小杉小二郎展(~2/17)

2008-02-17 00:00:33 | 美術館・博物館・工芸品
7cf23084.jpg損保ジャパン東郷青児美術館で開かれていた小杉小二郎展のこと。東郷青児賞受賞記念。

小杉小二郎は1944年、東京に生まれる。父は美術史家の小杉一雄、祖父は画家小杉放菴。画家一家である。また、叔父である小杉二郎はインダストリアルデザイナーということ。

美術とは関係ない話だが、まず苗字が小杉と「小」の字が入っているのに、名前にも「小」二郎とは重複もいいところだ。さらに父、一雄からすれば弟(と思うが)が二郎というのだから、小二郎では弟のこどもみたいな名前である。さらに、9才の頃、他家に預けられていたとか、小二郎が、大学卒業後、一旦、インダストリアルデザイナーを目指したことからして、何か深い理由があるのではないだろうか、と考えたところで、前に進まない。

24歳のとき、画家に転向し中川一政画伯に弟子入りする。そして、26歳になり、フランスに渡り、以後、日本とフランスをベースにし、作品を発表し続けている。パリ郊外のサン・レミに一時住んでいたということで、今回は「サン・レミのダリア」という作品も出品されている。無論、サン・レミはゴッホが亡くなる前年1889年を過ごした町で、月星夜などの大傑作多数を描き上げた地であるが、小二郎は画家の卵の時に先回りしてしまった。

7cf23084.jpg会場には、多数の絵画が並ぶが、どちらかというと「へたうま画法」というか、あまり高く売れるような絵画ではないかもしれない。仮に小中学校の美術の時間にこういう絵を描いたら、教師から注意されそうだが、そこは画家一家のご威光で、この画風を守れたのかもしれない。

7cf23084.jpgしかし、一見、紙芝居風であっても、じっくり見ると裏に何かが隠されているような意味を感じるのが、この人の画風であるのだが、その隠れている何かについて、その正体を実感することは、私には難しかった。ただ、何かが隠れているのだが、感じる糸口が見つからない・・

ところで、彼はフランスの田舎(たぶんサン・レミ)で、こう言う。

絵描きは、孤独の仕事だから、一人が好きでなければ絵が描けない。しかし、人が好きでなければ絵が生きない。そして自然をこよなく愛せなくては絵心は沸くまい。絵を描くには結構こみいった条件がいるものだ。

世界でもっとも短いゴッホ論かもしれない。

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