究極のOHV
純レーシングエンジンの変り種として、1994年のインディー500に優勝したペンスキーメルセデスがあります。
3400ccのプッシュロッドを持ったV8ターボエンジンで、1万回転も回って1000馬力以上出たそうです。当時の特殊なレギュレーションの穴というべきOHCの純レーシングエンジンのリミット排気量2650ccに対して,OHVの市販車ベースは3430ccまでOK(ただし2バルブ)。更に、過給圧も通常の1.2倍まで許されていたのでした。最初は出場者を増やす目的で本当に量産車のシリンダーブロックを使わなくてはならなかったのですが、このレギュレーションをつかう人がいなかったらしく、ついにスペシャルブロックでも良くなって、そこにペンスキーが目をつけたらしいのです。
何といっても世界最大のお祭りみたいなインディー500ですから、違反でないかぎりどんな手を使っても優勝すれば、大変な名誉と賞金を手に入れる事が出来る訳です。
エンジンの中身はそれこそ究極のOHVです。特にバルブを動かす機構は凝っていて、ハーレーでもカムとプッシュロッドの間にバルブリフターがあり、これにローラーがついていてリフターブロックの中をスライドしますが、メルセデスのはスイング式になっており極力、フリクションと慣性質量を減らしています。プッシュロッドを使ってバルブを動かす場合は、ほとんどロッカーアームを使い方向を転換しますが、支点にはニードルベアリング、バルブとの接点にはローラーを使うなど徹底していました。
V8のDOHCでしたらカムシャフトは4本必要になってしまいますが、OHVの場合は1本で済んでしまい軽量なエンジンができたようです。
その後はどうなったか分かりませんが、インディーレースの場合では1967年の悲劇のガスタービンのように変り種が独走してしまうと、そう出来ないように翌年からレギュレーションが変わってしまいます。
もう一つの究極
究極のOHVは飛行機ネタですが、第2次大戦の前後にもありました。液冷エンジンに対して故障が少ないなどの理由で、パイロットに愛された星型エンジンです。
B29などに搭載されていたライトR3350エンジンは最終的にターボコンパウンドで補強され55000cc!18気筒で3700馬力でした。(ターボコンパウンド=排気ガスでタービンを回して出力軸に連結する)
名前もロマンチックな星型エンジンは直径が1メートル以上もあり、双発以上で翼についていればまだしも、戦闘機のように目の前にデカいエンジンがあると特に着陸のときなど前が見えなくて大変だったらしく、雷電のように三菱製の火星エンジンは、ゼロ戦の栄エンジンより直径で20cmも大きいと、前をみるためにシートに座っていられないで中腰で着陸しなければならないようでした。
星型エンジンはシリンダーをオフセットすることなく、特殊なコンロッドでクランクに接続しているため、前後長は短いのですが直径は大きくなってしまいます。そのために少しでも直径を小さくするためにOHVでプッシュロッドを使った訳ですね。
もっともあまりにも複雑になるので、星型のOHCは企画さえもなかったと思いますが。
ちなみにメッサーシュミットやスピットファイアの液冷V12はOHCでしかも4バルブでした。
推測ですが、ハーレーにも使われている油圧タペットは、星型エンジンのために開発されたと思っています。航空機エンジンは自動車エンジンに較べて桁はずれに巨大なため、プッシュロッドもシリンダーもすごく長く熱膨張も当然大きいので、冷間時と熱間時ではバルブクリアランスも大きく変わってしまいます。下手な整備兵がミスって、飛んでいる最中にプッシュロッドを落としたなんていうのを想像してみてください。
続く
純レーシングエンジンの変り種として、1994年のインディー500に優勝したペンスキーメルセデスがあります。
3400ccのプッシュロッドを持ったV8ターボエンジンで、1万回転も回って1000馬力以上出たそうです。当時の特殊なレギュレーションの穴というべきOHCの純レーシングエンジンのリミット排気量2650ccに対して,OHVの市販車ベースは3430ccまでOK(ただし2バルブ)。更に、過給圧も通常の1.2倍まで許されていたのでした。最初は出場者を増やす目的で本当に量産車のシリンダーブロックを使わなくてはならなかったのですが、このレギュレーションをつかう人がいなかったらしく、ついにスペシャルブロックでも良くなって、そこにペンスキーが目をつけたらしいのです。
何といっても世界最大のお祭りみたいなインディー500ですから、違反でないかぎりどんな手を使っても優勝すれば、大変な名誉と賞金を手に入れる事が出来る訳です。
エンジンの中身はそれこそ究極のOHVです。特にバルブを動かす機構は凝っていて、ハーレーでもカムとプッシュロッドの間にバルブリフターがあり、これにローラーがついていてリフターブロックの中をスライドしますが、メルセデスのはスイング式になっており極力、フリクションと慣性質量を減らしています。プッシュロッドを使ってバルブを動かす場合は、ほとんどロッカーアームを使い方向を転換しますが、支点にはニードルベアリング、バルブとの接点にはローラーを使うなど徹底していました。
V8のDOHCでしたらカムシャフトは4本必要になってしまいますが、OHVの場合は1本で済んでしまい軽量なエンジンができたようです。
その後はどうなったか分かりませんが、インディーレースの場合では1967年の悲劇のガスタービンのように変り種が独走してしまうと、そう出来ないように翌年からレギュレーションが変わってしまいます。
もう一つの究極
究極のOHVは飛行機ネタですが、第2次大戦の前後にもありました。液冷エンジンに対して故障が少ないなどの理由で、パイロットに愛された星型エンジンです。
B29などに搭載されていたライトR3350エンジンは最終的にターボコンパウンドで補強され55000cc!18気筒で3700馬力でした。(ターボコンパウンド=排気ガスでタービンを回して出力軸に連結する)
名前もロマンチックな星型エンジンは直径が1メートル以上もあり、双発以上で翼についていればまだしも、戦闘機のように目の前にデカいエンジンがあると特に着陸のときなど前が見えなくて大変だったらしく、雷電のように三菱製の火星エンジンは、ゼロ戦の栄エンジンより直径で20cmも大きいと、前をみるためにシートに座っていられないで中腰で着陸しなければならないようでした。
星型エンジンはシリンダーをオフセットすることなく、特殊なコンロッドでクランクに接続しているため、前後長は短いのですが直径は大きくなってしまいます。そのために少しでも直径を小さくするためにOHVでプッシュロッドを使った訳ですね。
もっともあまりにも複雑になるので、星型のOHCは企画さえもなかったと思いますが。
ちなみにメッサーシュミットやスピットファイアの液冷V12はOHCでしかも4バルブでした。
推測ですが、ハーレーにも使われている油圧タペットは、星型エンジンのために開発されたと思っています。航空機エンジンは自動車エンジンに較べて桁はずれに巨大なため、プッシュロッドもシリンダーもすごく長く熱膨張も当然大きいので、冷間時と熱間時ではバルブクリアランスも大きく変わってしまいます。下手な整備兵がミスって、飛んでいる最中にプッシュロッドを落としたなんていうのを想像してみてください。
続く
バイクの最大排気量で8000ccのバイクがあったような、フォードのエンジン2機積んだバイクでしたっけ?
バイクの世界でも排気量はじわじわ上がっていますが
どこまで上がっていくのでしょうね。正直ビックツインの1450ccでも大きすぎだと個人的には思うのですが、将来はビックツインはツインカムで1550ccまで行くかもしれませんね。
20年後のハーレーは水冷DOHC2500ccとかになっていたりして、もしかしたら電気式モーターかもしれませんが。
排気量はどこまで上昇するのか、普通の人が御せる排気量はどのくらいなのでしょうね。
雷電の前方が見えずらいのは、太いエンジンをいかに納めるかの処理で有ります。
同一系統のエンジンを積んだ陸軍のキ-44(鍾馗)は、別の処理をしているので、視界がさほど犠牲になってません。
三菱製のエンジンが大きかった訳では無く、当時1500馬力級の戦闘機用のエンジンを持たなかった日本軍が、爆撃機用のエンジンをムリムリ積んだ戦闘機を作った、それが雷電と鍾馗です。
なにか日本グランプリでプリンスがムリムリ6気筒エンジンを積んだ車を思い出しますね。
大戦当時の技術は、事情が事情だけに大変なものがあると思います。