あまりにもあまりな、この現実

2006-10-28 00:00:41 | しょうぎ
e527454e.jpg私の将棋の3人の師匠のうち一人が、出版にこぎつけたという情報を得る。「150題の詰将棋の本で、羽生善治さんが監修をしている」、という情報を頭に入れ、近くの大きな書店の数軒を歩くが、師匠の名前は見つからない。「師匠は終盤があまり強くなかったような気がするし、そもそもガサねたか」とか頭の中が渦巻く。

しかし、”火のないところに煙はたたず”という有名な諺もある。いくつかのキーワード、「新刊」、「150」、「羽生」、「詰将棋」に該当する本がどの書店でも趣味のコーナーに並んでいることに気付く。成美堂出版、「羽生流で上達 新しい詰将棋150題 羽生善治」。この本を手に取り、詳しく点検する。表紙の裏に「はじめに」という1ページがあり、羽生さんのことばが書かれている。そして、5手詰めから15手詰めまでの問題が並ぶ。どこにも師匠の名前は登場しない。

e527454e.jpgそして、とうとう奥付けに辿りつくのだが、そこには監修者の羽生さんの略歴が書かれていたのだが、その下に、ほとんど見えないほど小さな文字の1行を発見。

■問題制作/関口勝男(将棋指導者・元将棋連盟)

あまりにもあまりな扱いとはいえるが、それが出版の現実なのだろう。そんなものだ。

この本、定価は740円だが、消費税を加えると777円と、とてもラッキーな数字になるので、是非とも買っていただきたいものである。

ところで、関口さんは現在63歳。実は、花村元司九段門下で、奨励会三段リーグに10年以上在籍。30歳の年齢制限で退会を余儀なくされるまで、何度もプロ四段昇段まであと1勝で泣いたらしい。私が出会ったのは、かなり後年で、関口氏が日本将棋連盟の販売部や連盟道場の部長になられた頃。ずいぶん攻め将棋を教えてもらったのだが、終盤逆転型の私の将棋を、「おおた君の終盤力があれば、俺もプロになれたのに・・」と何度も言われて、胸に詰まったことが何回かある。「・・関口さんの中盤があれば、オレだって・・」。そんなものだ。

実は、少し気になったのは、私は去年までは将棋関係者への年賀状用に年間1題だけ詰将棋を創っていた(もちろん、今年になって、突然、駄作を量産している)。もちろん、師匠の宅にもその年1題は郵送されている。いつか、会ったときには、「君の詰将棋は難しすぎて、正月には不向きだよ」と言われる始末だったのだが、まさかと言えばまさかではないかと、胸騒ぎを抑えながらパラパラとページをめくってみると・・

当然ながら、杞憂。(コンプライアンス違反は永久追放だろうし)



そして、本日の出題は、また漠然とした配置である。たぶん、この問題をいきなり将棋ソフトで解くと、あっという間に短い手数を表示してしまい、面白くもなんともないことになると思うので、脳力強化のため頑張ってもらえればと期待。コメント欄に最終手と手数をいただければ正誤判定。

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