印刷博物館で歴史を、そしてVR体験

2007-08-07 00:00:31 | 美術館・博物館・工芸品
bf9982a0.jpg飯田橋のトッパンビルの中には印刷博物館がある。以前、行ったことがあるが、単に見学者その他大勢の中の一人だった。が、今回は学芸員の方の解説付き。なんと、6名もの学芸員の方がいらっしゃるそうだ。学芸員の給料が払えず閉館になった将棋博物館とは大違いだが、それはバックの組織が年間1000億円の利益をあげているか、もともとプラスかマイナスかすらわからない公益法人との差だろう。文化保護の名目で湯船につかっている公益法人の存在が腹立たしくなる。話を戻す。

当日、おつきあいいただいた学芸員の方は、若い美形の○○様。若い女性だと無性に意地悪な質問をする年配の男女が同じグループにいたのでハラハラしたが、慣れているのか、「そういう説もありますね・・」とあっさり争点を避ける。老人攻撃をかわすコツだ(現首相はすぐムキになる)。それよりも、マタニティのまま、段差のある展示印刷機の操作などしていたが、つまづいて転んだりしたら大問題なので、そういう危険な作業は、しばらくやめた方がいい(もっとも6人の学芸員が全員マタニティだったら別だが)。

一応、企業内の博物館であっても、極力、自社の宣伝は入れずに印刷の歴史という中立的な立場で作っているように思える。

さらに、一般的には、グーテンベルグにより活版印刷による大量印刷術が完成し、それが産業革命を爆発させた一因というのが、印刷の歴史の公式だったと思うが、この博物館では、その公式を強く表に出していることはない。そのあたりは、「書籍」「新聞」「ラジオ」「テレビ」「IT」といったメディア論と表裏の関係だと思う。

産業革命の時には、ある技術が別の場所でさらに次の技術革新を産んでいくというイノベーションサイクルがあったのだが、現代の二流国で行われている「サルマネ」とは大きく違いがあるのだが、その説明には、メディア論だけでは不十分だからだ。

いずれにしても、印刷機というのは、もともとはかなりアナログ的技術の蓄積の上になりたっていて、版を重ねれば、インクは品切れになるし、すこしずつ版は曲がってくる。活字にも寿命はあるし・・・

そういうアナログ的問題は今でもまったく同じだそうで、印刷の素材が変わり、超薄膜印刷の技術が進歩してもベテラン職人の技術は重要だそうだ。

bf9982a0.jpgそして、この博物館の一角にガラス張りの印刷工房がある。要するに、古典的な活版印刷機で鉛製(スズとアンチモンを若干混合した合金)の活字を組んで、自分の名刺や多色刷りのパンフレットを作ろうという、勉強会やその発展系のサークルの方が利用しているスペースで、普通の人は入れない。以前、入館した際に、「どうやったら、そのガラスのエリアに入れるのだろうか」と思って、すぐに忘れていたのだが、当日はゲストなので、そのエリアに入ることができた。

20人ぐらいのグループの一人だったのだが、「印刷機に触れると、危ないし、汚れます」と係員の方からの注意に拘らず、手を汚す人が数人いて、怒られている。幼児以下だ。たまたま、サークルの方の途中完成品などがあったが、「やはり、素人には難しいのかもしれない」、と水をさしたくなるが、上達の秘訣は「年季」と「インクの匂いが好きか?」といったことかもしれない。それと若干の「器用さ」と「デザインの能力」。


bf9982a0.jpgそして、博物館という過去の歴史を離れ、同じフロアにある「VRシアター」も特別に見せてもらった。VRは「vertual Reality」の略で、一つの特徴は「三次元的映像」。そしてもう一つの特徴は「筋書きなきストーリー性」ということになる。三次元映像は、既に多くのテーマパークやエキスポ会場などで実用化されているが、ここのシアターでは、「赤緑メガネ」など使わずに湾曲したスクリーンを前にすれば裸眼で鑑賞できる。

現在、本物は補修工事中の奈良の唐招提寺の映像を見たのだが、4台のパソコンに収録された画像データで、画面上の好きなところへ移動すれば、滑らかな画像でどんどん視界が替わっていく。滑らか過ぎて違和感があるのは、人間の視界というのは、歩行という動作によって、目線が上下に揺れているのを脳の中で補正しているから、その揺れがない映像に「きれい過ぎる」という違和感が起こるのだろう。

このVRの世界も、世界的に規格がバラバラだったらしいのだが、最近、ハリウッド主導で「4KVR」という規格に統一される見込みだそうだ(解像度が4Kということ。よくわからないが)。もちろん、別の規格で突き進んでいたメーカーは、大損害ということだ。

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