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ピストンエンジンは永遠か!な?

バイクを中心に話題を紹介します

カチカチ音がする?

2006年05月06日 | シリンダー、シリンダーヘッド

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先日の某掲示板で、エンジンの異音についての書き込みに対するレスがあり、ワタシも疑問に思いましたので、エンジンを組み立てるついでに検証してみました。

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ロッカーアームの位置はコンナ感じで、プッシュロッドがカムにより押し上げられると、ロッカーアームは青丸を中心に白矢印のように作動します。

掲示板の回答は、バルブ回りの再加工による「ステムの付き出しの増大」により、赤矢印の部分が破線で示す「ロッカーカバーの内側に当るのではないか」と言うものです。

バルブの再加工?

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左は再加工済みの排気バルブで、右はバラしたままのバルブです。

カーボンにまみれて真っ黒ですが、カーボンを除去すれば使える?

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矢印はバルブフェイスと言いますが、カーボンを除去してみるとデコボコになっているのが分かります。

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コレはシリンダーヘッドのバルブシートで、再加工済みです。

好調なエンジンの3大要素は良い圧縮・良い火花・良い混合気ですが、良い圧縮の重要な部分はバルブとシートですね。4サイクルエンジンではクランクが2回転で1回のバルブの開閉が行われますが、高温の燃焼ガスに晒され、特にカーボンの生成が多いハーレーのエンジンでは、カーボンの噛み込も多く、乗り方によっては1万kmほどでもバルブの密閉性が低下します。

良くプラグの焼けが悪いとか、キャブが調子悪いとか、エトセトラ・・・・・。

と悩む方も多かろうと思いますが、勿論そのものの不良もありますけれど、それは人間のからだの不調に例えれば諸症状で、先日入院していた小池環境大臣の咳が酷かったりの症状で、原因は肺炎をおこしていたみたいなものです。

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バルブ回りの再加工をすれば全てOKかと言うと、ソウでもないのです。何事にも代償がありますね。

勿論、正確な作業には支払いという通貨による代償も必要ですが、再加工という作業は金属を研磨しますので、この場合では「ステム突き出し寸法の増大」が起ります。

マニュアルによると、1980年モデル以降のショベルヘッドでは、ここの寸法はIN・EXともに40.6mm~41.8mmの間に設定されています。

ココの寸法は今回の問題の他に、バルブスプリングの張力に関係します。それは又後で・・・・。

それで当るの?当らないの?

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それでは確認する方法を考えて見ましょう。

アッセンブリーされたロッカーカバーを写真のように置くと、ロッカーアームは重量バランスの関係で、プッシュロッド側が浮いて赤矢印のバルブ側がロッカーカバーに接地します。

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つまり、ヘッドにロッカーカバーをセットするときには、この位置関係でないと、ロッカーアームとバルブが干渉して組み立てられません。

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ちなみに青いガスケットはS&Sのケブラーで補強されたもの。

こうした部品の検証には3年くらい掛かってしまいますので、ホントウに有効かどうかは分かりません。

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ヘッドとロッカーカバーが密着してから、ドライバー等で赤矢印のように押してみます。

押す前は青矢印の位置ですから、少なくとも5mmの余裕が検証されました。

通常はワタシもここまでは確認はしませんでした。何故かというとココが原因で異音が発生した事がなかったからですね。

しかし、ロッカーカバーは鋳物で出来ているし、社外品も存在しているわけですから、カバーの内側の形状や寸法が保証されているモノではありません。

特に往復運動している部品では、ピストンとバルブのようにお互いのクリアランスは充分にとる必要があります。高回転では思った以上のGが掛かり、静的なクリアランスでは不十分な事があるということです。

ですから、バルブ回りの再加工の前後では条件が異なりますので、ココも確認したほうが良いという結果になります。

人間の目は残念ながら金属を透過して見ることが出来ません。機器を使えば可能かもしれませんが、普通はソンナものは持っていませんね。しかし、知識と知恵を駆使すれば、今回のような事も可能になります(まあ、そんなに大したことではありませんが)。


シリンダーヘッド 修理②

2006年04月26日 | シリンダー、シリンダーヘッド

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小さなクラックも気付いてしまうと、そのままにしておけません。

ここのスタッドボルトはロッカーカバーを固定するものですが、バルブを開閉する反力が掛かりますので、こうしたトラブルがなくてもオイル洩れの発生しやすい部分です。

先にエキゾーストフランジネジ穴を修理したように、そっくり削り取って”鋳掛屋”では大変な作業になってしまいますし、目立たない箇所でもあるので、やや簡易的な方法で行います。

写真のようにそれほど削り込みません。

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トーチで炙ると、このようにクラックに滲みこんだ油分などが炭化して、黒いススが出てきます。

このまま強引に溶接を進めるとロクな事がありません。

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炙って出てきたススをワイヤーブラシで落とし何回か繰り返すと、このように溶接が可能になる状態になります。深く削るとネジ穴も溶けてしまうので、浅く削った理由がお分かりでしょう。

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なんとかネジ山を溶かさずに溶接できました。

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ガスケットとの当り面を仕上げて、念のためにタップを通して完了です。

一口にシリンダーヘッドのオーバーホールといっても、このように付随作業が発生すると中々終わりませんね。

かと言って気付かないフリをする訳にもいかないし。

キチンとした作業を行おうとすると、気力も重要なファクターになります。


シリンダーヘッド 修理

2006年04月22日 | シリンダー、シリンダーヘッド

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ショベルヘッドのエキゾーストフランジボルトのネジ穴です。

ご覧のようにヘリサートが入っていますが、地金にヒビ

前々回の記事でヘリサートを考察しましたが、このような条件でも補強され手軽に補修できますけれど、ヒビの部分の肉厚がヘリサートタップにより更に薄くなり、マフラーの取り付け条件次第で、無理な力が掛かるとこのようになってしまいます。

つまりコノ部分でのヘリサートは姑息的と言えるでしょう。

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まず古いヘリサートを取り去ろうと思ったら、ヒビの段差に引っ掛かって回りません。

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いずれにしても鋳掛屋的作業になりますので、サンダーで削り取ります。

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元の形状を復元するためには、削り取る範囲は最小限にしたい。

溶接のトーチを入り込ませるためには、大きく削りたい。

両方の要求を満たすセメギアイが難しい!

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奥にを作らないように、充分に加熱して溶け込ませます。

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アッ溶接が終わった写真がナイ!!

エキパイを当てて穴の位置決めをして、ネジの下穴をあけます。

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タップを立てネジを切り、溶接で盛った部分を荒削りしました。

以前より肉厚を充分にとっておきます。

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溶接部分をリューターで削って、更に仕上げて・・・・。

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サンドブラストを掛け・・・・。

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ガラスビーズで最終仕上げをすると、修理の痕跡は分からなくなります。

アルミニウムの鋳物には気泡や不純物が混入している事が多いので、圧延の板材や棒材に較べて溶接も厄介な面がありますが、ヒビを溶接で直そうとするより、今回のように思い切って削り取って作業したほうが、より良い結果を出せる場合もあります。特に部品の端はバルブガイドのような溶接歪みの心配は、さほどしなくても良いでしょう。


シリンダー ペイント

2006年04月14日 | シリンダー、シリンダーヘッド

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どうですか新品同様?

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サンドブラストが終わったシリンダー。石で出来ているようですね。

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エアーでチリを飛ばしてから、パーツクリーナーで洗浄します。モチュールのパーツクリーナーは以前紹介しましたが、こういう場合にも水分がでないで具合が良いです。サンドブラスト処理した鉄はすぐ錆びてしまいます。

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我がショップには塗装設備がないので缶スプレーでの作業になりますが、探し当てた?ソフト99の耐熱ペイントは加熱することにより硬化した塗膜がガソリンにも溶けず、色艶もイイ感じです。

説明には塗る前に加熱するなとありましたが、気温が低いので60℃程度に加熱しました。

まず最初に写真のように下側から塗ります。

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上側からも塗って・・・・。

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フィンの間の奥のほうにも充分にペイントをのせます。

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エンジンの熱でも硬化しますが、エンジンを組む時にペイントが剥げるのでコンロを使って加熱します。

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コンロの熱量では何時まで経っても充分に加熱できないので、2つに切った60Lのドラム缶を上に被せると、仮設電気炉になります。生活の知恵?ですね。


モリブデンショット

2006年04月10日 | シリンダー、シリンダーヘッド

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ショベルヘッドエンジンのメーカー不明の社外シリンダーです。

今まで動いていたエンジンに使用してあったので、ボーリングしてオーバーサイズのピストンを使えば、まあ使えると思いますがモリブデンショットの処理を施しました。

しかし、大抵の場合シリンダーの内壁には深いキズがあり、 それが燃焼室へのオイル上がりになり、バルブ周りのオイル下がりと相まって燃焼室のカーボン堆積の原因となっていると考えられ、最近のテクノロジーであるモリブデンショットが解決の道になるか興味のあるところです。

以前にボロンライナーの紹介もしましたが、それよりコストの安いに越した事はありません。

施行会社によればバインダー(固定するための仲介物)を必要とせず加工は圧搾空気のみで、4.3ミクロンの母材深部まで再結晶化させるので、剥離の心配がなく、半永久的に効果が持続するということです。

更にフリクションの低減効果はWPC加工の2倍以上、通常のコーティングではコーティング層の摩滅により低下や消滅が見られるのに対し2硫化モリブデンの刷り込み現象、などなど良い事づくしでございます。

効果の判定は相当の距離を走行後ということになりますが、まずは乞うご期待。

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シリンダー内壁は、やはり二硫化モリブデンぽいグレーになっています。

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リペイントするために、サンドブラストを掛けてサビや古いペイントを落とします。

マスキングをして、サンドブラストを掛けたくない部分を保護します。これが結構手間で・・・・。

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矢印はクランクケースとの当り面です。シリンダーの下側になりますが、ココは意外と重要で、シリンダー取り付け角度はこの面で決まりますから、シリンダー軸と直角でなければなりません。シリンダーが長いので僅かな狂いが上部では大きくなりますね。

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社外シリンダーの全部を検証した訳ではありませんけれど、多くはベースナットの研磨部分のスペースが小さいですね。赤の矢印の左側が社外品で、青の矢印が純正シリンダーです。

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右の純正シリンダーに付いていたベースナットと三角形のベースワッシャーと、左は社外シリンダーに使っていた省スペース型のナットです。面圧が高すぎると座屈が心配ですね。

製造からカナリの年数が経っていると、各部に社外パーツが使われているのは珍しいことではありません。それを全部純正品に戻すのは不可能ではありませんけれど、コストの面と元々の性能に疑問もありますので純正部品が全て良いとも限りません。使える部品は最新の技術と情熱で性能を保証できるようになれば良いですね。


シリンダーヘッド組み付け

2006年03月04日 | シリンダー、シリンダーヘッド
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スレッドコンパウンドを使い、ヘッドボルトは手で軽く回るくらいまで馴染ませます。
もちろん、ヘッドとボルトのネジ山に損傷がないかもチェックです。

ネジは締め付けトルクの60~70%くらいは、ネジ山と座面のすべり抵抗で喰われてしまうと言われ、軸力が締結力になるのは30~40%なので、特に太いボルトでは極力ネジ山の抵抗を減らしてやらないと、ガスケットに充分な面圧を掛けることが出来ません。

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シリンダーの上面を脱脂してガスケットを上に載せておきます。
ヘッドガスケットは純正ですが、前後は共通で裏表を逆に使います。

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ヘッドの脱着は時により”知恵の輪”になることもありますが、これは面研してあるので楽に入りました。
フレームがキツクて外れない場合は、エンジンマウントを外す必要もあります。

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ヘッドボルトの仮締めまでは、写真の1/4ドライブのラチェットレンチを使うと便利です。

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ヘッドボルトのマニュアルトルク値は75~102Nmですが、勿論通常のトルクレンチを使うことは出来ません。
かと言ってアダプター式のトルクレンチを使えば万全かというと、そうではないと思います。
また、力いっぱい締めては緩まないかもしれませんが、ボルトの折れる危険性、鋳鉄のシリンダーでも変形の可能性もあります。
ですから、ワタシの最上の締め方は対角に順番に少しずつ締め、写真のスナップオンの締めすぎの危険性もない長さ30cmのハンドルで締めこんでいきます。
これから先は経験がモノをいうやりかたですが、要はトルク勾配法の一種で、締めこむにつれ「角度によるトルクの増大」を感じながら締めます。これが出来ないと1人前のメカとは言えないかも(笑)。
そして、特にヘッドボルトの肝心なのは、一度エンジンを掛けて充分暖め各部を膨張させて、ヘッドガスケットを沈ませてからもう一度「トルク勾配法」で増し締めします。
ワタシの20年来の秘技でした。

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増し締めにはこういった「ハーフムーン」のレンチも使います。
写真ではスターターソレノイドの端子がむき出しになっていますが、こういった場合ではバッテリーアースを必ず外します。

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トップモーターマウントも軽くみてはイケマせん。
ロングストロークの背の高いエンジンは、シリンダーとヘッドが前後に振動します。異常振動がマウントの緩みだったということもあります。そしてフレームとの隙間を無理やり締めては、マウントの破損の原因となります。

昔、単気筒エンジンのレースでヤマハSRX600のレーサーを作り走らせていた頃、フレーム側のマウントが壊れたら、シリンダーが割れた!!こともあります。
























ロッカーアーム

2006年03月03日 | シリンダー、シリンダーヘッド
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ロッカーアームの左側のナットを外せばこのように取り出すことができます。
ロッカーアームはカムの動きをプッシュロッドを介して、力の方向を変えてバルブを押す大事な役目を担っています。
その割りにジミーな存在ですね。

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アームはロッカーカバーの中で、このようにロッカーシャフトに支えられています。

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ロッカーシャフトはナットでケースに固定されていますけれど、その面圧にはアルミのカバーでは耐えられないので、写真のスペーサーが存在してアームのスラスト(軸方向の力)も受け持っていますが、強く締め付けられているので矢印のように座屈してしまっています。

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座屈するとスラスト方向のクリアランスは小さくなるのですが、不思議なことにコレは0.5mmほどありました。
クリアランスの数値はマニュアルにも記載されていませんが、キツクなってはダメで自分の重さで動くようにしてください。

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クリアランスを調整するのには、シムを使う手もありますが、スペーサーにあたる部分を削ってしまうほうが良いでしょう。
今までに見たシムは皆潰れていました。

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このクリアランスが大きいと勿論異音の原因にもなりますが、バルブとロッカーアームの接触面を潤滑する青矢印のオイルポートから出る量が少なくなってしまいます。
つまり、ロッカーシャフトを潤滑してから赤矢印のポートを経てココから出るオイルが側面の隙間が大きいと、そちらからでてしまうのですね。
社外品のパフォーマンスパーツでは、ココにOリングを備えたものもあります。

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潤滑が悪いと、このようにバルブとの当り面が破壊されてしまいます。


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普通はこのくらいに磨耗しています。
少々ならオイルストーンで修正できますね。

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こちらはプッシュロッドとの当り面です。
キズなどないかチェック・・・・・・。

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各部に充分オイルを付けて組み込んだら、ヘッドに取り付けます。
ガスケットはこのS&Sのケブラー入りがベストではないでしょうか?





















バルブ組み付け

2006年03月03日 | シリンダー、シリンダーヘッド
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掲示版などでも話題の多いバルブステムシールです。
一番右が純正品、と言っても採用は’81年モデルからになります。
形状が同じものは現在でもTCエンジンには使われていて、耐熱性は良いのですがガイドが磨耗すると追随性が悪く、シールというより油掻き程度のものだと思います。
中央はアメリカ製の社外テフロン樹脂のものです。これも追随性は?ですね。
左はワタシがずっと使っている国産のもので、これを使うにはバルブガイドも作りなおす必要がありますが、今までにトラブルはありません。

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何回もバルブのシートを研磨すると、バルブの位置が相対的に上がってしまい、写真のように測定するバルブステムの突き出し量が大きくなります。
マニュアルによる許容限度は41.78mmとなっています。
限度を超えた場合はバルブシートの交換が必要です。

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シールをバルブガイドに打ち込むのには、純正のオーバーホールキットに含まれていた写真のインストーラーが便利です。
バルブガイドはブロンズ系のスペシャルで、シール共々20年くらい前から使っていますけれど、トラブルが無く安心して使えます。

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バルブガイドの整備を行った場合やリフト量の異なったカムシャフトを使う場合には、この寸法が非常に重要です。
このストローク量以上のカムを使うと必ずシールは壊れます。

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バルブスプリングも長い期間使用しているとヘタッテきます。
純正スプリングの自由長は、年式によって異なりますのでご注意を。

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ワタシの愛用のスプリングコンプレッサーです。
リテーナーを押す部分は、形状を加工してズレにくくしてあります。
工具は使いやすいように、自分でカスタマイズするのは必要ですね。

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ウエスをカブっていますけど、ヘッドが乗っている台は以前紹介したものです。
内部の空間がヘッドをイイ感じの角度に置くことを可能にしています。

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バルブコッターをインストールするのには、硬いグリースを使うとスムースにコトが運びます。

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コッターはこのようにお互いの間隔を平均に、ロッカーアームに対して直角におきます。
インストールし終わったら、バルブの頭部を軽くハンマーで叩いて、コッターを落ち着かせます。

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ロッカーカバーを固定するスタッドボルトはこのように根元が太くなっています。
ナットが入る細いほうのネジ山は5/16-24、太い根元は3/8-18ですね。
























ピストン、シリンダー組み付け

2006年03月02日 | シリンダー、シリンダーヘッド
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バージンハーレーでコラム記事の連載が始まりました。よろしかったらご覧ください。

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ピストンピンを挿入したら、反対側のクリップを忘れずに装着します。

これを忘れると大変な事に・・・・・。

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ピストンピンクリップがキチンと装着されたのを、もう一度確認して・・・・。

写真を撮り忘れてしまいましたが、この段階でリング周辺にオイルを塗り、合口の位置が重ならないように調整しておきます。
リングコンプレッサーを使い、ピストンにシリンダーを入れます。
シリンダーの下端部が入り口になるので、前回の注意したように端面の面取りがないと、ここで苦労する事になります。

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途中まで入れたら、ピストンスカート部にオイルを塗っておきます。


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もう一つ忘れてはならないのは、80cu,in,のエンジンではシリンダーベーススタッドが長いので、シリンダーを固定する前にヘッドボルトを差し込んでおかないと、後では入らなくなってしまいます。
前のシリンダーでは右の前側、後は右の後ですね。

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シリンダーベースナットの締め付けトルクはマニュアルによると、43~54Nmとなっています。
しかし、ココは通常のトルクレンチが非常に使いずらい場所です。
そしてベースガスケットはペーパーですから、沈んでしまう量は大きくなりますし(ガスケットが沈むとボルトの軸力が消滅してネジが緩んだと同じことに・・・)、スタッドボルトはアルミのクランクケースに取り付けられている上、太くて短いので弾性領域の塑性領域には程遠いところで締める事になります。
つまり、ボルトが締結力を持続させるための充分な伸びを得られるほどトルクを与えられないので、シリンダーが傾かないように4本を対角線の順序で少しずつトルクを増していって、増し締めを何回か行えば、最良の結果を期待できるでしょう。


仮締めの段階でクランクを何回転か回し、本締めしてから又回してみて、妙な引っ掛かりがないか確認しておきます。


ピストン・シリンダー組み立て前

2006年03月01日 | シリンダー、シリンダーヘッド
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ボロンライナーを装備したシリンダーとモリブデンショットを施したピストンが、いよいよ組み立ての段階になりました。
でも加工から上がっただけではありません。

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まず、ホーニングで仕上げた後はシリンダー内壁を洗浄しなければなりません。
加工後はある程度キレイにはなっていますが、パーツクリーナーを吹き付けて洗浄すると、写真のように鉄粉が出てきます。これはクロスハッチの溝の中に細かい切削屑が残っているのでしょう。

超音波洗浄でもすれば完全でしょうね。
ショベルなどのシリンダーがオーバーホール後の早期にキズが多くできるケースは、この辺りのケアが・・・・。

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ピストンリングはピストンにセットする前に、シリンダーに入れてみて合口隙間をチェックします。

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このくらいのボアでは、ワタシは0.3mmの設定です。
合口隙間が少なすぎるとリングが熱膨張して、キット壊れるでしょう。

このときにリングの張りや端面の加工状況もチェックしておきます。

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ピストンクリアランスは赤矢印の部分で測定します。
青矢印の部分は随分とクリアランスが大きいのがお分かりでしょうか?

ピストンクリアランスは4~5/100mmの設定にします。マニュアルはもう少し小さめですが、湿度の多い日本では夏の冷却条件を考慮し、アルミのピストンと鋳鉄のシリンダーの膨張率も考えると、このくらいが妥当でしょう。
今までに何十本かのシリンダーを見てきましたが、磨耗しているほど使い込んでいるのは少なく、抱きつき、軽い焼き付きが原因と思われる深いキズのあるものがほとんどです。

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そして、ピストン頭部ではこんなにクリアランスというより隙間があります。


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オイルの戻り穴です。

ショベル(オルタネーターモデル?)ではシリンダーの内壁に青矢印の戻り穴が開いています。赤矢印はクランクケースによって塞がれていているので、このことは単に出口の位置が変わった事以上に意味があります。戻り穴はピストンスカートによって塞がれているとき以外は機能いたしません。
つまり、これ以前はロッカーケースの内部まで常にクランクケースに開口していて、ピストンの上下による圧力変化に晒されていたわけで、ヘッドの潤滑を終えたオイルが落下途中でも圧力変化で戻されたりと翻弄され、オイルの潤滑にも支障があったのでしょう。

ちなみに、こんな事がありました。
アメリカから買った中古ハーレーの話です。
どうも調子が悪いので腰上をばらしてみたら、ロッカーケースの中にオイルが溜まっていたのです!!
こんなことは初めての体験でした。
よくよくチェックして判明したのが、シリンダーに薄いライナーが入っていて、

オイル戻り穴がどこにも通じていない!!

そのハーレーを買った窓口からは何台も買っているので、”犯人”はおおよそ分っているのですが、某アメリカ人で農業の傍ら!!!日本向けのショベリジを生産!!しています。
デタラメは多方面に渡り、エンジンだけにとどまらずミッション、電気系と・・・・・・。

そんなのが流通すれば「ハーレーの旧車か壊れる」というのに拍車がかかってしまいます。
困ったもんだ。まあ最近は余り見かけないですが。


Simg_0112_1
ピストンをコンロッドに組み付ける前に。
コンロッドの曲がりをこうしてチェックすることができます。

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ピストンピン クリップは種類があります。
エボ以降は日本のバイクと同じ単純なものになりましたが、ショベル以前は端部に穴が開いていてプライヤーを使えば取り扱いが楽なものと、左側の720度(つまり2回転)薄い素材が巻いてあるものです。
両者はピストン側の溝の幅が違いますから、必ずピストンに付属していたものを使います。

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今回使用するピストンには、取り扱いの難しいほうの「2巻き型」クリップです。

ワタシの方法は、まずこのようにコイル状に引き伸ばします。

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そして、片方から少しずつ押しこんで・・・・・・。

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あせらずにやれば、ピストンにキズをつけずに完了です。

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ピストンをコンロッドに取り付ける前にピストンピンを差し込んでおきます。
入り方が硬いようでしたら、ピストンを80度くらいに加熱すると作業しやすいですね。
もちろん火傷には気をつけて。

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シリンダーの下の淵は必ずテーパー状に面取り加工したあるはずです。
加工のし忘れなどでカドが立った状態では、この先の作業が非常に困難になります。

そしてピストンを挿入する前には、内壁に充分なエンジンオイルを塗っておきます。