アルバトロス詐欺

2006-10-26 00:00:23 | スポーツ
ac2e821d.jpg週末に、朝4時45分に起床し、ガソリン代と高速料金の合計がプレーフィーと同額に近い場所までゴルフに行く(SETTAI NO HOST)。前夜、早く眠らなければならないのだが、そういう時にはゴルフ関係の悪夢を見る。例えば、ボールを10発続けて池に打ち込んで品切れになるとか(そういう映画もあった)、違うコースに迷い込んで同伴者を見失うとか、いくら進んでもグリーンがあらわれない無限に蛇行するコースとか・・そして制限速度を意識しながら運良くゲスト到着の1分前にコースに滑り込む。

葉一郎:おはようございます。時間厳守はビジネスの基本ですね。
ゲスト:いえいえ、そんなそんな・・だいぶ待たれましたか。
葉一郎:まあ、それは少しばかりは・・
ゲスト:気付かなかったなあ。実は1時間も前に到着したので、クルマの中から見てたんですが・・
葉一郎:・・・・(タラ~リ)

で、余計な話にならないように、予定時刻を繰り上げて、素振りもしないでさっそくスタートする。

実は、ゲストさまが「キャディに気をつかうのがイヤだから」と言われるのでセルフのコースを選んでいる。その気持ちがわからないでもないのは、時に「銀座4、5丁目のホステス様」のようにご立派なご意見のキャディ様もいるわけで、なんとなく「もっと自由に自己責任で」ゴルフをしたいわけだ。

で、セルフの場合、もっとも困るのは、仮に「ホール・イン・ワン」が出現した場合の問題だ。多くのゴルファーはホール・イン・ワン保険に加入して、保険会社を喜ばせているはずだが、セルフプレーの場合、キャディさんという「善意の第三者」の目撃証人がいないわけだ。以前はセルフプレーの時は、保険金は支払われなかったのだが、バブル崩壊以降、多くの高級ゴルフ場が破綻し、再生ファンドの手でセルフコースに変ってしまい、セルフプレー比率が上昇したことを受け、損保会社ごとに規定が異なるようだ。

私がネットから加入した、M社の約款には1文字1ミリの文字が書かれているのだが、セルフプレーの場合、

1.ゴルフ場の従業員の目撃証明
2.あるいは、ホールインワンのビデオ映像

があればいいということだ。ビデオ持参しなければならない。

そして、ゲストの一人が、あるショートホールで打った一撃は、ピンの手前3メートルに落ちてからゆっくりと旗の方に転がっていき、ホール手前1メートルのところから右の方に15センチ曲がり、ピンの右横15センチのところに止まる。(ホッ、ホッ、ホッ)

まあ、ハイライトはそれくらいで、昼休みのビールも帰りの酒気帯び運転のことが気になりコップ1杯。淡々と計算通りの一日が進んでいき、私以外の誰も使えないシャフトのねじれたパターが好調をきわめ、プレーヤー内の自己完結型賞金制度の1位(2位以下はなし)となり、「高速代+ガソリン代+失った2個のボール代」の過半を回収。


ところで、ホールインワン保険だが、正確には、ホールインワン・アルバトロス保険と書いてある。ホールインワンはパー3のところを最初の1打でカップに放り込むことを指すのは言うまでもないが(アメリカでは「エース」とつまらない言い方をする)、アルバトロスはパー5のところを2打目で入れることを言う。当然ながらホールインワンより難しい。だいたい普通の人では2打目でグリーンまで届かないし、ホールに入ったかどうかも見えないくらい遠い。


しかし、数ヶ月の間に5回もアルバトロスを達成した男がいる。関西の方だ。そして、5つの保険会社からパーティー代費用として毎回50万円ずつ受け取ったわけだ。念のため、それは私ではない。

そして、男は捕まった。アルバトロス詐欺。

目撃証言が必要なのに、なぜ、詐欺が可能だったかというと、まず、同伴プレーヤーがグルなのだ。そして実行するコースも見通しが悪いところがいいわけだ。まず、一人が第二打を見えないグリーン方向に打つ(それだけの飛距離がないと無理なのだが)。どこに飛んで行ったかはこの段階ではわからない。そして、次のグル男が近くの林の中にわざと打ち込むわけだ。そして、キャディさんと一緒にボールを探し始める。そして、キャディさんの気を逸らしている間に、他のグル一名がグリーンの方に行って、こっそり穴の中にボールを仕込んでしまう。そして、しばらくしてグリーンにやってきたキャディさんとしばらくボール探しをしてから、「まさかと思うが・・」などと心にもないコトバを口に出して、穴の中をのぞくと、そこには・・・

この男の最大の失敗は、5回も犯行を連続したということに尽きるのだが、それは、一組全員が犯行に関与するため、口封じのため、ある程度大金が必要になったということなのだろう。

では、単独で犯行を実行することが可能なのだろうかと、よからぬことを考えていると、一つ浮かんだのは、朝一のスタートを予約しておき、さらに、明け方にゴルフ場に忍び込み、パー5のホールにあらかじめ、ボールを一個沈めておけばいい、ということになる。完璧だ。

ただし、計算どおりの球が打てないと、非常にまずいことが起きるわけだ。何しろ、コース上にボールが1個多く存在していることになるからだ。

また悪夢を見そうだ。グリーン上でアルバトロス詐欺未遂が発覚する夢だ。