「中央日報日本語版」 2023.02.22 16:56
■韓国、開放型外国人保護施設めぐり論争…「基本権が保障されない半分だけの開放」との指摘
【写真】法務部は昨年4月から華城外国人保護所に開放型保護施設を一部導入した。保護室の鉄格子撤去前の保護室の様子。[写真 韓国法務部]
韓国法務部が昨年4月に華城(ファソン)の外国人保護所で試験的に導入した「開放型保護施設」が公論の場に上がった。国家人権委員会が22日に主催した「代案的外国人保護施設運営・改善討論会」などで、「基本権が保障されない半分だけの開放」という指摘が出てだ。人権委と大韓弁護士協会などによる施設訪問と実態調査を基にした主張というが、「開放を拡大すれば保護所職員の管理負担が大きくなりかねない」という慎重論も少なくない。
外国人保護所は強制退去の対象になった外国人が追放される前まで収容される所だ。法務部によると、22日基準で韓国国内の外国人保護所2カ所と出入国外国人事務所内の保護室27カ所には強制出国を控えた外国人1000人ほどが拘禁されている。ほとんどがビザで認められた韓国在留期間を過ぎた違法滞在者だという。
「開放型保護施設」は、2021年6月に華城外国人保護所で提起された疑惑を契機に登場した。当時収容されたモロッコ人男性が外部の病院での診療などを要求して保護所職員とトラブルを起こした後、手足を後ろで縛られたままうつ伏せの状態にさせる「海老反り」の姿勢にさせられたとの疑惑が提起され、人権団体を中心に「人権が保護されていない」という批判が続いた。これに対し法務部が出した改善案のひとつが「開放型外国人保護施設」の導入だ。
◇華城に導入された開放型外国人保護施設
これを受け昨年4月に華城外国人保護所の女性棟の一部が定員70人の開放型外国人保護施設に転換された。保護居室の鉄格子をなくし、昼間に運動場を開放して自由に移動できるようにした。PC室と携帯電話使用スペースを別に設け、自動販売機や乾燥器などを備えつけた。それまでは携帯電話は相談職員の戒護を前提に許可を得て相談室でだけ使うことができた。昨年10月からは男性棟の一部も定員60人の準開放型保護室として運営している。鉄格子はそのままだが、昼間は開放してPC室を設置した。
◇「依然としてガラス越しの接見と移動制限」
しかし「名ばかりの変化」という批判も出ている。昨年華城外国人保護所を2回訪問したイ・サンヒョン弁護士は、「現行の開放型外国人保護施設は事実上統制緩和型警備施設に近い」と主張した。開放型保護棟の外に移動できず、弁護人との特別接見を除けば接触遮断施設(ガラス)のない接見を許容しないという理由からだ。4年前にある外国人保護所に拘禁された当時33歳の南アジア人男性は「韓国人女性と結婚して韓国国籍の息子がいるのにガラス越しでだけ接見が認められた。囚人服のような保護服を着たまま遠くから息子に会えば傷つける恐れがあり接見をあきらめた。人権侵害を改善すると言いながら接見は変わらなかったとすれば大きな問題」と主張した。
法務部の苦心は深まっている。先月26日の2023年政府業務報告で「開放型保護施設を拡大して外国人保護施設も改善する」と明らかにしたが、現場では「開放型に進むほど保護所職員が危険に露出する可能性も比例して増加する」という懸念も出ているためだ。法務部の「対案的外国人保護施設研究」に参加しているイ・イル弁護士は「開放型保護施設の導入は拘禁環境改善の側面では肯定的だが、海外のように非拘禁の原則に対する議論がなければ限界がある」と話した。法務部関係者は「外国人保護政策タスクフォースを中心に改正された外国人保護規則に基づき施行細則などをどのように直すかを議論している」と話した。