https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200928001800882?section=news
「聯合ニュース」 2020.09.28 11:41
■北朝鮮の射殺事件「厳しく認識」 対応を検討中=韓国統一部
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮軍が韓国公務員の男性を射殺した事件について、韓国統一部の呂尚基(ヨ・サンギ)報道官は28日の定例会見で、「現在の状況を非常に厳しく認識している」として、「北の追加的な反応を鋭意注視しいろいろな状況を考慮しながら、(対応を)慎重に検討している」と述べた。
【写真】北朝鮮に近い大延坪島の海岸を巡察する海兵隊(資料写真)=27日、延坪島(聯合ニュース)
同部は24日、事件について「南北の平和に向けたわれわれの一貫した忍耐と努力に冷や水を浴びせるもの」と非難する声明を発表した。
金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)が謝罪を表明し、南北関係の改善を期待する声が出ていることに関しては、「(男性の)遺族の立場から問題が速やかに解決することを望む」と述べるにとどめた。
一方、北朝鮮が朝鮮労働党創建75周年の記念日(10月10日)に実施する見通しの閲兵式(軍事パレード)の準備動向については、「準備が進められているという程度で把握している」として「(状況を)見極めている」と述べた。
https://japanese.joins.com/JArticle/270682?servcode=200§code=220
「中央日報日本語版」 2020.09.28 14:10
■ゴールデンタイム逃した韓国軍の釈明… 「北、初期は救助の動き…後に状況が急反転」
北朝鮮が22日、海洋水産部所属の公務員イさん(47)を銃で殺害する前、救助しようとする状況が見られたと、軍当局が28日明らかにした。
韓国国防部の関係者はこの日、「(北がイさんを最初に発見した後)相当な時間、救助の過程とみられる状況を認知した」とし「しかし後に状況が急反転し、対応に制限があった」と述べた。
軍当局によると、イさんは行方不明になった翌日の22日午後3時半ごろ、北朝鮮水産事業所の船舶に発見され、この日午後9時40分ごろ銃撃を受けて死亡した。
国防部の釈明は、軍当局がイさんを発見してから銃撃までの6時間、生存の事実を把握しながらも積極的に行動しなかったという批判が強まった後に出てきた。
この関係者は「情報を収集する末端実務者が(北のイさん発見情報を)認知した」とし「この情報について、信憑性がある状況かを確認し、内容を分析し、軍首脳部まで報告するには相当な時間がかかった」と釈明した。
続いて「西海(ソヘ、黄海)北方限界線(NLL)南側で海軍と海警がイさんの遺体の捜索作戦をしている」とし「NLL付近で数十隻の中国漁船が操業中であり、これを統制する活動も一緒にしている」と説明した。また「北も自主的な捜索に入ったと聞いている。NLLや西海5島近隣で北の特異動向はない」と伝えた。
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/37884.html
「The Hankyoreh 」 2020-09-28 13:02
■[インタビュー]北の銃撃で弟を失った兄「生かせることができたはずの死だった」
北朝鮮の銃撃で死亡した公務員の兄、イ・レジンさんインタビュー
22日から収拾作業に合流…ニュースで死亡の知らせを聞き
「北朝鮮と交信しながらなぜ行方不明者の捜索を要請しなかったのか」
軍当局の越北断定に強く反発
「使命感で働く公職生活を最後までやり遂げたがっていた」
遺体収拾、南北共同真相究明を強調
【写真】北朝鮮の銃撃で死亡した海洋水産部公務員の実兄、イ・レジン氏が今月26日、国会で「国民の力」のキム・ジョンイン非常対策委員長との面会後に行われたインタビューで心境を語っている/聯合ニュース
「弟がまだ生きていた時間、韓国軍は救命胴衣の数を数えていました」。北朝鮮で銃殺された公務員の兄、イ・レジンさん(55)は、複雑な表情で口を開いた。27日午後、京畿道安山市(アンサンシ)の事務所で会ったイさんの後ろで、「銃撃受けた公務員の乗っていたムグンファ10号が入港」というニュースの字幕がテレビに出ていた。ムグンファ10号は、航海士出身のイさんが弟の行方不明の知らせを聞き、22日に小延坪島(ソヨンピョンド)に向かって捜索作業のために乗っていた船でもある。イさんは「南側の西海(黄海)の北方限界線(NLL)付近に最大限近づきたかったが、船が足りず行けなかった。(捜索人員を)増やしてほしいと要請したが受け入れられなかった」と言い、「日没なので撤収したら、全数調査だといって船の廊下に救命胴衣を並べた。弟が射殺される3時間前だった」と語った。そして翌日夜、メディアの記事で死亡の事実を知ったイさんは、24日朝、軍当局が「公務員の自発的な越北」という結論を下したことを聞き「呆れ果てた」と話した。イさんは遠洋漁船の船長出身である弟が「最後まで公職生活を続ける」と言って笑っていた姿を記憶している。彼は弟の名誉を守りたいと強調した。「弟が南の海を漂っていた20時間以上も行方を明かさず、越北だと性急に決めつけたことに強く抗議します」。
以下はイさんとの一問一答。
-弟が行方不明になった21日以降、事件はどのように進行したのか。
「21日午後2時30~40分ごろ、弟が所属していた西海漁業団から弟が行方不明になったという電話を受けた。小延坪島に入るには2日かかると言って、翌日の22日朝8時、船で小延坪島に入った。2時間ほど後、事故船舶(ムグンファ10号)に乗り、すぐに捜索に入った。同時に海洋警察に資料の要請もした。その日は、海軍4隻、海洋警察3隻、地方指導船2隻が出ていたと覚えている。西海の北方限界線の最近接まで行きたかったが、船が足りなかった。増員要請はしたのだが…日没までに捜索作業を終え、夕食直後の午後6時30分ごろ、海軍から全数調査が入ったとしてライフジャケット(救命胴衣)を廊下に並べた。軍幹部が確認しろと言ったという。政府は情報などを通じてすでに生きているという事実を知っていたにもかかわらず、救助の代わりにこのような全数調査をした」。
-23日も捜索作業に乗り出したのか。
「朝7時1分、海洋警察の艦船から身元不明の遺体が発見されたと聞いて遺体を直接確認した。腐敗がひどく、弟ではなかった。10号の3倍ほど大きいムグンファ23号に乗り換え、捜索作業を続けた。午前7時30分から午前8時まで北朝鮮警戒所の方から「侵犯するな」との交信があった。韓国軍は詳しい説明なしに「行方不明者を捜索中だ」と短く答え、応射交信しただけだった。午前10時まで5、6回の交信があった。理解できないのは、行方不明直後、なぜ韓国軍が先に北朝鮮に行方不明に対する交信をしなかったのかということだ。交戦状態でもないのに、常識的に「韓国国民が越ていったので返してほしい」と交信できるのではないか。私が知る限りでは、22日には何の交信もなかった。そして23日夜、弟の死亡のニュースを通じて知った。そこで捜索の代わりに真偽を把握するため、24日に陸地に上がった」。
-その時からAさんが自ら越北しようとして北側の海に入り、銃撃を受けて死亡したものとみられるという主張が出ていたが。
「(弟が)普段どんな性格だったかを知っているので戸惑った。私もそうだが、弟も遠洋漁船に5年乗り、船長までした。その経歴が公職任用に有利なので、8年前に公務員になった。ニュースを見ていたら、中国の違法船舶取り締まりは危険だというので、弟にそれは辞めて自分のやっている事業を手伝ってほしいと言った。すると弟は、使命感で働く生活が良いんだと言い、最後まで公職生活を続けると話した。それで、できる限り最善を尽くようにと言った。行方不明の前日には、子どもたちとも電話で話した。政府は弟の死が報道された後、あまりに性急に越北と決めつけた。船内のCCTV(監視カメラ)も故障しており、いまは弟のパソコンのハードディスクの分析に入ったが…このような問題は推定で決め込んではならないのではないか。それよりは遺体収拾と真相究明が先だと思う」。
-越北の根拠として、Aさんの負債問題も取り上げられているが。
「正確には分からないが、借金が数千万ウォン(数百万円)あると聞いている。この国に借金のない国民が何人いるというのか。責任を避けるための主張としか思えない。たとえ債務関係であっても、私を含めて借金を返済できる兄が2人もいるのに、私たちがそれを無視するわけがない。私の携帯には、よく連絡するリストの一番上にはいつも弟がいた。唯一私に甘える弟で、一番愛着のあった弟だった。いくらでも助けてあげられた。弟の夫婦関係についての話も出ているが、喧嘩のない夫婦がどこにいるのか。 離婚熟慮期間だったが、弟の奥さんも今、精神的に参っている状態だ。このような問題を(越北の根拠に)追い込むのは稚拙だ。大統領も、現政府も本当に好きだった。しかし、いざ今回のことを経験してみると、弟に裏切り者のレッテルを張ることにあくせくしているという感じは隠せない。弟の名誉を無慈悲に汚す行為だ」
-他の家族はどんな状態か。
「約30年前、いとこの姉が莞島(ワンド)の警戒所で警戒兵のミスで銃で撃たれて死んだ。家族全員にとって恐ろしいトラウマだった。他の事故死より銃殺のトラウマは特に恐怖が大きく、みんなショックが大きい。弟の子ども2人も母親と一緒にいるが、ニュースでずっと父の死について「銃を乱射した、燃やした」と報道されていることをどんな気持ちで聞いているのだろうか。二人はまだ高校生と中学生だ。死を受け入れられると思うか。弟の奥さんは、私に事を大きくしないでくれと言っている。それでも私は捜索した当時、8マイルしか離れていない状態で救助を待っていたはずの弟の死を突き止めなければ、それこそ弟に罪をつくることだと思う。あきらめたくない」。
-北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が25日、大きな失望感を与えたことに対して大変申し訳なく思うと謝罪した。どう見たか。
「一発だけ撃ったのなら、気持ちのつらさまだましだったかもしれない。36時間に冷たい海の中で救助を待っていた弟に銃弾10発を撃ったというが…遺族として許すとしても、どう受け入れればいいのか。それでも、弟の遺体を捜して引き渡してもらうために受け入れた。 大韓民国の国民として南北関係の改善は一生の念願と希望だ。しかし、それとは別に軍や政府から遺族代表に何の連絡もないのは悲惨な現実だ。弟の奥さんに海洋水産部長官名義で『深い慰労の意を伝える』という慰労書が1枚届いたのが全部だ。事件が起きて国防部、合同参謀本部、統一部に電話をかけたが、『調べてみる』という答えばかり繰り返す。与党などは金委員長の親書一つを日照りに雨のごとく考えて利用しているのではないか。悲しく、痛々しい心情だ」。
-今後どのような要求事項を伝える予定か。
「今は遺体収拾が最優先だ。その後は、南北共同真相調査で真相究明し、誤りが明らかになれば、責任者を厳重に問責しなければならない。弟の死には国の責任があるから補償請求しようという提案も入っているが、断っている。何億ウォンの補償を受けなくてもかまわない。弟の名誉が守られることを願うばかりだ。まずは合同参謀に弟が南側の海を漂流した経緯を厳しく聞く予定だ。いっそ、弟が海を漂っていたところ韓国軍が誤って撃った銃に撃たれて死んだなら悔しさはまだましかもしれない。潮流に乗って北朝鮮軍から惨く乱射されたではないか。北側の海に移動するまで、いったい韓国軍は何をしていたのか分からない。私の弟の36時間について聞きたい。生かせることができたはずの死だった」。
【写真】今月27日、京畿道安山市の事務所で会ったイ・レジンさんが捜索状況を説明している//ハンギョレ新聞社
ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/963864.html
韓国語原文入力:2020-09-28 09:22
https://japanese.joins.com/JArticle/270677?servcode=500§code=510
「中央日報日本語版」 2020.09.28 12:11
■韓国首相「公務員襲撃事件、真相究明しなければ… 南北共同調査できない理由がない」
丁世均(チョン・セギュン)首相が仁川延坪島(インチョン・ヨンピョンド)で公務員が射殺された事件に対して南北共同調査を推進しなければならないと再度強調した。
丁首相は28日午前、CBSラジオ番組『キム・ヒョンジョンのニュースショー』に出演して「(事件に対して)私は国防部で報告を受けた。また、北朝鮮から通知文が届いた内容がメディアに報じられて両方とも内容を聞いたが、お互いにちょっと内容が違う」として「真相を究明することが望ましい」と話した。
丁首相は「この問題のせいで解氷しそうな南北関係に冷や水が浴びせられたようだ。冷や水よりさらにひどいものを浴びせられた状況」とし「否でも応でも対話と疎通を通じて結局は平和を作っていかなければならない。今回のことが大きな障害に発展しないように真相究明を一日も早くしたほうが良いだろう」と明らかにした。
司会者が「真相究明は南北が共同で行うべきだと考えるか」と尋ねると、丁首相は「共同で行ってこそ両側が承服できるのではないか」とし、「共同でできない理由がない。真相究明をして今回の事態によって南北関係がさらに良くない方向に達することを防ぎ、また今後(類似した事件が)再発しないように取り組むべきだ」とした。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領が前日緊急安保関係長官会議を開いて北朝鮮に共同調査を求めたことに対しては「まだ答えが届いていない」として「見通しが容易ではない。北朝鮮側とはとても限られた程度の疎通だけが行われている」と話した。軍事通信線があったとすれば、南北が互いに疎通して問題を予防したかもしれないとし「軍事通信線をはじめとする全体的な南北間疎通ルートが復元されるのが両側のために必要な状況」とも話した。
一方、丁首相はこの日から始まった2週間の特別防疫期間をめぐり「かつては民族の大移動が起きる時期だ。この大移動を最小化して新型コロナが旺盛に広がることを是非防ごう(ということ)」とし、「国民もどうかお宅にいらっしゃってほしい。さまざまなテレビ番組も良いものを作ってお宅で楽しめるようにし、故宮や博物館なども防疫守則を守りながら少数だけが参加できるようにして若干の扉を開けておきながら全体的には制限するつもり」とした。
また、開天節(建国記念日、10月3日)とハングルの日(10月9日)に予告された一部の集会をめぐって「普段韓国国民が享受してきた自由をしばらく留保してほしい」として「憲法的基本権を尊重して(これを)常によく守って差し上げなければならないが、国民の命と安全より重要ではない」とした。車両集会の不許可に対しては「車両何台以上のデモのようなことができないように道路交通法などが定められている」として「ソウル市が集合禁止命令を下した。変形された形の集会も許容しないということ」とした。
https://japanese.joins.com/JArticle/270671?servcode=100§code=110
「中央日報日本語版」2020.09.28 11:09
■【社説】国民感情に火をつける「金正恩擁護」=韓国
韓国の国民が北朝鮮軍に殺害されたにもかかわらず、責任ある与党側の人たちが北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長を事実上称賛した。今回の事件の本質は、北朝鮮軍が海で行方不明になった韓国国民を救助するどころか銃で射殺した後に燃やしたという反倫理的な行為だ。殺害されたイさんは韓国海洋水産部の公務員であり、海に落ちた後、浮遊物にしがみつきながら約30キロ漂流した。北朝鮮軍に発見された時は力尽きた状態だったはずだ。北朝鮮は国際規範に基づき遭難者を救助すべきだった。しかもイさんは非武装状態だった。金委員長は非難世論が強まると、3日後に謝罪性の通知文を送った。人を殺害した後に「申し訳ない」という格好だ。
にもかかわらず一部の人たちはあきれるような表現で、北朝鮮の残酷な行為に怒りを感じている国民感情に火をつけた。柳時敏(ユ・シミン)盧武鉉(ノ・ムヒョン)財団理事長は金委員長を「啓蒙君主」に例えた。柳理事長は25日、ユーチューブのライブ配信で金委員長の通知文が伝えられると「(迅速な謝罪は)我々が望んだ朗報」とし「(金委員長は)啓蒙君主のようだ」と語った。共に出演した丁世鉉(チョン・セヒョン)平和統一諮問会議首席副議長は「(金委員長は)度量が大きいところがある」と称えた。北朝鮮がイさんの遺体を海上で燃やした蛮行についても「残った残余物に対して防疫規定に基づき焼却措置を取ったとすれば理解できる」とかばった。北朝鮮の反倫理的行為に免罪符を与えたのだ。大韓民国の統一部長官を務めたという彼の経歴が疑われる。さらにこの日のユーチューブ参加者は北朝鮮の通知文を喜ぶように笑ったりもした。国民が犠牲になった状況でどうすれば笑いが出るのだろうか。李仁栄(イ・インヨン)統一部長官も同日、国会で「(北朝鮮最高指導者が)『申し訳ない』という表現を2回も使ったのは初めて」と金委員長を擁護した。
国民は北朝鮮の非人間的な蛮行に怒りを感じている。今回の事件に金委員長の許可や指示があったかどうかは分からないが、金委員長に総体的な責任がある。したがって金委員長に対して蛮行を糾弾し、真相究明および関係者の処罰を求めるのが正常だ。にもかかわらず金委員長を「啓蒙君主」「度量が大きい指導者」などと称賛する人たちの考えには怒りを越えて悲しみを感じる。このためSNSでは「悲惨だ」「北に対する文在寅政権の片思いに金正恩が韓国人銃殺で応えた」という非難が多い。
国民が犠牲になる間、青瓦台と政府、軍はいかなる措置も取らずに見守っているだけだった。一部の政界関係者は北朝鮮擁護に没頭している。国がこうした状況になるまで何が問題だったのかをまず反省し、北朝鮮には責任を問うてこそ、正常な国でありオピニオンリーダーだといえる。過ちはなかったと擁護すれば、北朝鮮が誠意を持って共同調査に応じるだろうか。
https://japanese.joins.com/JArticle/270667?servcode=200§code=220
「中央日報日本語版」 2020.09.28 10:32
■<韓国公務員射殺>元情報当局者ら「政府は無計画、軍はねじが緩んだ」
【写真】25日、青瓦台の徐薫(ソ・フン)国家安保室長が青瓦台春秋館ブリーフィングルームで南北首脳間の親書に関するブリーフィングをしている。[青瓦台写真記者団]
北朝鮮軍が韓国国民を射殺するまでの6時間に韓国政府がいかなる対応もしなかったことについて、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の元情報当局者らが叱責した。
参加政府(盧武鉉政権)当時に情報当局にいた複数の関係者らは27日、中央日報に対し「政府は北側が応答するかどうかに関係なく、青瓦台、国家情報院、板門店(パンムンジョム)連絡事務所などホットラインを総動員して生還させる努力をすべきだった」と指摘した。
◆「文大統領だけ見えて国民は見えないのか」
特に元当局者らは、今回の事件の前後に南北首脳間が親書を交わし、北側の統一戦線部名義の通知文があったことに言及しながら、韓国政府の消極的な対応を批判した。
匿名を求めた元情報当局者Aは「文在寅(ムン・ジェイン)政権が無計画で対応したことが如実に表れている」とし「行方不明になれば、ホットラインが稼働するかどうかに関係なく北側に『特に関心を向けてほしい。救助してほしい』と要請するのが当然だ」と述べた。また「そうしてこそ国民に対して一種の免責になり、南北対話を始めるきっかけにもなるのではないのか。それだけ現在の安保ラインが無能ということだ」と批判した。
別の元情報当局者Bは「親書だけでも事件の前にホットラインがあったというのは明白」とし「新型コロナ状況などで親書を第3国接触で受けるのは難しかったはず。親書交換は国家情報院のファックスと推定される」と話した。
続いて「北側は徐薫(ソ・フン)室長に対して冷たい感情が残っているため、青瓦台でなく国家情報院を通じて親書が交わされた確率が高いとみられる」と語った。また「最近、南北関係がいくら良くないとしても、こうしたホットラインを通じて必ず状況を確認して措置を取るべきだった」と強調した。
文在寅大統領に翌日朝になってから報告された点についても批判が出てきた。Bは「夜中に青瓦台で安保室長が関係長官会議まで開いたというのは、それだけ事態を重く受け止めたということ」とし「大統領を起こしてでも報告すべきだった。安保室は文在寅大統領だけが見えて国民は見えないのか」と批判した。
◆「北の緻密な計画にもてあそばれた」
元情報当局者は今回の事件をめぐる北側の対応をついて、「北が非常に精巧かつ緻密に計画を準備した状況が見られる」とし「文在寅政権は金正恩委員長の手のひらでもてあそばれた」と話した。
元情報当局者Aは「北は多角的に今回の事件の効用性を最大化しようとしたはず」とし「南北関係が難しくなれば国民も守れないというメッセージが一つ、文在寅政権には我々は黙っていないというメッセージを与えた」と解釈した。
続いて「その一方で事後に通知文を送り、窮地に追い込まれた文在寅大統領の厳しい立場を緩和した。これは北が『我々の態度によって韓国の情勢を変えることができる』というもう一つのメッセージを与えたとみられる」と語った。
Aは「なぜ統一戦線部の名義で通知文を送ったかに注目する必要がある」とし「おそらく今後、朴智元(パク・ジウォン)国家情報院長の役割に期待しながら後押しするためにカウンターパートの統一戦線部を活用した可能性がある」という見方を示した。
別の元当局者Cは北朝鮮軍が射殺前に6時間待機したことについて「現場報告を受けた北の上部が指示を出す前にいろいろと悩む時間が必要だったのだろう」と述べた。続いて「遺体が流れるのを防ぐため『跡を残すな』という焼却命令を出したはず」とし「そうしてこそ新型コロナ防疫という正当化の名分を前に出して遺体毀損問題から逃れることができるため」と評価した。
◆「軍の非常識な釈明…政治的な判断の疑い」
軍の内外では、軍の6時間の無対応に批判が出ている。元軍情報関係者Dは「合同参謀本部が射殺と遺体毀損を目撃した翌日まで海軍と海警はとんでもないところで捜索していた」とし「海軍と情報が共有されていなかったのではないのか」と指摘した。また「それがまさに海軍哨戒艇(高速艇)の任務であり、2、3隻を周辺に送るだけでも確認できたはず」とし「必ずこの部分に対する責任追及がなければいけない」と強調した。
民間人射殺当時には「正確な位置を把握できなかった」という軍の釈明も釈然としないという指摘が出ている。これに対し軍関係者は「当時、わが軍は米軍が各種情報資産を通じて把握した関連情報を随時共有した」と伝えた。Dは「北の船が2隻も浮いていたのに位置を知らなかったはずはない」とし「外側から見ると、軍が政治的な判断をするという疑いを持つしかない」と話した。
しかし国防部は24日、一歩遅れて関連事実を公開し、「見えない遠距離海域で起きたことを、さまざまな情報を総合的に判断して再構成した」とし「北の海域で起きている状況を随時確認して対応することはできないという点を理解してほしい」と説明した。
24日に軍関係者は記者らに「北が射殺して遺体を燃やすことは予想できなかった」と述べた点も論議を呼んでいる。元情報当局者Bは「北がそこまでするとは考えていなかったという言葉を聞いて衝撃を受けた」とし「民間人でもなく軍人がどうすればそのように話せるのか」と批判した。続いて「軍は過剰と思われるほどの対応準備をするのが常識ではないのか。ねじが緩んでいるということだ」と嘆いた。
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200928001200882?section=news
「聯合ニュース」 2020.09.28 10:21
■北朝鮮の射殺事件「南北関係に冷や水」 共同調査の必要強調=韓国首相
【ソウル聯合ニュース】韓国の丁世均(チョン・セギュン)首相は28日、ラジオ番組に出演し、北朝鮮軍が韓国公務員の男性を射殺した事件について、「南北関係に冷や水を浴びせるもの」と指摘し、早期の真相解明を求めた。
丁氏は青瓦台(大統領府)と政府が27日、北朝鮮に真相解明のための共同調査を提案したことに関しては、「共同で(調査)してこそ双方が納得できるのではないか」として、「共同でできない理由もない」との見解を表明。「軍事通信線をはじめ、南北の意思疎通のチャンネルが再開されることが双方にとって必要」と強調した。
一方、一部の保守系団体が建国記念日にあたる10月3日の「開天節」に集会を強行する方針を明らかにしたことについては、「集会の自由は憲法の基本権だが、国民の生命と安全より重要ではない」として、「申し訳ないが、その基本権をしばらく留保してほしい」と呼びかけた。
丁首相は27日に国民向け談話を発表し、新型コロナウイルスを巡る現在の状況を「戦争に準ずる事態」とし、集会に関連する違法行為者は現場で検挙するなど、厳しく対応する方針を明らかにした。
車に乗ったまま集会に参加する人も処罰の対象にするかどうかに関しては、「(車に乗って)通る過ぎることに対しては何も言えない」とした上で「道路交通法などを犯せば処罰する」と説明。「形態を変えた集会も認めない」と述べた。
https://japanese.joins.com/JArticle/270662?servcode=500§code=510
「中央日報日本語版」 2020.09.28 09:41
■韓経:<韓国公務員射殺>韓国大統領府、北朝鮮に追加・共同調査を要求
青瓦台(チョンワデ、大統領府)が27日、小延坪島(ソヨンピョンド)付近の海上で行方不明になった公務員イ氏殺害事件に関連して北朝鮮側に追加・共同調査を求めた。与党でも徹底した真相究明に向けた韓国と北朝鮮の共同調査の必要性を繰り返し強調し、北朝鮮が受け入れるかどうかに注目が集まっている。
青瓦台はこの日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領主宰の安保関係長官会議を開いて「北朝鮮の迅速な謝罪と再発防止約束を肯定的に評価する」として「南と北がそれぞれ把握した事件の経緯と事実関係に違いがあるので早急な真相究明に向けた共同調査を求める」と明らかにした。
共同調査を機に南北間疎通ルートの復元に対する意志も表わした。ソ・ジュソク青瓦台国家安保室第1次長はこの日、記者会見で「南北間疎通と協議、情報交換のために軍事通信線の復旧と再稼働を求める」と強調した。
遺体の収拾が最優先だとして北朝鮮とともに中国にも協力を呼びかけた。ソ次長は「北方限界線(NLL)付近の海域で操業中である中国漁船もあるので中国当局と中国漁船にも遺体と遺留品の収拾に協力することを求める」と話した。
与党要人も先を争って共同調査の必要性を強調している。共に民主党の李洛淵(イ・ナギョン)代表はこの日、SNSに文章を投稿して「南北が共同で調査しようという韓国政府の提案を北朝鮮が迅速に受け入れることを促す」と明らかにした。
だが、ほとんどの専門家は追加調査と前例のない南北共同調査いずれも簡単ではないと分析した。新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)防疫を最優先にしている北朝鮮で韓国要人と接触できる調査に応じる可能性が大きくないためだ。また、北朝鮮はその間共同調査の要請に応じたことがない。2008年7月金剛山(クムガンサン)でパク・ワンジャ氏殺害事件が発生した時も政府は北朝鮮に現場訪問を許容することを求めたが拒否された。
この日、国会のレベルで対北朝鮮糾弾決議案を採択する方針は与野党院内代表間会合が反故になって白紙化した。
https://japanese.joins.com/JArticle/270655?servcode=200§code=200
「中央日報日本語版」2020.09.28 08:30
■「大統領はどこにいるのか」…野党、「文大統領の10時間」で攻勢
【写真】北朝鮮軍が西海(ソヘ、黄海)で行方不明になった公務員を射殺した事件をめぐり、野党・国民の力は27日、青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)の前で文在寅(ムン・ジェイン)大統領の釈明を求めるリレー1人デモを行った。金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員長(左)がデモにする朱豪英(チュ・ホヨン)院内代表と対話している。 オ・ジョンテク記者
「大韓民国の大統領を捜しています」「文在寅(ムン・ジェイン)大統領、今どこにいるのですか」。
韓国海洋水産部の公務員イさん(47)が北朝鮮軍に銃殺された事件に関連して27日、青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)噴水台の前でリレー1人デモを続けた韓国野党・国民の力の議員はこのよう書かれたカードを掲げた。8時間ほど行われたこの日のデモには、院内首席副代表の金成願(キム・ソンウォン)議員をはじめ、郭尚道(クァク・サンド)議員、全珠恵(チョン・ジュヘ)議員、ペ・ヒョンジン議員、朱豪英(チュ・ホヨン)院内代表が順に参加した。
国民の力の議員らは「国民の生命を守るのが国家の基本だが、大統領はどこで何をしていたのか」とし「我々の国民を救うこともできたはずだが、そうできなかったことについて、青瓦台の明確な釈明がなければいけない」と主張した。野党は特に今回の対応の過程で文大統領の姿が見えなかったとし「大統領の不在と沈黙」を問いただしている。
(1)射殺情報入手前の4時間は何をしていたのか
争点に浮上したのは、文大統領が最初の報告(22日午後6時36分)を受けた後、正式報告(23日午前8時30分)を受けるまで何をしていたかだ。大統領への書面報告後にイさんが死亡したことが把握され、青瓦台の対応が適切だったかどうかが論議を呼ぶ可能性があるからだ。
まず野党は、イさんが射殺されたという機密情報を入手する直前の4時間の青瓦台の対応を問題視している。青瓦台の発表によると、文大統領は22日午後6時36分に書面報告を受けた。「イさんが行方不明になり、北側が海上でイさんを発見した」という内容だった。イさんはそれから3時間後の22日午後9時40分ごろ北朝鮮軍によって射殺された。イさんが射殺されたという情報が青瓦台に入ってきたのは50分ほど過ぎたこの日午後10時30分ごろだ。
国民の力の尹喜淑(ユン・ヒスク)議員は27日、フェイスブックで「行方不明になった国民が北の軍に発見されたという報告を受けてから銃殺されるまでの3時間に大統領は何を指示したのか。国民の保護に動かないとは本当に国なのか」とコメントした。青瓦台からは「政府と軍は状況把握のため情報チャンネルをフル稼働していた」という程度の反論が出ている。
(2)銃殺情報後の「大統領の10時間」
22日午後10時30分に銃殺されたという情報を入手した後の「文大統領の10時間」も論議を呼んでいる点だ。情報を入手してから2時間30分後の23日午前1時、青瓦台では徐薫(ソ・フン)国家安保室長と盧英敏(ノ・ヨンミン)大統領秘書室長の主宰で長官級5人が出席した関係長官会議が開かれた。1時間30分ほど行われたこの会議で、政府はイさんが死亡したという暫定結論を出した。
しかし文大統領は会議終了から6時間ほど経過した午前8時30分に関連内容の報告を受け、さらに会議が開かれたことも知らなかったと、青瓦台は説明した。
李仁栄(イ・インヨン)統一部長官は25日、国会外交統一委員会で「夜中に会議を開き、整理する時間を経て、大統領に報告が入ったと判断した」と述べた。
しかし野党からは「国民が北の軍の銃で死亡したという内容が、一夜が過ぎて報告されることなのか」(趙太庸・国民の力議員)という指摘が出ている。また、文大統領が最初の報告(22日午後6時36分)を受けて公式メッセージ(24日午後5時15分)を出すまでの47時間について、「分・秒単位で日程を明らかにすべきだ」(金鍾仁・国民の力非常対策委員長)と圧力を加えている。国民の力の金恩慧(キム・ウンヘ)報道官は「『大統領の24時間は国民が知るべき公共財』というのが第19代大統領選挙の文在寅候補の公約だった」と指摘した。
青瓦台は「イさんが射殺されたという情報は文大統領に直ちに報告できる水準の情報ではなかった」という立場だ。しかし文大統領の細部日程公開要求には特に反応を見せていない。
(3)親書を交わしながら救助要請はなぜできなかったのか
青瓦台関係者は24日、今回の事件の事実関係の把握が遅れた理由について「南北間ホットラインが断たれている」と説明した。ところが青瓦台が最近交わした首脳間の親書を公開したことを受け、「親書は交わしながらなぜ人命救助には活用しなかったか」という指摘が出ている。
国民の力の河泰慶(ハ・テギョン)議員は「金正恩(キム・ジョンウン)委員長の親書を見ると、当時は北と意思疎通する窓口があった。連絡手段がなく北側に知らせることができなかったという政府の国会報告は嘘」とし「国民の生命を助けるために活用可能な手段を全く使わなかった」と指摘した。
(4)北の通知文に啓蒙君主vs居直り
金正恩国務委員長の「申し訳ない」という発言が伝えられた北朝鮮の25日の通知文に対する与党側の反応を、野党は強く批判している。与党からは「申し訳ないという表現を2度も使うのは極めて異例」(李仁栄統一部長官)、「氷の塊の下でも川の水が流れるように、厳しい状況でも変化を感じる」(李洛淵民主党代表)、「(金委員長が)私の印象では啓蒙君主のようだ」(柳時敏・盧武鉉財団理事長)などの反応が出てきた。
国民の力は27日、「(北側の)紙1枚の謝罪に感泣し、国民の生命を紙1枚より軽く考えている。国民のプライドは紙切れのようにくちゃくちゃになっている」(金起ヒョン議員)、「公開的な席で抗議を一度もしない大韓民国の大統領はおかしく見え、人を殺しておきながらも加害者が大きな声を出すあきれる状況」(金根植党協委員長)などと批判した。
https://japanese.joins.com/JArticle/270654?servcode=500§code=510
「中央日報日本語版」 2020.09.28 08:06
■韓国大統領府、襲撃前にやりとりした親書公開…南北対話修復向けの布石?
【写真】青瓦台の徐薫(ソ・フン)安保室長が25日午後、青瓦台春秋館の大ブリーフィングルームで南北首脳間の親書に関するブリーフィングをしている。 青瓦台写真記者団
徐薫(ソ・フン)青瓦台(チョンワデ、大統領府)国家安保室長は25日午後、メディア向けの記者会見を2回も行った。午後2時に開かれた1回目の記者会見では北朝鮮の統一戦線部が海洋水産部公務員イ氏(47)の射殺事件に関連して送ってきた通知文の内容を紹介し、午後4時2回目の記者会見では文在寅(ムン・ジェイン)大統領の指示にしたがって南北首脳がやりとりした親書の内容を公開した。「北朝鮮の通知文公開以降、南北首脳間の親書交換問題に対する国民の関心が高まっている」という理由だ。
だが、該当親書はイ氏射殺事件が発生する前に交換したもので、事件の本質とは関係がない。また、北朝鮮の蛮行によって韓国の世論も悪化していた。それでも親書を公開した背景をめぐり、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長の予想外に早い謝罪を肯定的に受け止めた青瓦台が南北最高位級の疎通は円滑に行われているということを強調し、今回の事件をか対話修復のきっかけにしようとするのではないかという見方がある。実際、27日、青瓦台は「北側の迅速な謝罪と再発防止の約束を肯定的に評価する」として北朝鮮に共同調査を求めた。このため、北朝鮮が一方的に切ってしまった軍事通信線の復旧も提案した。
これに先立ち、李仁栄(イ・イニョン)統一部長官も25日、国会外交統一委員会で「南北間に対話と接触が行われれば、再発防止に向けた具体的な措置を協議できるだろう」と話した。27日には 李洛淵(イ・ナギョン)代表がフェイスブックの文章を通じて「諸般問題を南北が共同で調査しようという韓国政府の提案を北側が迅速に受け入れることを促す」と書くなど、党・政府・青瓦台が口をそろえている。
それは、米国大統領選(11月3日)前の平和のイベントが劇的に実現できる「オクトーバーサプライズ」への依然とした期待が隠れているという分析だ。金鉉宗(キム・ヒョンジョン)青瓦台国家安保室第2次長の訪米(16~20日)-文大統領の「条件のない終戦宣言」国連演説(15日録画、18日国連送付、23日放映)-李度勲(イ・ドフン)外交部韓半島(朝鮮半島)平和交渉本部長の訪米(27~30日)などにつながる忙しい程度もこれを念頭に置いたものなのかもしれない。
これを受け、ある消息筋は「金次長の訪米は文大統領の国連テレビ演説のスケジュールに合わせて行われた」とし、「北朝鮮に向かった北東アジアの防疫協力体の構成および非核化の条件が抜けた終戦宣言提案について米側に説明した」と伝えた。
実際、わずか1週間置きで米国を訪問した金次長と李本部長の面談相手はかなり重なる。マット・ポッティンジャー米NSC副補佐官、スティーブン・ビーガン米国務副長官など米行政府の韓半島(朝鮮半島)ラインだ。それでも韓国の次官級と次官補級が相次ぎ動いたのはそれだけ対米説得に集中しているという傍証でもある。
10月初め、マイク・ポンペオ米国務長官の訪韓も政府が期待するイベントだ。ポンペオ長官は米朝間高官級交渉で事実上首席代表の役割を果たしてきたためだ。李本部長の訪米はポンペオ長官の訪韓の際、韓米が口をそろえて条件のない終戦宣言をプレゼントとして差し出して北朝鮮の交渉復帰を促すための地ならしの側面もあるわけだ。
だが、政府の努力が成果を上げるかは未知数だ。魏聖洛(ウィ・ソンラク)元駐ロシア大使は「青瓦台と政府は金委員長の謝罪を機に事態を早期に収拾して対話を回復したいと思うはずだが、北朝鮮は米大統領選挙以来決まったタイムテーブル通りに動くだろう」とし、「米国も直ちに非核化のない無条件の終戦宣言のカードを受け入れることが難しい状況」と指摘した。
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/37877.html
「The Hankyoreh 」 2020-09-28 08:25
■全面に出た文大統領…「真相究明への協力」で突破口を模索
南北共同調査要請の背景
行方不明の公務員の死亡から4日後に
緊急安保長官会議を主宰
悪化した世論を考慮した「政治的賭け」
大統領府「北朝鮮が拒否する理由はないと思う」
共同調査団の構成は要求せず
【写真】ソ・ジュソク大統領府国家安保室1次長が今月27日午後、大統領主宰の緊急安保関係長官会議関連のブリーフィングのため、大統領府春秋館大ブリーフィングルームに入場している/聯合ニュース
ついに文在寅(ムン・ジェイン)大統領が前面に乗り出した。大統領府は27日、漁業指導員の銃撃死亡事件に対する共同調査を北朝鮮に公式要請すると共に、このような決定が下された会議の主宰者が文在寅大統領であることを明らかにした。野党が事件直後、大統領府の状況判断と意思決定の過程を執拗に問題視し、「大統領も行方不明」とまで言及したことを受け、これ以上舞台裏にとどまるわけにはいかないと判断したもようだ。大統領府は、大統領まで直接乗り出した共同調査の要求を北朝鮮が簡単には拒否できないと見ている。
文大統領は同日午後3時から4時30分まで、ソ・ウク国防部長官やパク・チウォン国家情報院長らが出席した緊急安保関係長官会議を招集した。同会議は行方不明の公務員が北朝鮮海域で銃撃を受けて死亡してから4日後に行われた。文大統領主宰の会議後に出されたメッセージは、今月25日に北朝鮮統一戦線部を通じて出された金正恩(キム・ジョンウン)国防委員長のメッセージに対する返信の性格が強い。ソ・ジュソク国家安保室1次長(国家安全保障会議事務処長)はブリーフィングで、「北朝鮮の迅速な謝罪と再発防止の約束を肯定的に評価する」と述べた。金正恩委員長の謝罪発言が含まれた統一戦線部の通知文に対する大統領府の最初の公式反応と言える。
メッセージの主な要求事項は「共同調査」だ。大統領府と韓国政府に対する不信感の高まりと悪化した対北朝鮮感情を考慮した決定だ。その一方、「共同調査団の設置」を求めるなど、調査そのものを催促するような要求はしなかった。南北がそれぞれの水域で遺体の捜索を行い、捜索状況と調査結果については軍通信線を復旧して情報を交換しようと提案したのだ。
文大統領は同日の会議でも野党と保守陣営が「大統領の対応」を問題視したことについてもどかしさを訴えたという。実際、23日午前1時に行方不明の公務員と関連し緊急関係長官会議を開いたのに、文大統領には翌日午前8時30分に対面報告したことが物議をかもした。これをめぐり野党と保守陣営は、2014年のセウォル号惨事事件直後、朴槿恵(パク・クネ)大統領の“空白の7時間”になぞらえ、文大統領を攻撃した。
結果的に大統領府は同日、“政治的賭け”に出た格好だ。最高統治者が北朝鮮に共同調査とそのための軍事通信線の復旧を要請したので、北朝鮮がこれを拒否した場合、政治的打撃が少なくないからだ。北朝鮮との事前の合意はなくとも、独自の検討の結果、北朝鮮がこれを受け入れる可能性が高いと判断した可能性もある。大統領府の関係者は「金委員長が直接申し訳ないと公式謝罪したのに、真相究明のための共同調査の要請を受け入れない理由はないだろう」と楽観的な見通しを示した。しかし、共同調査が行われても、各自が調査した内容を書面や通信でやり取りする程度に止まることも考えられる。
これに先立ち、金委員長は大統領府あてに送った労働党中央委員会統一戦線部名義の通知文で、「文在寅大統領と南の同胞たちに大きな失望感を与えたことについて、非常に申し訳なく思う」としたうえで、「このような不祥事が再発しないよう海上警戒監視と勤務を強化し、取り締まりの過程に些細なミスや大きな誤解を招くようなことがないよう、今後、海上での取締りの取扱全過程を収録する体系を立てるよう指示した」ことを明らかにした。
ソ・ヨンジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
http://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/963841.html?_fr=st1
韓国語原文入力:2020-09-27 21:43
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/37876.html
「The Hankyoreh 」 2020-09-28 08:14
■北朝鮮「遺体発見すれば引き渡す」…韓国政府、共同調査を要請
文大統領、緊急安全保障会議を主宰
「南北軍事通信線の復旧・再稼働を」
北朝鮮「西南海上で捜索」
「南側は領海侵犯するな」と警告も
国防部「正常な捜索活動」と反論
【写真】西海の小延坪島海上で行方不明になった公務員が北朝鮮で銃殺された事件に関して、北朝鮮の金正恩国務委員長が韓国側に公式謝罪してから2日経った27日早朝、北朝鮮側の登山岬が見える延坪島沖合で韓国軍の海兵隊員たちが海上偵察をしている/聯合ニュース
延坪島(ヨンピョンド)付近で行方不明になった海洋水産部所属の漁業指導員が北朝鮮軍によって射殺された事件と関連し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が27日午後「緊急安保関係長官会議」を主宰し、北朝鮮側に「早急な真相究明に向けた共同調査を要請」することに決定したと、ソ・ジュソク国家安全保障会議(NSC)事務処長(国家安保室1次長)が発表した。北朝鮮側は同日早朝、北側水域で遺体を発見すれば韓国側に引き渡す意思を明らかにした。
ソ・ジュソク事務処長は大統領主宰会議の“決定事項”を発表する記者会見で「北朝鮮側の迅速な謝罪と再発防止約束を肯定的に評価する」としながらも、「南北がそれぞれ把握した事件の経緯と事実関係に食い違いがある」とし、「共同調査の要請」を公式化した。
大統領府は「南北がそれぞれ発表した調査結果にこだわらず、開かれた姿勢で事実関係を明らかにすることを望む」とし、「このための疎通や協議、情報交換のための軍事通信線の復旧と再稼働」を要請した。またソ処長は「遺体と遺留品の収集は事実究明のためにも、遺族に対する人道主義的配慮のためにも、最優先的に努力を傾けなければならない」とし、「南北がそれぞれの海域で捜索に全力をつくし、必要な情報を交換することで協力していくことを望んでいる」と述べた。
大統領主宰の会議で「共同調査」を公式要請することを決定したものの、南北それぞれの海域で捜索→軍通信線の復元・再稼働→(南北協議を経た)共同調査の手順を北朝鮮側に公式に提案したわけだ。
これに先立ち、北朝鮮側は同日早朝、「朝鮮中央通信」の“報道”として、「我々は西南海上と西部海岸の全地域で捜索を組織し、遺体を拾得した場合、慣例通り南側に引き渡す手続きと方法まで考えている」と明らかにした。北朝鮮側は「最高指導部の意思を尊重し、北と南の信頼と尊重の関係がいかなる場合でも損なわれることが二度と発生しないよう、必要な安全対策を補強した」と説明した。
ただし、北朝鮮側は「南朝鮮当局に警告する」という見出しの同“報道”で、「我が海軍西海艦隊の報告によると、南側では25日から数多くの艦艇、その他の船舶を捜索作戦と推定される行動に動員させ、我が水域を侵犯している」とし、「南側の行動はまた他の不始末を予告させる」と指摘した。さらに「領海侵犯は絶対に看過できず、厳重に警告する」とし、「新たな緊張を誘発しかねない西海海上軍事境界線の無断侵犯行為を直ちに中止するよう」求めた。
韓国軍の関係者は「今回の事件と関連し、海上捜索活動を正常に行っており、これからもそうする」とし、「我々がわざと偶発的な状況を作る理由はない」と述べた。同関係者は「現在、北方限界線(NLL)付近で中国漁船など数十隻が操業活動中」だとし、「それを統制する活動も一緒に行っている」と付け加えた。これと関連し、ソ・ジュソク処長は「中国当局と中国漁船に遺体と遺留品の収拾に協力するよう要請する」と述べた。
停戦協定により「軍事境界線」が引かれた陸地とは異なり、海では停戦協定と国際法により認められ、南北が公式に合意した「海上境界線」が確定されておらず、南北間の対立と衝突が繰り返されてきた。今回の事件が南北関係のアキレス腱である西海(黄海)海上境界線の対立と衝突につながることがないよう、南北当局ともに状況管理に力を入れるべきという指摘が多い。
イ・ジェフン、キム・ジウン、ソ・ヨンジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
http://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/963833.html
韓国語原文入力:2020-09-27 20:31
「The Hankyoreh 」 2020-09-28 07:07
■死亡した漁業指導員の遺族、「越北を試みた」との推定に「納得できない」
遺族、韓国軍の「越北断定」に憤り
「国民を守れなかった軍の推定に過ぎず
行方不明前後の状況の真相を明らかにせよ」
当時の状況の公開がカギ
海洋警察、ノートパソコンを分析し、軍に資料を要請
「北朝鮮の交信内容傍受」は非公開が慣例
【写真】北朝鮮の銃撃で死亡した海洋水産部公務員の実兄、イ・レジン氏が今月26日、国会で「国民の力」のキム・ジョンイン非常対策委員長との面会後に行われたインタビューで心境を語っている/聯合ニュース
韓国軍は北朝鮮で殺害された海洋水産部所属の漁業指導員が越北を試みたものと推定されると発表したが、事件の真相をめぐり議論が続いている。特に、遺族は行方不明者を救える“ゴールデンタイム”を逃した軍当局が、事態の責任を免れるため、越北者と断定したと主張している。
北朝鮮側の銃撃で死亡した公務員の実兄、イ・レジン氏(55)は27日、ハンギョレとの電話インタビューで「弟が南側の海にいたその長い間、一体軍は何をしていたのか」とし、「国民を守ることができなかった軍当局が弟を越北者と推定している」と話した。イ氏は前日、最大野党「国民の力」のキム・ジョンイン非常対策委員長との面会でも、弟の無念を訴えたという。イ氏は弟が行方不明になっていた今月21日から22日にかけて、軍当局がどのような報告体系を通じて捜索活動を決めたのか、真相の公開を求めている。
イ氏側は特に、軍当局が越北の根拠として提示した情況を信頼できないと主張した。軍当局は、死亡した公務員が救命胴衣を着用しており、浮遊物を使って長時間海に浮かんでいた点、船にスリッパを残した点などを挙げ、越北と推定されると発表した。これに対しイ氏は「セウォル号事件以降、船内で救命胴衣を着ることが義務付けられた。船で生活してきた公務員が救命胴衣を着ていたことがどうして越北の証拠になるのか」とし、「借金が数千万ウォン(数百万円)程度で、未成年の2人の子どもを置いて、越北を選択したはずがない」と話した。
死亡した公務員A氏の同僚らも、普段A氏が北朝鮮について話したり、極端なことを試みるようなそぶりは見せなかったと、海洋警察に供述したという。A氏の失踪経緯などを調べている海洋警察は、漁業指導船にいたA氏のノートパソコンや所持品などを分析している。また海洋警察は国防部に越北と判断した根拠資料の提供も要請した。
結果的に、越北の試みをめぐる議論は、死亡した公務員が北朝鮮側に越北の意思を表明したという情況が公開されるまで続くものとみられる。軍当局は「死亡した公務員が北朝鮮側に発見された当時、越北の意思を表明した(ことを裏付ける)情報がある」とし、これを越北と推定した有力な根拠としてきた。問題は、その情報がかなり敏感な類のものであることだ。軍が確保した情報は北朝鮮海軍の交信内容を傍受したものと推定されるが、軍事・外交上の理由から傍受の事実を公式化することはタブー視される。犠牲者の実兄のイ氏は同日、「北朝鮮が送ってきた通知文によると、弟は越北者ではなく侵入者だと説明している。軍当局が責任を逃れるために亡くなった弟の名誉を傷つけているわけではないなら、突然家族を失った遺族が納得できるように行方不明の経緯を詳しく説明してほしい」と訴えた。
ノ・ヒョンウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
http://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/963825.html
韓国語原文入力:2020-09-27 22:4
https://japanese.joins.com/JArticle/270639?servcode=A00§code=A00
「中央日報日本語版」 2020.09.26 13:44
■国連事務総長「民間人の命が失われた事件は遺憾…透明な調査を要求」
国連のグテレス事務総長が、北朝鮮軍による韓国公務員殺害事件に関連し透明な調査を促したと、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)放送が26日報じた。
グテレス事務総長の報道官室は前日、VOAに送ったメールで、「事務総長は朝鮮半島海域で韓国の民間人が(北朝鮮によって)命を失った事件に遺憾を表し、透明な真相調査を促した」と明らかにした。
続いて「事務総長は境界地域の緊張を緩和して信頼を築くために、2018年(9・19)平壌(ピョンヤン)共同宣言と南北軍事合意の精神に戻るべきだと要請した」とし「改めて南北間対話の再開に対する支持を表した」と伝えた。
これに先立ち北朝鮮は25日、統一戦線部名義の通知文で、西海(ソヘ、黄海)上で韓国の公務員を射殺した事実を認めた。しかし北朝鮮側が伝えた事件の経緯は、韓国軍と情報当局の説明と比較して遺体の焼却、射撃時間、「越北」意図などで異なる点があり、論議を呼んでいる。