ギリシア神の怒りか、あるいは

2011-11-10 00:00:39 | 市民A
古代ギリシアの遺跡をネタにした観光業の収入を食いつぶしたギリシア国民が、今、目前にしているのは、「耐乏生活」か「国家破綻による総ホームレス化」の二者択一かもしれない。今までいい思いをしていたのだから、少しは我慢しろというのは、他国の常識ということもできるし、もっとファンタスティックにいえば、ギリシア神の怒りということかもしれない。

さらに、ギリシア最高峰、標高2900メートルのオリンポス山を、勝手に社名にしてしまった「オリンパス」が、不正経理の末、企業価値を大きく毀損される事態になっている。粉飾決算の責任もあるし、本来、赤字であれが払わずにすんだ法人税や配当金に対する責任は、明らかに高額となるだろう。それと、上場廃止となった場合の株主に対する経営者責任は、ホリエモン事件よりずっと重大なのは言うまでもない。

上場廃止になっても、企業活動が継続できればまだしも、医療現場のどこにでもあるオリンパス製品の維持管理に影響が出ることになれば、世界的な重大事件になる。


ところで、粉飾の実態はまだ明らかにならないのだが、世界シェア75%を誇る、医療用内視鏡のこと。

二十数年前になるが、突然に胃潰瘍になったことがある。まっすぐ立てないほどの痛みが走り、食事をしても、固いものは苦しくなる。たまたま父親が十二指腸潰瘍で手術をしたりしていたので、心配になり、そこそこの大きさの病院に行く。

そして、数日後に内視鏡(当時は胃カメラと言われていた)を飲み込むことになったのだが、・・

始めての経験だったのだが、ベッドに横倒しにされマウスピースを太さ1センチほどの黒いホースみたいなものを押し込まれるわけだ。オエッ、オエッ、オエッ、オエッて感じだ。

人生最大の苦痛の瞬間だった。(後で父親に聞くと、胃の手術をすると、カメラなんか何とも思わなくなるよ、と言っていた。)

ともあれ、さらにもう一回カメラをやることになり、結局、カメラをやることの苦痛が先になり、自然と生活を節制して完治したのだから、太い内視鏡にも効用はあったのだが、その時の医師の説明では、

「オリンパスのシェアは90%なんですよ。だから殿様商売で、太いままなんですよ」とのことだった。


そして、現在、シェアは75%まで落ちたのだけだが、それは新規参入者が増加して、どんどん細い内視鏡が市場に登場することになって、競争激化したからということなのだろう。

時期的に言うと、シェア90%の時の利益を製品開発に回さずに財テクにつぎ込んだのだろうと思うわけだ。


ところで、オリンパスという社名だが、1919年(大正8年)に創業した時は、高千穂製作所という社名だった。高千穂といえば、日本の神様が空から降りてきて最初に住まわれた高原である。それが突然2年後の1921年にギリシア神の住むオリンポス山の名前を使うことになったようである。

ギリシア神の怒りだけでなく日本神話の神々も怒っているのではないだろうか。