飲酒運転(上)

2006-10-03 00:00:27 | 市民A
今年8月25日に福岡の海の中道大橋で起きた飲酒運転者による追突・海中転落三児死亡事故は、加害者が市役所職員であったこと、そして事故が悲惨な結末になったことから、全国的に「反飲酒運転キャンペーン」が張られ、一方で、依然として同種の事故は続き、警察官や、教育委員長や新聞記者などが検挙される。元歌手がミニバイクで飲酒事故を起こし自殺する。やはり、少し問題を整理して考えるべきかと思う。ただ、整理しても、それで何が解決できるのかというと、また別の問題ではあるが。

3cadf0fd.jpg1.福岡の事故についての問題
海の中道大橋の事故について、最初に「飲酒以外」の要素を考えておく。飲酒問題は、後で。

まず、橋の危険度である。加害者のクルマは時速85キロで被害者のワゴン車に追突した、ということになっている。ということは、被害者のクルマはそれ以下の速度だったはず。この橋は、中央に車道があり、普通のガードレールの外側に歩道があり、その外が海だったと言われている。高速道路のようにコンクリの壁があるわけでもないし、橋から海に転落しないような鉄枠があったわけではない。

一方、おそらく、この道路は多くのクルマが制限速度を越えて走行していたのではないだろうか、と推定できる。博多湾の中の人工島は完全な平地であり、事実上の自動車専用道路であり、見通しは開けている。風も強いはずだ。関東で言えばアクアラインの千葉側などは海の中を走るのだが、制限速度80キロを守らない車も多数いて、80キロで走ると、逆に追突されないように注意が必要になる。推測だが、ワゴン車は横風には大変に弱いため、他車よりもかなり速度を落としていたのかもしれない。

3cadf0fd.jpgどういう状態で海に落ちたのかはわからないが、少なくとも橋の外側に高速道路並の大きな障害物かガードレールを設置しておけば転落は防止できたのではないだろうか。いずれにしてもゆっくり走った為に追突されたとしたら、そんな不条理な話はないわけで、この道路には、高速が出せないように路面突起物をつけるか、カメラだらけにするとか、何らかの方法が必要だったのではないだろうか。アクアラインのトンネル内では、速度の速い車に対し、警報が電光表示される。


加害者が市役所職員だったことが大きく取り上げられているが、この職員のデタラメぶりは一体何なのだろう。犬猫の登録の仕事をしていたようだが、人間が相手の仕事ではないので、人間らしい自制心がどこかにいってしまったのだろうか。おそらく、いかなる職場にいても同種の事故を起こしていたのではないだろうか。飲酒とクビの関係は後で述べたいが、この加害者には無意味だろう。

加害者に危険運転致死傷罪を適用することになったようであり、「当然だろう」と思われているが、そう簡単ではないのだ。後で念入りに考える。


2.公務員に「飲酒運転」は多いのか?それなら飲酒=クビでいいのだろうか
報道されるのは、公務員ばかりである。それも警官が多い。報道で読む限り、飲んですぐに運転したり、はしご酒したりしていた、とか呆れるばかりだ。私は、普通の公務員と警官とは別に考えるべきだと思っている。要するに警官の飲酒運転は、民間企業で言えば、自分の商店で売り物を万引きするような犯罪だからである。業務上横領のような感じだ。日常的にピストルを携帯している人間が酒気帯びでは話にならない。さらに、普通の公務員の場合、役所の長は「選挙」という手段で市民が責を問えるが、警察組織に対して市民側から責を問うことは不可能であるのだから、自浄機能がことさら必要なのである。

では、普通の公務員はといえば、報道されているように処分が甘いわけだ。もちろん、警官にしても公務員にしても民間企業でも、酒気帯び運転は懲戒免職とすべて同罪というのはかなり問題があると言わざるを得ない。しかし、だからと言って、すべて軽微な処分でいいわけではない。後で触れるが、広義の「危険運転」が予想される場合はクビということでいいのだろうと思う。

つまり、飲み屋からクルマに乗るような行為だ。さらに、最近の二極化のせいかもしれないが、飲み屋に行くと高いので、コンビ二の駐車場で酒を飲む、という行為が蔓延しているようなのだ。自宅まで持ち帰ることができないなら、コンビ二側も深夜は少なくても冷やしてバラ売りするのはやめるべきかも知れない。深夜の酒類自販機が停止している意味がない。

3.酒気帯びかどうかの判定
日本人の大部分は、クルマを運転するのだが、また一方、大部分は酒を飲む。もちろん、クルマに乗って飲みに行くとか、二日酔いのまま、運転するとかは確信犯であるのだが(実際、そう簡単でもないのだが)、例えば、ゴルフに行って、昼食時に飲むビールはどうなのだろうかとか、スタート前の朝食で熱燗一本飲んだらどうなるのだろうか、とか健康ランドで小ジョッキを飲んでからサウナに入ったらどうなるのだろうかとか、昨夜飲んだ酒は、今朝はどうなのだろうか、ブランデーケーキや粕漬の切身では大丈夫なのか、あるいはドリンク剤は?とかの問題があるわけだ。中村獅童の場合、飛行機内のシャンパンがずっとあとまで残っていたということになっている。

なにしろ、道路交通法には、「飲酒運転」という概念はなく、「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」ということになる。酒気帯びというのは呼気1リッター中にアルコール分0.15ml以上ということになっている(計測誤差をどれだけみているかは不明)。つまり、血中アルコール濃度のかわりに呼気中アルコールを測定しているわけだ。このあたりが複雑だが、呼気中アルコールは肺の毛細血管から対外に排出されているアルコールのわけだから、少し意味が違うわけだ。要するにアルコールを飲んで直ぐだと呼気中アルコールは低い可能性がある。また、2時間ほどした頃が高くなるのが一般的だが、少量なら、あっという間に醒めてしまう場合もある。ある種のアミノ酸はアルコールの分解を促進する。

さらに、「酒酔い運転」というのは、警察が恣意的に、「酩酊してまっすぐ歩けない」とか判断して重罪が決定されてしまうわけだ。

それらをあわせて考えると、呼気中に微量に残っていて、本人が気付かない場合もありうるわけだ。どうも、アルコールチェッカーを各自購入し、飲んだアルコールの量と時間とその分解速度について、自分の医学的経験値を、調べておかなければならないのではないだろうか。

酒気帯び運転とクビの問題も、そういうやや正確さにかける違反の場合があるから二元論は行き過ぎなのかもしれない。少なくても有罪が確定するまではクビにしないとか、「超長期停職処分」とか替わるべきものがあるかもしれない。

危険運転致死傷罪については次回。