低姿勢は駒だけ

2008-02-16 00:00:57 | しょうぎ
63b9f51a.jpg先日、「とらばいゆ」という女流棋士界をモデルにした映画(VIDEO)を観た。主演の瀬戸朝香さんが対局するシーンでは、将棋盤を前に、慣れぬ手つきで、駒を動かしていたが、どうにか形にはなっていた。

この駒を動かすという手つきでも、将棋を覚えてから1年くらいは格好がつかないものだ。基本は親指と中指で駒を掴んで、人差し指の上に乗せ、最終的には人差し指と中指を縦に重ねて、その間に駒を挟んで、盤上に打つ瞬間に人差し指を引っ込めて、中指だけの力で、「ピシッ」と升目の中央に置く。これが基本だ。

ところが、現実の世界は、そのようになっていない。

テレビ将棋などで見ていると、多くの若手棋士は、流儀が違うわけだ。まず、駒音が小さい。「ペチャ」という感じ。さらに、升目の中央ではなく、五角形の駒の下の線を枡目の下側の線に合わせて揃えるわけだ。もともと駒はそれぞれ大きさが異なって、王と歩ではかなり大きさが異なる。本来、枡目の真ん中に置くべき駒をを枡の下に合わせて置くものだから、相手側から見ると、駒の頭が相当の不揃いとなる。

早い話が、みっともないからやめてほしいわけだ。

では、なぜ、そんなデファクトスタンダードが蔓延っているかといえば、単に「プロは勝負に辛い」ということなのだろう。もっと、一般的に言うと「プロはおカネに辛い」ということ。

最初にこの方法を始めたのは、ある有名棋士だったのではないかと思うが、定かではないので書かないが、駒を線に合わせて置く、というのは相手に次の手を読まれないように、という用心らしいのだ。

つまり、攻撃を考えている駒は、無意識に枡目の前の方に置いてしまったり、右に進もうとする駒は僅かに右に傾いたりするという微妙な駒の位置の変化で、心の動きを悟られる可能性がある、という理論らしい。だから、常に、線の上に合わせておけば、相手からそういう察し方ができないということのようだ。

さらに、駒音を高くパシッ!と指していると、その駒音の変化で、無意識下の心の中を見透かされてしまう、ということらしいのだ。だからいつでもペチャ。

実は、若い棋士の多くが、このペチャ指しをする背景には、プロ養成所である奨励会の入会試験を受ける前に、出身地のアマ強豪や、師匠となるプロ棋士が、タマゴ少年少女を矯正するかららしいのだが、私見だが、「なんでも勝てばいい」というものでもないだろう、と思うのである。

アマチュアの対局でも、時にこういう指し方の人もいて、ペチャペチャ指しているくせに、こちらが負けると、突然、居丈高な大声で感想戦で威張ったりするので、本当に嫌になる。対局に来る前に、「美しい日本」とか「品格シリーズ」とか読んでからにしてくれ、といいたくなる。


将棋ファンあってのプロなのだから、対局スタイルも重要なのだろう、と思うのだが、やはり、「世の中おカネが一番」ということだろうか。

というか、そもそも普及活動と職業棋士というのは、まったく別物で、野球界のように、普及はアマ球界で、ショービジネスはプロ球界で、というように二分化するべきなのだろうか。もちろん公益法人ということにはならないだろうが(伝統文化を利用してビジネス化しているわけだから)。


63b9f51a.jpgさて、2月2日分の解答。

▲4五角成 △2三銀 ▲4三玉 △1三玉 ▲4六馬 △同と ▲1二飛打 △同銀 ▲2二飛成 △1四玉 ▲2四龍まで11手詰。

初手の王手は、本譜か、玉を移動しての空き王手かだが、例えば▲5一玉には△4ニ銀 ▲同飛成 △同龍と王手掛け合い負けになる。2手目に△2三金合は▲同香成△同桂に▲1ニ金という好手があり、△1ニ同玉▲3三玉以下早詰。

63b9f51a.jpg7手目に2三銀を移動させて、▲2二飛成以下、香筋を利用して龍回しで詰める。ただ、最終手は▲2五龍 △1三玉 ▲2四龍という怪しい手(余詰?)がある。

そこまで許容できない潔癖症ではないのだが、念のため、改作図も作っておくが13手詰となる。


今週の詰将棋は、難易度よりも「逆算式詰将棋って、こういうものかな」という方向に特化してみた。

ヒントは、バブルの時代に六本木で万札ばらまいて夜更けまで遊んで、よく覚えてないのだが、朝起きたら自宅のベッドの中だった、というノリかな。

解ったと思われた方は、コメント欄に最終手と手数と酷評いただければ、正誤判断。


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