順位戦最終局

2008-02-23 00:00:00 | しょうぎ
b4e7c3cf.jpg3月になると、将棋棋士の頭の中は順位戦でいっぱいになる、ということを聞いたことがある。まあ、わからないでもないが、実際にリーグ戦は1年を通し、ほぼ月1局のペースで行われるので、3月の1勝も6月の1勝と代わる訳でもない。第一、自分の目前の試合に全力を出すというだけであって、それ以外のことをするというのでは『疑惑の構造』ということになる。が、長く同じリーグにいるには、付合いが大切という声もあるのだろうか。まあ、そういうこともないのだろう。

スケジュールによれば、3月3日がA級、4日がC2級、7日がB2級、11日がC1級、14日がB1級。その他奨励会が10日、女流育成会がすべての最後で3月16日である。

A級最終日は、例年、NHK衛星放送で生中継されるのだが、多くの場合、相撲中継とか国会中継の犠牲になって深夜だけになったりする。今年は、相撲はないようだが、暫定税率問題で国会紛糾は間違いないところなので、朝と深夜だけの放送になるかもしれない。解説者にとっては、終わった将棋を並べてみせるだけという「おいしいお仕事」になるのかもしれない。深夜にやっとテレビを観ると、贔屓棋士が負けていて、さらにガソリン代も下がらないという結果になっていても怒らないことだ。

そして、このA級順位戦の解説陣というのも選定が難しい。強い人気棋士の大部分が仕事中だからだ。となると、まず「森内名人」が当確。そして、B1組はまだ最終戦が残っているので、気楽な人がいるかどうかだが、早々と昇級を決めた「深浦・鈴木」両八段。そして、最終局が意味の少ない「渡辺竜王」ということになる。女流棋士の方は、いつものようにややこしいのだろう。

そして、全クラスを俯瞰すると、いくつかの個人的興味はあるが、それは別として、A級のこと。今年度序盤は白星組と黒星組が二つに分かれて互いに独走を続けるという、意外な展開になり、特に谷川・佐藤という強豪がそろって陥落方向に向っていた時には、将棋ファンの誰しもに不吉な思いがあったのではないだろうか。

まず挑戦権の方だが、羽生二冠が7勝1敗、三浦八段が6勝2敗。羽生二冠が負け、三浦八段が勝つと決定戦に持ち込まれるのだが、今年度の勝率が7割2分の方が2連敗する率と5割2分の方が2連勝する率を考えると、おそらく・・

問題は、降級の方で、既に1勝7敗の行方八段の降級が決まっているが、2勝6敗で並ぶ佐藤九段と久保八段の争いになっている。しかし、順位の関係で同星(互いに勝ちあるいは互いに負け)の場合は順位下位の久保八段が降級することになる。「これが順位戦だ。」ということなのだが、もう少し遡ってみると、例えば、昨年の結果を見ると、両者ともに最終的に4勝5敗だった。つまり現在の順位が決まったのは、さらにその前の年(2年前)に遡るわけだ。その時、順位3位だった久保八段が3勝6敗。順位4位だった佐藤九段が5勝4敗ということで、順位が入れ替わっている。2勝差ではあるが、その年の第6局の佐藤×久保戦で、久保勝ちであれば、最終的に両者4勝5敗ということになって、今の順位が逆になっていたはずだ。

しかし、実は、昨年の順位戦第6局の郷田×久保戦の方が問題だったかもしれない。時間切れ疑惑である。対局中の郷田九段の指し手が「時間切れだったのではないか」というクレームが終局直前に久保八段から提起され、深夜、中原副会長の電話ジャッジメントにより、「対局進行後のクレームは無効」という解釈が出た(中原副会長は深夜に自宅にいたのだろうか?という点も興味があったのだが)。

その後、記録係の奨励会員には、秒読みは公正に、「1、2、3・・・9、10」と遠慮しないで「10」ということ、というお触れが出たそうだが、いまだ、その効果はない(というかあるというか)ようだ。

ところで、前半不調で、やっと第9回戦で残留を決めた谷川九段だが、ごく一部で、「降級したら去就は?」というような話題があった。もちろん、そういう事態ではないので、話題は発展しないで終わったのだが、いまさらながらの私の観測では、もし降級したら、その年、あるいは翌年に復帰できなければ「フリークラス」または「引退」したのではないだろうかと想像している。

それは、別に連盟会長を狙うとかいう意味ではない(そちらの方はもう一人の関西系大物も意欲があるようだし・・)。私が想像するに、谷川さんは、著書の中でもかなり羽生さんのことを意識していると見ている。”いずれ羽生さんが同じ立場になった場合、たぶん引退するだろうな”と予測し、先んずる自分の進退を決めるのではないだろうか、というのが私の推測である。もちろん、もう1度、2度と名人戦の盤上で羽生×谷川戦を堪能したいので、そういうことが起きないことを祈るだけなのであるが。

b4e7c3cf.jpgさて、2月9日出題作の解答。

▲3九飛 △2八玉 ▲2九金 △1七玉 ▲1九香 △2七玉 ▲1八金 △1六玉(途中図1) ▲2八金まで9手詰

b4e7c3cf.jpg飲み屋の将棋大会に顔を出して、この問題を出題したところ、だいたい同じ思考パターンをたどるようだ。

まず、▲1八飛 △2九玉 ▲2八金 △3九玉 ▲3八金 △4九玉・・・▲9八金 △8九玉(失敗図1) ▲8八飛成(反則)まで。

次に、▲3九飛 △2八玉 ▲2九金 △1七玉に▲1八香と香をダイレクトに打ち失敗するパターン。さらに正解と同様のコースで途中図の一手詰を見落とし、▲1七金以下、飛車を入手する(失敗図2)。

なお、攻め方2七桂はなくてもいいのだが、6手目に中合いの場合、金の前進で詰むようになっている。そのため、最終手の金開きが読みにくいのかもしれない。





b4e7c3cf.jpg今週の出題は、『日めくりカレンダー』2月19日に掲載されている問題。

わざわざ、難易度の低い問題を投稿したのに、中には、わざわざ難易度の高い問題を出題された方もいる。日めくりなのだから、一日の最初に、解けて嬉しいという気持ちが持てるような問題にしている。

コメント欄に最終手と手数と酷評いただければ正誤判断。






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