道場破り!!出現

2006-10-07 00:01:51 | しょうぎ
地元の地区センターで「わんぱく将棋教室」を頼まれている。主に小学校低学年が対象で、月一回。強い子は初段近くの実力はあるが、ほめると図に乗るので、たまに飛車角落ちで対局しても、負けてやらないことにしている。しかし、実際は、こどもの方が「本当は勝っていたが、最後に間違えたから勝てなかった」という気分にさせてあげるのが指導のコツだ。

一方、「どんどん負けてあげた方がいい」といわれる同業者もいるのだが、経験的には、こどもに対して負けてあげると、「この講師は強くない」とすぐに思い込まれるものだ。手加減は難しい。

ところが、小学生中心なのに、「道場破り」が登場した。どうも18歳くらいの青年がやってきて、「一局、教えを受けたい」とのこと。まあ、18歳で「わんぱく将棋教室」にくるというのもどうしたものか、なのだが、一生わんぱく者もいないでもないので、仕方がない。しかし、これでは江戸時代の道場破りではないか。

666cc55d.jpg葉 「して、腕前の方はいかがなものじゃ」
18 「およそ、二段と心得て・・」
葉 「ならば、まずは弟子と手合わせを・・」
18 「というと・・」

まず、小学二年生の初段クラスと手合いを組む。教室のはじの方で指しているのをチラチラと観ていると、小学生の方が勝った。だいたい実力は知れた。

18 「先生、是非、一局を・・」
葉 「されば、解説用の大盤の上でいかがなものじゃ。
   手合いは飛車落ちということで」
18「喜んで一局」

ところで、これが失敗だった。大盤で指すと皆が集まってくる。そして大盤の上手(うわて)は駒の向きが上下逆になるので、まったく難しい。いきなり間違えて角を交換される。どんどん差が開くのだが、こどもたちが観ているので、余裕の表情を崩すわけにもいかない。しかし、うっかり相手の駒を動かしそうになったりする。自分の手でなく相手の手を読んでいたりする。そして、あまり長い時間考えるわけにもいかない。会場の時間の制約がある。

そして、第1図になり、上手(うわて・私)の番。本当は勝っているのか負けているのかよくわからないが、ここで、終局にするために△5七角成(第2図)と指す。実は、これでは上手の玉は詰まされるのだが、まあ、そうなれば、ほめてあげればいいし、長手数なので負けた言い訳も立つ。そして詰ませられなければ、あとで指摘をして、「おー強い!」とギャラリーを唸らせられるしかけだ。

そして、下手(したて・18歳)は▲1二飛成と必死をかけて、「勝った」と錯覚する(第3図)。ところが、この図で下手の玉は詰んでしまうわけだ。

この第2図(下手が上手を詰ませる)と第3図(上手が下手を詰ませる)のそれぞれの詰みがきょうの出題。いずれも結構面倒だ。わかった、と思われた方は、コメント欄に最終手と手数を入れていただければ、正誤判断。


ところで、12月から、別のカルチャーセンターで、団塊世代向けの「やさしい将棋教室」の講師を頼まれている。果たして月額3千円を払って、将棋を強くなろうという人がいるのかどうか、よくわからない。まあ、出たとこ勝負で行こうかなと深い思考は停止している。


666cc55d.jpg9月23日出題の詰将棋の解答は、▲2一角成 △同金 ▲同竜 △同玉 ▲3三桂 △同馬 ▲1三桂 △同香 ▲1二金まで9手詰 淡々と詰んでしまう。難解問題の在庫もたっぷりあるので、そのうち・・