの欠点はイヤフォン。ジャックのピンを奥まで差し込むと、音が聞こえない。やや浅いところにしなければならない。前述の映画のあと2本目のドキュメントで、『前田典子の、「嗚呼、涙メシ」』を観ているうちに、「なんで出演者が1本目のドキュメンタリーと同様に口パクなのだろうか」ということになり、色々やっているうちに、ついに音が聞こえるようになる。

そして、人気モデル前田典子は既に45歳だったことに驚き、さらに彼女の中の涙メシ第一位が、大阪の「きつねうどん」ということに、かなり驚く。よく聞いていると、彼女の実家がうどん屋で、既に歴史ある店舗を廃業してしまった、ということ。そこで毎日、油揚げを煮込んでいた母親の味が第一位ということだそうだ。

で話をB787に戻すと、離陸が、あっという間に、それこそ鳥のように飛び上がっていくわけだ。軽量ボディの特徴だろうか。翼も、大きくしなるようになっている。これも新素材の効果なのだろう。どうも飛行機が徐々に鳥に近づいているのではないかと、思うのである。

最後に、欠点とも長所ともいえないのだが、キャビンアテンダントは、新型ではなく、すべてベテランである。しかも国産比率100%。「コーヒーが無料ではなく、有料になっている」と、機内で言い続ける係である。


村上春樹の「ノルウェーの森」では、主人公が飛行機の中で、そこまで書かれていたすべての過去を振り返ることで、長編小説の収支尻を合わせることに成功するのだが、私もB787が着陸体勢に入った時、ふいにこの機種の遠い先祖が、憎き敵機、B29爆撃機であることに気づいたわけだ。