凸版印刷との懇談会へ

2007-08-08 00:00:04 | マーケティング
6f609998.jpgここ2日間、凸版印刷の文化活動のエントリを書いたのには理由がある。凸版印刷が消費者(市民)との懇談会を設けて、それに運良く出席することができたということ。先に言っておくが、コンサートと博物館とVRシアターの見学の他、昼食のお弁当とお土産のジュース3本(後述)と小額図書カード1枚(これは別スポンサー)と交換に、さまざまな意見をしゃべり、また書く。

会社側からの大きな狙いの一つは、直接ユーザーと接点がないB2B企業である凸版のユーザーイメージの向上策と、雑誌などでは日本1、2を競うと評判の「進んだCSR活動」についての市民からの評価を知ること、あたりだろう。まず、1週間ほど前に自宅に分厚い資料が届く。「会社案内」と「CSRレポート2006」。内容の前に、あまりに立派過ぎる装丁の二冊の大冊子を前に「そうか、世界最大の印刷会社だった・・」といたく納得。

恥ずかしいので現場では言わなかったが、数十年前に、この会社も就職先候補にリストアップしていたので、だいたいのことは知っていた。大日本印刷と業界を二分していて、この数年前についに一位に浮上。同時に世界一位ということになった。1兆5000億円の売り上げに対して利益率はやや低いがそれでも1000億円近い経常利益を上げている。

そしてこの会社の最大の特徴は、ほとんどの売り上げは、「注文生産」ということである。つまり、印刷というのは「行為」であって、それ自体が完結した製品とは言いにくい部分がある。書籍にしても、チラシにしても、パンフレット、ビール缶の印刷、その他、IT部品にいたるまで、この会社の営業行為は、他の会社からの依頼でなりたつといって過言ではない。B2B企業の所以だ。あえて言えば、この会社自体の目的印刷物は自社の「会社案内」ぐらいかもしれない。


意見交換の中で、あるメンバーからは「別に消費者の手元に”TOPPAN”のロゴが入った製品が届かなくても、十分に有名なのだから、いまさら宣伝広告とか不要じゃないか」という意見があり、そうかもしれないと思ってしまう。むしろ、この会社の独自の素晴らしい技術はたくさんあるのだから、そういう技術を活用していけば、それだけでいいんじゃないかと思うわけだ。

会社が心配しているのは、この先、ネット社会となって紙媒体の売り上げが落ちることらしいが、新聞や雑誌を売っているわけじゃないのだから、この世界一の会社がメシの食い上げになることなど、まったく杞憂もいいところだ。業界には規模も小さく、不効率で過酷労働で凌いでいる中小企業が多数あるのだから、業界が仮に縮小したとしてもつぶれる順番は最後だろう。

そして、十分な利益がある会社にはさらに余裕があるのか、新しい会社の理念として、「作品」ということばを使っているそうだ。最終ユーザーに届く印刷物は「作品」だそうである。もちろん印刷物は一歩間違えば「ゴミ」の世界なのだから、「作品論」は大賛成である。


もう一つのミーティングの柱のCSR。そしてコンプライアンス議論の中で、「どうして不祥事がないのか」ということについて、事前に少し疑問はもっていたのだが、「トップダウンの命令で、下位者の意見を取り入れて制度を作った」ということらしい。要するに「本気でコンプライアンスに取り組む人」が制度を作ったということらしい。さらに、もともと巨大企業のため、例えば、トヨタとホンダの新型車のカタログを同時に作ったりすることが多かったそうで、社内の情報保持体制はかなり完璧なものがあったということだそうだ。多くのグレー企業がバタバタしている状況など、かなり以前に片付いていたわけだ。


6f609998.jpgそして、秘密漏洩にならない範囲で、凸版の始めている新ビジネスだが、一つは紙製のカートカン。プラスティック容器からの切り替えは環境にかなり優しいのだが、今一だ。個人的には、飲料パックのイノチは、「うまそうに見えること」につきるような気がする。そして、水漏れ禁止であるが、凸版の役割は水漏れ対策の方ではなく、「うまそうに見える容器印刷」ということなのだろう。要努力。もらったジュースの印刷は少しくすんでいたので、画像処理で彩度を上げてみた。少しパッとした。


ITは印刷業においてプラスなのかマイナスなのか、本当はよくわからない。会社の売り上げはGDPと相関しているそうだが、その間、IT化はどんどん進んでいるのだから、ITと関係ないのかもしれない。そして、凸版が行っている奇妙なITビジネスをいくつか紹介してみる。

1.Shufoo シュフー ・・・ ご近所の折込、チラシなどを検索できる。もちろん凸版が絡んだものだけだろうけど。

2.Paraly パラリー ・・・ 有名事業者の通販カタログが、ネット上で読める。例えば、ユニクロやセシールなど。

しかし、こういうのは印刷業の延長上の事業ではあるのだが、一体、誰のため、何のため、よくわからないビジネスモデルであることは間違いない。

6f609998.jpg3.フリーDVDマガジン ”CODE NEO” ・・・ 見たけど、よくわからない。とりあえず、DVDマガジンの形を作ってみたということだろうか。この中に、日めくりカレンダー機能がついていて、「きょうは何の日」と「街中美人からあなたへの一言」コーナーがあって、それだけが面白かったのだが、「街中美人」をさがして編集するのが大変なのと、いつの時代のどの媒体でも「美人は得だ」ということなのかもしれない。

さて、辛口エッセイはこれ位にして、これから郵送用の甘口感想文を書き始めることにする。





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