ふくやま文学館

2011-04-17 00:00:00 | 美術館・博物館・工芸品
世に「美術館」は数多いが、「文学館」というのは、かなり少ない。個人の文学館の場合、作家の生家や書斎を利用したものが多いし、「ふくやま文学館」のように、地元に何か縁のある作家達を特集したものもある。美術館の場合、収集した美術自体がアートであるのだが、文学館の場合、作家の万年筆や、著作を並べたところで、それを見た方が何かを感じるかどうかわからない。




それで、本当はあまり関係ないのだが、福山や尾道を題材にして活躍した、志賀直哉や林芙美子といったグループがある。

一方、生まれが福山、尾道といった産地型ご当地作家については、資料が多い。

特に、この文学館が力を入れているのが、「井伏鱒二」。

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有名作については解説付きで紹介してもらえる。山椒魚など、実際に水底にある岩穴の模型が設置されている。水族館みたいだ。

また、鱒二は将棋好きで、かなり日本将棋連盟の創成期に援助しているように思える。巨大な五段免状が展示されている。大山康晴氏と懇意にしていて、並んだ写真があるが、丸縁メガネと鼈甲眼鏡を取り換えると見わけがつかなくなるだろう。


そして、日野啓三。芥川賞作家である。その芥川賞の賞状が展示されている。結構シンプルだ。賞金 30万円、商品 時計、とそっけない。表彰状の大きさは、半紙1枚程度。将棋免状の4分の1以下の面積である。

この一枚の紙切れがもらえなくて、一生を棒に振った太宰治のことが頭に浮かぶ。私立大学卒で初めてノーベル賞を狙う候補者も芥川賞落選。ちょっと滑稽な感じが漂う。

そして、さらに展示物を眺めていて、ある一人の童謡詩人に興味を持つようになった。

「武内俊子」。いずれ、・・