三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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「日本による強制動員の被害者と遺族、「一審却下」不服とし控訴」

2021年06月15日 | 国民国家日本の侵略犯罪
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/40274.htm
「The Hankyoreh」 2021-06-15 08:50
■日本による強制動員の被害者と遺族、「一審却下」不服とし控訴
 ソウル中央地裁前で記者会見を開き控訴状を提出 
 文大統領に対しても「強制動員問題の突破口開け」

【写真】14日午前、瑞草区のソウル中央地裁前。日帝強制労役被害者正義具現全国連合会の関係者たちが、強制動員被害者による日本企業に対する損害賠償請求を却下した一審判決を糾弾する記者会見を行っている/聯合ニュース

 日帝強占期の強制動員の被害者と遺族たちが、日本企業を相手取って起こした損害賠償請求訴訟の「却下」判決を不服として控訴した。
 日帝強制労役被害者正義具現全国連合会は14日、ソウル中央地裁前で記者会見を開き、控訴状を提出することを発表した。訴訟に参加した遺族代表のイ・チョルグォンさんは「苦しんだ歳月が慰められ、補償されてしかるべき父の苦労が歪曲され、否定されるという悲しい現実に絶望するが、絶対に(損害賠償要求を)やめないつもり」とし「過ちが正される日が来るよう手伝ってほしい」と述べた。イさんの父親の故イ・ギテクさんは、満20歳の時に長崎の軍艦島の三菱炭鉱で4年にわたり強制動員され、その後も後遺症である肺炎で苦しんだ末、50代前半に死亡した。
 ソウル中央地裁民事34部(キム・ヤンホ裁判長)は先日、強制動員の被害者85人が日本製鉄などの戦犯企業16社を相手取り、1人当たり1億ウォン(約981万円)の損害賠償を求めて起こした訴訟を却下した。同法廷は、強制動員被害者の損害賠償請求権は1965年に両国政府が結んだ韓日請求権協定に含まれているとし、訴訟によって賠償を請求する権利はないと判断した。これは強制動員被害者の損害賠償請求権を認めた2018年の最高裁全員合議体の判決を覆したもので、同法廷は判決の根拠として「日本に強制執行をすることになれば、対米関係の毀損にもつながる」「当時、請求権協定で得た外貨で漢江の奇跡が起こった」という、法理とは無関係な論理を展開し、激しい批判を浴びた。
 この日、被害者たちは一審の法廷に対し、「今回の判決で強制徴用者783万人とその家族、そして国民を無念の人にした」と批判した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対しても「次の世代から恥ずかしい評価を受けないようにするため、在任期間中に強制動員問題を考え、せめて小さな突破口を開くべきではないか」と要求した。記者会見を終えた後、85人の被害者のうち75人が控訴し、残りの10人も別途に控訴状を提出する計画であることが発表された。
シン・ミンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/999271.html
韓国語原文入力:2021-06-14 14:05


https://jp.yna.co.kr/view/AJP20210614002200882?section=news
「聯合ニュース」 2021.06.14 12:16
■強制徴用被害者 損害賠償訴訟却下で控訴=韓国
【ソウル聯合ニュース】日本による植民地時代に強制徴用された韓国人被害者と遺族85人が日本製鉄(旧新日鉄住金)、日産化学、三菱重工業など日本企業16社を相手取り損害賠償を求めた訴訟でソウル中央地裁が訴えを却下したことについて、原告側は14日、これを不服として控訴した。

【写真】ソウル中央地裁前で記者会見を開く被害者団体=14日、ソウル(聯合ニュース)

 却下は訴訟要件を満たしていない場合に審理を行わず下す決定で、原告敗訴と同じといえる。
 被害者団体の「日帝強制労役被害者正義具現全国連合会」によると、控訴したのは原告85人のうち75人で、残りの10人も別途控訴状を提出する計画だという。
 同団体はこの日ソウル中央地裁前で記者会見を開き、訴えを却下した裁判官を「弾劾されてしかるべきだ」と批判。文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対しても、在任中に徴用問題の解決に向けて突破口を開くよう求めた。


http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/40265.html
「The Hankyoreh」 2021-06-14 07:15
■[寄稿]強制徴用被害訴訟の却下は遺憾だ
 イ・ジャンヒ|韓国外国語大学名誉教授
 今月7日、85人の日帝強制徴用被害者とその遺族らが日本企業16社を相手取って起こした損害賠償請求訴訟の一審で、ソウル中央地裁民事合議第34部(キム・ヤンホ裁判長)は、却下判決という被害者敗訴の判決を下した。2015年5月に訴訟を提起してから6年間待ち望んでいた一審判決で、法廷が開かれてからわずか1分で「却下」の宣告を下した。この判決は、強制徴用被害者が勝訴した2018年の最高裁(大法院)の「強制徴用賠償判決」に真っ向から反するものだ。
 今回の判決は、2018年の最高裁判決と比較すると、事実上、原告が異なるだけの同じ事案に異なる論理を適用したものだ。当時の最高裁の賠償判決の少数意見に従ったものだ。最も本質的な違いは、日帝植民地支配と強制徴用の法的性格にある。今回の判決は、植民地支配と強制徴用の違法性については、韓国国内法的な解釈にすぎず、国際法ではそうではないと強弁する。しかし、これは妥当な主張ではない。
 まず、植民地支配を認めない脱植民地化は、国際法や国際判例、国際会議により規定と宣言がなされている。国際法上の脱植民地化は「自決権」の形式で具体化されている。国際法は、植民地支配を認めない「自決権」を国連憲章第1条第2項、第55条、第73条、第74条で明文化した。これを具体化した1960年の国連総会の「植民地と人民に独立を付与する宣言」に続き、1970年の国連総会の「国家間の友好関係及び協力についての国際法の原則に関する宣言」の5番目の「人民の自決の原則」で、早急な植民地支配の終息を国際法の原則として宣言した。国際司法裁判所(ICJ)は、勧告的な意見として植民地の違法性を実際に適用した1975年の「サブサハラ事件」で、1970年に宣言された「人民の自決の原則」を法的確信として実際に活用した。また、国連が組織した人種差別禁止国際会議で採択された2001年のダーバン宣言(Durban Declaration)の第13章と第14章は、植民地主義は人種主義、民族差別主義、外国人嫌悪症を助長するとして、植民地支配の清算を21世紀の時代的な課題として宣言した。
 二つ目に、強制徴用の違法性については、戦時における民間人の強制徴用を反人道的な国際犯罪として規定した国際人道法と国際人権条約がある。1940年時点での日本は、1930年の強制労働禁止に関する条約を批准した加盟国として、明確に条約を違反したのだ。
 このように日帝の植民地主義支配と強制徴用は、国際法上違法として規定されている。さらに、国際社会の大きな流れも、過去の主権国家中心主義より、国際法の主体としての個人の法的地位の認定と人権伸張主義へと発展していく傾向にある。
 三つ目に、1948年に制定された韓国憲法の前文では、臨時政府の法統性の認定を韓国憲法の中心的な価値として明文化し、日帝植民地支配を不法と規定しており、1910年の強制併合条約を不法とみなしている。たとえ1940年代に植民地主義が欧州と米国で許容されていたとしても、日本の1910年の韓国強制併合条約の過程と内容は、欧州とは全く性質が異なる。韓日併合条約は、軍事的な圧力のもとでなされたものであり、条約の成立要件である自由な意思の合致の不在や条約締結権者の印章の偽造など、初めから不法で無効だ。したがって、日本の1910年の韓国強制併合条約は源泉無効だ。
 今回の裁判での85人の強制徴用被害者の個人損賠請求は、1952年のサンフランシスコ条約第4条に基づき締結された1965年の請求権協定案における経済的、商業的な損害賠償請求ではない。不法な植民地支配と侵略戦争の遂行に直結した、日本の軍需企業の反人道的な不法行為にともなう精神的苦痛に対する慰謝料としての性質の損害賠償請求だ。
 植民地支配体制の不法性が国際法の原則で決議されたにも関わらず、いまだに国際法に残っている植民地の残滓を取り除いているところだ。国連を含む国際社会は、植民地の終息と人間の尊厳などの方向にさらに発展する傾向にある。
 韓国の司法府も、国際法と国際社会の大きな流れを正確に看破し、過去の植民地のもとで苦痛を受けた強制徴用被害者個人の傷をいやすことに、よりいっそう率先垂範しなければならない。韓国の裁判所は、被害者側を勝訴とする場合、韓日関係や韓国の国際信頼性の低下などの行き過ぎた国家中心主義だけを意識するようだ。これは、国家の主権より個人の人権の伸張を最重要視する現代の国際法の発展傾向にはそぐわない。
イ・ジャンヒ|韓国外国語大学名誉教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/999168.html
韓国語原文入力:2021-06-14 02:40


http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/40220.html
「The Hankyoreh」 2021-06-09 07:10
■[社説]人権無視の判決では韓日関係は未来に進めない

【写真】7日、ソウル中央地裁で強制徴用労働者と遺族85人が日本製鉄、日産化学、三菱重工など日本企業16社を相手取って起こした一審の判決について、却下判決を受けた遺族のイム・チョルホさんが控訴の意向を明らかにしている。イムさんの父のイム・チョンギュさんは、日帝統治下で当時の長崎に強制労働に行き、帰ってこなかった/聯合ニュース

 ソウル中央地裁民事34部(キム・ヤンホ裁判長)が7日、日帝強占期(日本の植民地時代)の強制動員被害者と遺族ら85人が日本の戦犯企業16社を相手取って起こした損害賠償請求訴訟を却下した後、波紋が広がっている。偏向した外交と安全保障の論理を前面に出し、被害者の人権を無視した粗悪な判決内容には、法曹界内外で批判の声が強い。下級審に過ぎない今回の判決が、あたかも2018年に最高裁(大法院)の全員合議体が下した強制動員賠償判決を覆したかのように無理に理屈をこじつける保守メディアの態度も、情けない限りだ。
 今回の判決の論理は、強制動員被害者の損害賠償問題は韓日請求権協定により完全に解決されたので、日本企業を相手取った損害賠償請求権は行使できないということだ。2018年10月に最高裁が「植民地支配の不法性」を根拠に賠償判決を下したことに対し、「植民地支配の不法性と徴用(強制動員)の不法性は、すべて国内法的な解釈」だとし、真っ向から反する主張を行った。侵略国が不法性を否定すれば終わりという形の加害国中心の国際政治の論理を踏襲したのだ。請求権協定で日本から受けた外貨のおかげで「漢江(ハンガン)の奇跡」が起き、被害者の賠償請求権を認めれば「日本との関係が損なわれ、韓米同盟で韓国の安全保障に直結する米国との関係の毀損にまでつながることが起こり得る」というとんでもない根拠を加えもした。厳正な法理に基づき人権侵害の被害者の権利を保護しなければならない司法府が、外交と国際的な力の論理を前面に出し、理解できない判決を下したことは、極めて遺憾だ。
 今回の判決にもかかわらず、最高裁の2018年の全員合議体判決は、今なお韓国司法府の権威に裏付けられた判例であるという点には変わりはない。控訴審で今回の判決が翻される可能性は高いと思われる。にもかかわらず、一部の保守メディアが、「一審がキム・ミョンス最高裁の判決に一つひとつ反論した」(朝鮮日報)、「主要7カ国首脳会議(G7サミット)を控え最高裁判決が覆され、ついに『外交の時間』が来た」(中央日報)などと報じて今回の判決に過度な重みを加え、世論を糊塗するのは軽薄な策略だ。
 韓日関係は改善しなければならない。しかし、植民地支配の不法性を否定し、それにより大きな被害を被った個人の人権を無視しては、韓日関係は未来に進めない。国家主義的で非法律的な論理がちりばめられた今回の判決は、むしろ障害物になるだけだ。法的判断は法理にしたがい厳正に行いつつ、外交的努力も並行するというのが正しい方向だ。政府は最高裁の判決後に「司法府の判決には介入できない」という論理だけを掲げ、被害者が実際に日本の謝罪と賠償を受けられるようにする外交的努力を十分には行わなかったという指摘を謙虚に受け入れ、よりいっそうの積極的な外交によって解決策を設け、韓日関係改善のための実質的な努力を続けていってほしい。
(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/998531.html
韓国語原文入力:2021-06-08 19:44


http://japan.hani.co.kr/arti/politics/40208.html
「The Hankyoreh」 2021-06-09 16:02
■強制徴用判決「韓米、韓日関係を損なう」…法理よりも安保を優先
 強制労働の損害賠償訴訟却下、最高裁の判例と食い違う判決 
 「日本企業が敗訴し、賠償が強制執行されれば 
 国際的な逆効果をもたらしかねない」との主張も 
 民弁など「非本質的・非法理的判断」 
 被害者「実に嘆かわしい」

【写真】日本による植民地時代に日本に連れて行かれて強制労働を強いられた被害者と遺族が、日本企業16社を相手取って起こした損害賠償請求訴訟の一審で敗訴した7日午後、ソウル瑞草区のソウル中央地方裁判所で、原告側が判決後、感想を述べている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 7日、ソウル中央地裁が強制労働被害者たちの損害賠償訴訟を却下したことは、日帝の不法行為に責任を問うことができないという内容だけでなく、最高裁の全員合議体の判決に逆らったという点でも注目される。特に、日本企業に対する強制執行が行われれば、日本はもちろん米国との関係も損なわれかねないとして、極めて異例の“司法外的”判断まで示し、法曹界からは非常識的だという批判の声もあがっている。
 他の類似した訴訟のように、今回も1965年の韓日請求権協定で戦犯企業の責任が解消されたかどうかが争点になった。同地裁は「請求権問題は完全かつに最終的に解決された」という協定の文言を根拠に、個人請求権も消滅したという判断を下した。2018年の最高裁(大法院)全員合議体が裁判官7対6の意見で「個人請求権は消滅していない」とした判決と相反するものだ。当時、最高裁は新日鉄住金(現・日本製鉄)に対し、韓国人被害者4人にそれぞれ1億ウォンの支払いを命じる判決を確定した。
 ところが同地裁は「(この事件の判断は)全員合議体の判決の少数意見と結論的に同じだ」とし、当時の個人請求権も消滅したと判断した最高裁のクォン・スニル判事とチョ・ジェヨン判事の少数意見に従った。さらに、全員合議体の結論(多数意見)について「韓国の最高裁の判決であるが、植民支配の不法性とこれに基づく徴用の不法性を前提としており、このような判決は単に国内法的解釈にすぎない」とし、「日本を含め、どの国も自らの植民支配の不法性を認めたという資料は存在せず、国際法的にもその不法性を認めた資料がない」とまで述べた。最高裁の判断を批判するような表現だ。
 別の強制動員事件で被害者側の弁護を担当したイム・ジェソン弁護士は「全員合議体の判決と異なる下級審の判決が出ることもあるが、(最高裁の判決からあまり時間が経っていない)時期であることを考えると、非常に異例の判断だ」とし、「(今回の判断は)全員合議体の少数意見と同じであり、法理に乏しい」と述べた。
 さらに同地裁は、原告側が勝訴して強制執行が実行されると、対米関係が悪化して安保が不安になるという、事件の争点と無関係な主張まで判決文に含めた。地裁は「請求を認容する本案の判決が言い渡されて確定し、強制執行まで完了した場合、国際的にもたらされかねない逆効果」があるとし、「強制執行は国家の安全保障と秩序の維持という憲法上の大原則を侵害する」という判断を示した。判決文は「分断国の現実と、世界4大国の間に位置する大韓民国としては、自由民主主義という憲法的価値を共有する西側勢力の代表国家の一つである日本との関係が悪化し、これは結局、韓米同盟によって韓国の安全保障と直結した米国との関係にも影響を及ぼす可能性がある」と主張した。権利侵害を救済してもらえるどうかを問う司法手続きで争点と関係のない韓米同盟と米日同盟まで判断の背景として提示したのだ。
 同地裁はまた、「請求権協定で支給された3億ドルは過少であるため、被害者の賠償請求権が含まれたとみなすことはできない」という原告側の主張に対し、「当時立ち遅れた後進国の地位にあった大韓民国と、すでに経済大国となっていた日本国の間で成立した過去の請求権協定を現在の物差しで判断するのは誤っている」と反論した。さらに「当時、大韓民国が請求権協定で得た外貨は、いわゆる『漢江(ハンガン)の奇跡』と評価される世界経済史に記録される目覚ましい経済成長に大きく貢献した」とし、日本の“貢献”を強調した。
 民主社会のための弁護士会など15団体は声明を出し「(裁判部が)非本質的・非法理的根拠を挙げて判決を下した」とし、「裁判官としての独立と良心に反する判断をした。民事訴訟で原告の権利を認めると『大韓民国の国家安保、秩序の維持及び公共の福利』が危うくなるという聞いたこともない法理を示し、個人より国家が優先だという論理を何の恥じらいもなく判決文に明示した」と批判した。
 原告らは控訴の意思を表明した。「日帝強制労働被害者正義具現全国連合会」のチャン・ドクファン会長は「裁判結果に怒りを禁じ得ない」とし「本当に嘆かわしい」と語った。
 一方、地裁が判決期日を突然変更したことも、原告らの非難を買った。判決は当初10日に予定されていたが、7日午前、地裁が突然同日午後に変更し、混乱が生じた。そのため、地方に住む被害者の多くは、裁判に出席できなかったという。地裁は「法廷の平穏と安定を考慮して期日を変更した」と説明した。ソウル中央地裁関係者は「新型コロナの状況で高齢の原告が多数集まることを防止するための措置だった」と釈明した。
シン・ミンジョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/998393.html
韓国語原文入力:2021-06-08 02:09


https://japanese.joins.com/JArticle/279439?servcode=400&sectcode=400
「中央日報日本語版」 2021.06.09 08:42
■「本当に大韓民国国民なのか」…強制徴用敗訴判決に登場した「#キム・ヤンホ弾劾」

【写真】7日、オンライン掲示板「クリアン」では強制徴用損害賠償請求訴訟で却下の判決を下したキム・ヤンホ部長判事の弾劾を促すハッシュタグ運動が起きた。[写真 ホームページ画面キャプチャー]

 日帝強占期強制徴用被害者が日本企業を相手取って起こした損害賠償訴訟が韓国1審裁判所で敗訴したことを巡って論争が続いている。大法院(最高裁)全員合議体の判決を覆して却下を宣告した裁判部の判断を批判する市民団体の論評が続き、オンラインでは裁判長であるキム・ヤンホ部長判事(51・司法研修院27期)の弾劾を求める書き込みが相次いでいる。

◆強制徴用被害訴訟で却下の判決を下した判事に非難殺到
 7日、ソウル中央地方法院(地裁)民事合議第34部(部長判事キム・ヤンホ)は、強制徴用被害者のソンさんら85人が日本製鉄株式会社など日本企業16社を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で却下の決定を下した。裁判部は「韓日協定で強制徴用に関連して、個人の損害賠償請求権も解決されたとみなければならない」と判示した。
 2年8カ月前に損害賠償請求権を認めた大法院全員合議体の判決と正反対の結果が出ると、民主社会のための弁護士会(民弁)など15の市民団体は共同論評で「不当だ」と反発した。彼らは「裁判部は日本の報復とこれに伴う国の心配に、裁判官として独立と良心に背いた」とし「国家の利益を前面に出し、被害者の権利を不能と判断した判決」と批判した。

◆ネット上では「#キム・ヤンホ弾劾」
 ネット上では、判決文に明示された表現を巡り、裁判長であるキム・ヤンホ部長判事を批判するコメントが相次いだ。却下の決定が下された判決文に「日本の植民支配が不法という大法院の判断は国内的解釈にすぎない」「分断国の現実の中で、西側勢力の代表国家の一つである日本国との関係が損なわれる」など、判決内容としては異例の文章があるとしながらだ。
 1審の却下決定が出た当日、代表的な親文在寅(ムン・ジェイン)志向のオンライン掲示板「クリアン」では、一時「#キム・ヤンホ弾劾」というハッシュタグ(hashtag)運動が起きた。クリアンでは「判決文内容を見れば常識のある大韓民国国民なのかどうか疑わしい」「この判事を弾劾できないならば歴史の本に残るほどの事件ではないかと思う」「判事が今や外交まで心配している」などの批判が続いた。

◆「判事弾劾請願」登場
 8日、青瓦台(チョンワデ、大統領府)国民請願掲示板には「反国家、反民族的判決を下したキム・ヤンホ判事の弾劾を要求します」と題された請願文も投稿された。請願人は「キム部長判事が却下判決を下した理由を詳しくみると、果たしてこの者が本当に大韓民国国民なのか疑問を感じるほど、反国家的、反歴史的な内容で綴られている」とし「根拠として提示した請求権消滅論は日本極右の立場をそのまま反映した反民族的判決と違わない」と明らかにした。該当の請願はこの日午後3時基準で6万人余りが同意した。
 一部のネットユーザーは「キム・ヤンホ判事の過去の戦績」と題する投稿文を通じて、過去にキム部長判事が論争を広げた事件の記事を共有した。該当文には2016年当時、議政府(ウィジョンブ)地方法院高陽(コヤン)支院刑事2単独を担当したキム部長判事が判決に不満を抱いた被告人が罵倒を浴びせると即座に刑量を3倍に増やして議論になった内容が記されていた。<中央日報2017年1月19日付『怒って判決…懲役1年宣告で罵倒されて懲役3年で応酬した判事』記事>

◆専門家「世論裁判」の危険性警告
 しかし、判決内容に関連し、弾劾を要求したり判事個人を非難したりする行動が一歩間違えれば「世論裁判」をあおりかねないという専門家の指摘もある。高麗(コリョ)大学法学専門大学院のチャン・ヨンス教授は「判事個人に明らかな不正があるわけでないにもかかわらず、多数が希望通りではない判決が下されたという理由で弾劾を要求するのは、これから世論裁判をしようということと同じ」とし「判決が気に入らないという理由で判事を非難すればするほど、司法の独立性と裁判の公正性が危うくなる」と話した。
 判事に対する弾劾訴追は憲政史上1回だけ存在する。憲法に沿って、判事は良心に従って独立的に判断できるようにその身分を保証されているため、厳格な手順を踏まなければならない。判事弾劾訴追案は国会在籍議員3分の1以上が発議して在籍過半が賛成すれば進められ、憲法裁判所が弾劾について最終的に決める。いわゆる「司法壟断容疑」で憲政史上初めて国会で弾劾訴追されたイム・ソングン前釜山(プサン)高等法院(高裁)部長判事は10日、憲法裁判所の1回目の弁論期日を控えている。


https://japanese.joins.com/JArticle/279436?servcode=200&sectcode=200
「中央日報日本語版」 2021.06.09 08:08
■秋美愛前法務部長官、「強制徴用訴訟」の却下に「韓国でない日本の判事の論理」

【写真】秋美愛前法務部長官が3月17日午前、済州市奉蓋洞(チェジュシ・ポンゲドン)の済州4・3平和公園内の行方不明者の表石の前で記者らの質問に答えている。

 日帝強占期の強制徴用被害者の損害賠償請求訴訟を1審裁判所が「却下」したことを受け、秋美愛(チュ・ミエ)前法務部長官が判決を下した判事に向かって「大韓民国の判事でなく、日本国の判事の論理」と非難した。
 秋前長官は8日、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)にキム・ヤンホ部長判事を名指して「大韓民国の判事は主権者である国民の人権を守るための判決を下さなければならない」と書いた。
 前日、ソウル中央地裁民事合議第34部(部長キム・ヤンホ)は、強制徴用被害者ソン・ヨンホ氏など被害者や遺族85人が日本製鉄・三菱重工業・西松建設など日本企業16社を相手取って提起した1億ウォンずつの損害賠償請求訴訟に対して却下判決を下した。却下とは、訴訟要件を備えていない場合、本案審理をせず裁判を終結することをいう。
 秋前長官は国際連合(UN)が採択した「国際人権法及び国際人道法に関する重大な違反の被害者が救済及び 賠償を受ける権利に関する基本原則とガイドライン」に言及して「個人は国際人権法や国際人道法の主体として、その違反を理由に相手国だけでなく、個人、法人などを相手にしても直接損害賠償請求権を持つ」と指摘した。
 また「韓国政府と司法府は一貫して『1965年(韓日)協定は民事的債権債務関係の整理であり、不法行為にともなう賠償でない』という立場」とし「日本が不法行為を認めたことがないため」と強調した。今回の1審却下判決は2018年大法院(最高裁)全員合議体が強制徴用被害者の損害賠償請求訴訟で原告勝訴の判決を下したことに相反する。
 秋前長官は「請求権は認めながらも、司法的に訴訟を提起することはできないという論理で、結論は日本の主張と同じだ」とし「大法院の判決の拘束力だけでなく、国際的に確立された人権法理論を大韓民国の判事が正面から否定したもの」と主張した。
 一方、青瓦台(チョンワデ、大統領府)国民請願掲示板には「反国家、反民族的判決を下したキム・ヤンホ判事の弾劾を求めます」という文章が投稿されたりもした。


http://japan.hani.co.kr/arti/politics/40208.html
「The Hankyoreh」 2021-06-08 09:44
■「日本から得た外貨で『漢江の奇跡』」…強制徴用判決、荒唐無稽な論理
 強制労働の損害賠償訴訟却下、最高裁の判例と食い違う判決 
 「日本企業が敗訴し、賠償が強制執行されれば 
 国際的な逆効果をもたらしかねない」との主張も 
 民弁など「非本質的・非法理的判断」 
 被害者「実に嘆かわしい」

【写真】日本による植民地時代に日本に連れて行かれて強制労働を強いられた被害者と遺族が、日本企業16社を相手取って起こした損害賠償請求訴訟の一審で敗訴した7日午後、ソウル瑞草区のソウル中央地方裁判所で、原告側が判決後、感想を述べている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 7日、ソウル中央地裁が強制労働被害者たちの損害賠償訴訟を却下したことは、日帝の不法行為に責任を問うことができないという内容だけでなく、最高裁の全員合議体の判決に逆らったという点でも注目される。特に、日本企業に対する強制執行が行われれば、日本はもちろん米国との関係も損なわれかねないとして、極めて異例の“司法外的”判断まで示し、法曹界からは非常識的だという批判の声もあがっている。
 他の類似した訴訟のように、今回も1965年の韓日請求権協定で戦犯企業の責任が解消されたかどうかが争点になった。同地裁は「請求権問題は完全かつに最終的に解決された」という協定の文言を根拠に、個人請求権も消滅したという判断を下した。2018年の最高裁(大法院)全員合議体が裁判官7対6の意見で「個人請求権は消滅していない」とした判決と相反するものだ。当時、最高裁は新日鉄住金(現・日本製鉄)に対し、韓国人被害者4人にそれぞれ1億ウォンの支払いを命じる判決を確定した。
 ところが同地裁は「(この事件の判断は)全員合議体の判決の少数意見と結論的に同じだ」とし、当時の個人請求権も消滅したと判断した最高裁のクォン・スニル判事とチョ・ジェヨン判事の少数意見に従った。さらに、全員合議体の結論(多数意見)について「韓国の最高裁の判決であるが、植民支配の不法性とこれに基づく徴用の不法性を前提としており、このような判決は単に国内法的解釈にすぎない」とし、「日本を含め、どの国も自らの植民支配の不法性を認めたという資料は存在せず、国際法的にもその不法性を認めた資料がない」とまで述べた。最高裁の判断を批判するような表現だ。
 別の強制動員事件で被害者側の弁護を担当したイム・ジェソン弁護士は「全員合議体の判決と異なる下級審の判決が出ることもあるが、(最高裁の判決からあまり時間が経っていない)時期であることを考えると、非常に異例の判断だ」とし、「(今回の判断は)全員合議体の少数意見と同じであり、法理に乏しい」と述べた。
 さらに同地裁は、原告側が勝訴して強制執行が実行されると、対米関係が悪化して安保が不安になるという、事件の争点と無関係な主張まで判決文に含めた。地裁は「請求を認容する本案の判決が言い渡されて確定し、強制執行まで完了した場合、国際的にもたらされかねない逆効果」があるとし、「強制執行は国家の安全保障と秩序の維持という憲法上の大原則を侵害する」という判断を示した。判決文は「分断国の現実と、世界4大国の間に位置する大韓民国としては、自由民主主義という憲法的価値を共有する西側勢力の代表国家の一つである日本との関係が悪化し、これは結局、韓米同盟によって韓国の安全保障と直結した米国との関係にも影響を及ぼす可能性がある」と主張した。権利侵害を救済してもらえるどうかを問う司法手続きで争点と関係のない韓米同盟と米日同盟まで判断の背景として提示したのだ。
 同地裁はまた、「請求権協定で支給された3億ドルは過少であるため、被害者の賠償請求権が含まれたとみなすことはできない」という原告側の主張に対し、「当時立ち遅れた後進国の地位にあった大韓民国と、すでに経済大国となっていた日本国の間で成立した過去の請求権協定を現在の物差しで判断するのは誤っている」と反論した。さらに「当時、大韓民国が請求権協定で得た外貨は、いわゆる『漢江(ハンガン)の奇跡』と評価される世界経済史に記録される目覚ましい経済成長に大きく貢献した」とし、日本の“貢献”を強調した。
 民主社会のための弁護士会など15団体は声明を出し「(裁判部が)非本質的・非法理的根拠を挙げて判決を下した」とし、「裁判官としての独立と良心に反する判断をした。民事訴訟で原告の権利を認めると『大韓民国の国家安保、秩序の維持及び公共の福利』が危うくなるという聞いたこともない法理を示し、個人より国家が優先だという論理を何の恥じらいもなく判決文に明示した」と批判した。
 原告らは控訴の意思を表明した。「日帝強制労働被害者正義具現全国連合会」のチャン・ドクファン会長は「裁判結果に怒りを禁じ得ない」とし「本当に嘆かわしい」と語った。
 一方、地裁が判決期日を突然変更したことも、原告らの非難を買った。判決は当初10日に予定されていたが、7日午前、地裁が突然同日午後に変更し、混乱が生じた。そのため、地方に住む被害者の多くは、裁判に出席できなかったという。地裁は「法廷の平穏と安定を考慮して期日を変更した」と説明した。ソウル中央地裁関係者は「新型コロナの状況で高齢の原告が多数集まることを防止するための措置だった」と釈明した。
シン・ミンジョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/998393.html
韓国語原文入力:2021-06-08 02:09


https://japanese.joins.com/JArticle/279415?servcode=200&sectcode=240
「中央日報日本語版」 2021.06.08 13:56
■韓国与党、強制徴用判決に「清算されていない親日思考の残滓」
 韓国与党・共に民主党が7日、日帝強制徴用被害者の遺族が日本企業16社を相手取り起こした損害賠償訴訟が一審で却下されたことについて「納得しがたく、国民の感情ともかけ離れた判決」と反発した。
 李龍彬(イ・ヨンビン)報道官は8日、書面ブリーフィングで「大韓民国の威信墜落や日本との関係悪化を防ぐためという裁判所の判決は、依然として清算されていない親日思考の残滓」と批判した。
 また「大韓民国の国格より過去の戦犯国家の国益を優先することこそが大韓民国の地位を墜落させる」とし「国民の法感情と合わない今回の判決が控訴審では正されることを期待する」と述べた。


https://japanese.joins.com/JArticle/279420?servcode=A00&sectcode=A10
「中央日報日本語版」 2021.06.08 15:56
■「強制徴用訴訟却下」判事の弾劾請願登場=韓国
 下級審である第1審裁判所で日帝強占期強制徴用被害者の損害賠償請求訴訟に対して却下判決が下された影響が尾を引いている。このような決定を下した判事を弾劾するよう求める要求まで出てきた。
 8日、青瓦台(チョンワデ、大統領府)国民請願掲示板には「反国家、反民族的判決を下したキム・ヤンホ判事の弾劾を要求します」と題する請願が登場した。この日午後2時基準で5万4500人余りが同意した。現在、この請願は「管理者検討中」状態で転換された。
 請願人はキム部長判事が反民族的な判決を下したと批判した。前日、ソウル中央地方法院(地裁)民事第34部で強制徴用被害者ソン・ヨンホさんら被害者と遺族85人が日本製鉄・三菱重工業・西松建設など日本企業16社を相手取って起こした一人1億ウォンずつの損害賠償請求訴訟に対して却下判決を下したことに伴うものだ。
 請願人は「キム部長判事は韓日(請求権)協定により個人請求権が消滅したという立場を法理に引用して使った」とし「これは日本自民党政権で過去の歴史賠償責任を負わないために前面に出した弁解にすぎない」と主張した。
 あわせて「国際社会が日帝植民支配を不法とみなしていないとした部分は、臨時政府の法統を継承する大韓民国の憲法に正面から挑戦する反国家的・反憲法的行為」とし「このような判決は大韓民国政府の公式立場を否定したもの」と批判した。
 また、請願人は「キム部長判事は判決を下して個人の政治的動機によるものであることを示しさえした」とし「これは三権分立に反するもので、良心に従った裁判権の独立を規定した憲法にも背く」と主張した。
 請願人は「国憲を遵守して司法府の正義を正しく立て直し、民族的良心を回復するためにもキム部長判事を直ちに弾劾措置に処するべき」と要求した。


https://japanese.joins.com/JArticle/279407?servcode=A00&sectcode=A10
「中央日報日本語版」 2021.06.08 11:42
■強制徴用判決に韓国メディアの反応分かれる…「必然的結果」vs「荒唐論理」
 韓国の日帝強制徴用被害者とその遺族の計85人が日本企業16社を相手取り起こした損害賠償訴訟で、韓国の裁判所が7日、「日本企業を相手に訴訟を起こすことはできない」として却下したことに対し、韓国メディアの反応が分かれた。
 韓国日刊紙の朝鮮日報は8日、「前例のない司法混乱、選挙用反日の必然的な結果」と題した社説で「前例が見られない司法混乱だ。過去を政治的に利用してきた文在寅(ムン・ジェイン)政権と、超法規的な判決を出した金命洙(キム・ミョンス)司法府の責任」とし「政治的な利益ばかりを考えて反日外交を破綻させ、国論を分裂させたのに続き、結局、司法混乱まで招いた」と主張した。
 続いて「今回の判決は、国民の情緒に従うとして国際法を無視すれば、国際社会の支持を受けられないのはもちろん、我々の司法府内からも同意を得ることができないという事実を見せている」と指摘した。
 ハンギョレ新聞は8日、「大法院(最高裁)の判例を無視して『荒唐論理』を見せた強制徴用判決」と題した社説で、今回の裁判所の判決について「2018年に日本企業の賠償責任を認めた大法院全員合議体の判決に正面から反するうえ、あきれる論理で綴られた異例の判決」とし「今回、裁判所は植民支配の不法性さえも『国内法的な解釈』にすぎないという態度を見せた」と主張した。
 また「法理的な側面で今回の判決は大法院全員合議体の判決当時の少数意見の二番煎じにすぎない」とし「今回の判決は上級審で速やかに正されるべき」とした。
 韓国日報は8日、「また食い違った歴史判決、外交で解決法を見いだすべき」と題した社説で「韓日政府が、外交的な対話で解決方法を見いださなければ、この古くからの葛藤を解くことはできないという事実を銘記することを望む」と強調した。


https://japanese.joins.com/JArticle/279429?servcode=A00&sectcode=A10
「中央日報日本語版」 2021.06.09 06:32
■強制徴用「2つの判決」に韓国法曹界・被害者は大混乱
 歴史問題を巡る訴訟に対して「金命洙(キム・ミョンス)司法府」が出した「2つの判決」が原告を混乱させている。どんな裁判部で審理されるかによって同じ事案をめぐり相反した結果が出る可能性がある点で、当面法的混乱が避けられないものとみられる。
 8日、裁判所によると、ソウル中央地方法院(地裁)民事合議第34部(部長キム・ヤンホ)は前日、85人の原告が三菱重工業など日本企業16社を相手取って起こした損害賠償請求訴訟を却下した。「韓日協定の文言上『完全かつ最終的な解決』に強制徴用問題も含まれたとみなければならない」という理由からだ。2018年10月、大法院(最高裁)全員合議体の強制徴用損害賠償訴訟引用判決とは完全に逆の結論だ。
 たとえ1審判決だとしても、司法府内に2つの相反した判決が厳格と存在する状況になり、原告は混乱に陥ることになった。すでに大法院で勝訴した原告は確定判決文を根拠に国内の日本企業資産に対して強制執行手続きを踏んでいる。だが、今回の1審判決に従い該当事件の原告は何か話したものもなく、他の下級審で訴訟を行っている原告も将来について確信しにくくなった。
 慰安婦被害者が提起した訴訟も事情が違わない。今年1月、ソウル中央地方法院民事第34部は慰安婦被害女性ペ・チュンヒさんら12人が日本政府を相手取って起こした損害賠償訴訟で原告勝訴判決を下した。だが、同3月、同じ裁判所の民事第15部は却下判決を下した。首都圏のある部長判事は「大法院は今回の1審判決事案が2審を経て再び配当される場合、従来と同じ判決を下すほかはない」としながら「判決の適切性の有無を離れ、司法府の信頼が崩れないようにするためにもそのようにするだろう」と見通した。
 裁判所の外部専門家の間では評価が交錯している。国際紛争専門家であるチェ・テヒョン漢陽(ハニャン)大学ロースクール教授は「現段階で国家の外交的保護権に関連した国際法の法理は『国家が外交的保護権を行使する時は、個人の請求権まで含めて相手と交渉した後、一括妥結すること』が主流であるのは間違いない」とし「今回の1審裁判部が現実的な判断をした」と評価した。
 反面、民主社会のための弁護士会(民弁)所属のソン・ギホ弁護士は「今回の1審判決は大法院が認めた植民支配の不法性に関連して『残念ながら国内法的法解釈』としながら条約に対する国内裁判所の法律解釈権限を放棄した」とし「これは3.1運動(独立運動)精神の継承と臨時政府の法の正統をつなぐという憲法前文と真っ向から背く」と批判した。


http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/40207.html
「The Hankyoreh」 2021-06-08 08:04
[社説]最高裁判例を否定し「荒唐無稽な論理」を展開した強制徴用判決

【写真】7日午後、ソウル瑞草区瑞草洞のソウル中央地裁で強制徴用被害者遺族のイム・チョルホさん(左)と対日民間請求権訴訟団のチャン・ドクファン代表が、強制徴用損害賠償請求訴訟の却下判決を受け、控訴の意思を明らかにしている。強制徴用労働者と遺族85人が日本製鉄、日産化学、三菱重工などの16の日本企業を相手取って起こした損害賠償訴訟の一審で、ソウル中央地裁民事合議34部(キム・ヤンホ部長判事)は、日本企業を相手取り訴訟を起こす権限はないとして却下判決を下した/聯合ニュース

 日帝による強制徴用被害者と遺族85人が日本企業16社を相手取って起こした損害賠償訴訟で、ソウル中央地裁は7日、「日本企業を相手取って訴訟を起こすことはできない」として却下判決を下した。2018年に日本企業の賠償責任を認めた最高裁(大法院)全員合議体の判決と真っ向から反する上、荒唐無稽な論理を結び付けた異例の判決だ。
 地裁は、1965年に韓国政府が日本の資金支援を対価として対日請求権を放棄した韓日請求権協定の文言と締結経緯などを考えれば強制徴用被害者も協定の適用対象になると判断した。しかし最高裁は、請求権協定文や締結過程で日本の植民支配の不法性に言及する内容がないため、強制徴用といわれる不法行為による被害は韓日協定の適用対象ではないと明確にしている。今回の裁判は、植民支配の不法性すらも「国内法的解釈」にすぎないという態度を示した。
 地裁はまた、「自由民主主義という憲法的価値を共有する西側勢力の代表国家の一つである日本との関係が損なわれ、これは結局、韓米同盟によって韓国の安全保障と直結した米国との関係悪化にまでつながりかねない」「請求権協定で得た外貨は、いわゆる『漢江の奇跡』に大きく貢献した」など、一方的な「政治外交的」価値判断を判決に介入させた。被害者勝訴の判決で賠償の強制執行が行われた場合、「国際的にもたらされる逆効果などを考慮すれば、国家の安全保障と秩序維持という憲法上の大原則を侵害する」という飛躍した論理も提示した。
 法理的側面で今回の判決は、最高裁の全員合議体判決当時の少数意見の二番煎じにすぎない。最高裁がわずか3年前に確立した法理を下級審が新しくもない論理で否定したということだ。これは法的混乱を引き起こし、被害者の権利救済を遅延させるだけだ。
 3年前の最高裁判決も被害者たちが訴訟を起こしてから13年8カ月を経てようやく出たもので、「晩時之歎(時機を逸した嘆き)」を呼び起こした。朴槿恵(パク・クネ)政権が2012年の原告勝訴の最高裁判決を覆そうとしてヤン・スンテ最高裁と裁判取引を行ったことは、司法壟断の象徴的事件ともなっている。司法府がこのように強制徴用被害者を何度も傷つけておいて、またもや法廷で挫折を味わわせるとは、あまりにもひどい仕打ちだ。本法廷は今月10日に予定していた判決宣告を、「法廷の平穏と安定などの諸般の事情を考慮して」、この日へと突然変更している。これもまた裁判の当事者たちを尊重する態度ではない。今回の判決は、上級審で速やかに正されるべきだ。
(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/998369.html
韓国語原文入力:2021-06-08 02:09


http://japan.hani.co.kr/arti/politics/40210.html
「The Hankyoreh」 2021-06-08 07:16
■強制徴用訴訟で却下の判決、韓日関係に影響及ぼすか
 一審判決が最高裁の全員合議体の結論を全面否定 
 専門家、裁判所が「外交」を考慮した「異例の判決」 
 韓日関係に肯定的な影響を与えるかは未知数

 政府は7日、日帝強占期(日本の植民地時代)の強制徴用被害者が日本企業を相手に起こした訴訟にブレーキをかけた裁判所の判決について、韓日関係などを考慮し日本政府と協議を続けると明らかにした。
 外交部当局者はこの日、判決について「関連動向に注目している」とし、「政府としては、今後も司法の判決と被害者の権利を尊重し、韓日関係などを考慮しつつ、両国政府とすべての当事者が受け入れ可能な合理的解決方法を論議する場について開かれた立場で日本側と関連協議を続けていく」という立場を示した。
 この日、ソウル中央地方裁判所第34民事部(キム・ヤンホ裁判長)は、強制徴用被害者のSさんと遺族など85人が日本製鉄・日産化学・三菱重工業・住石など日本企業16社を相手に起こした損害賠償請求の訴えをすべて却下した。裁判部は1965年の韓日請求権協定(第2条)が「個人請求権の完全な消滅まではいかないが、『大韓民国国民が日本や日本国民を相手に訴訟で権利を行使することは制限される』という意味だと解釈するのが妥当」だとみなしたからだ。裁判部はウィーン条約(第27条)を挙げ、「植民地支配の不法性を認める国内法的な事情」だけで「請求権協定の『不履行』を正当化できない」とし、請求権協定に相反する発言や行為は「国際法上の禁反言の原則(すでに表明した自分の言動に対し矛盾する行為はできないという原則)に違反する可能性が高い」と説明した。
 たとえ一審だとしても、これは2018年10月の「強制動員被害者の損害賠償請求権は『朝鮮半島に対する不法な植民地支配および侵略戦争の遂行に直結した日本企業の反人道的な不法行為を前提とする慰謝料請求権』であるため、請求権協定の適用対象には含まれない」と判断した最高裁(大法院)の全員合議体の判決(2013タ61381)と相反する結果であるため注目される。最高裁は当時、日本企業の新日鉄住金(旧・新日本製鉄)に対し強制徴用被害者にそれぞれ1億ウォン(約980万円)を賠償するよう命じるソウル高裁の判決を確定している。
 今回の判決で特に注目されるのは、裁判部が「外交的考慮」をした部分だ。裁判部は請求が容認され強制執行まで進む場合、「国際的に招きかねない逆効果などまで考慮すれば、強制執行は国家の安全保障と秩序維持という憲法上の大原則を侵害することであり、権利の濫用に該当し容認できない」と判断した。2018年の最高裁の強制徴用への賠償判決後、日本政府の反発で韓日関係が悪化し、今なお回復できていない状況を積極的に考慮した形だ。裁判部は説明資料で「(裁判所が)憲法機関として憲法と国家、そして主権者である国民を守護するために、このように判決するしかなかった」と付け加え、そのような見方に重みを加えた。これについて、韓日の戦後補償訴訟に長年にわたり参加してきたイ・サンヒ弁護士は「大統領と外交部が悩むべきことを裁判部が行った」とし、「極めて異例」だと述べた。イ弁護士はこの日、判決結果について「日本の最高裁の判決をそのまままねた」とし、「禁反言という一般法理を取りあげ訴えを却下するのは差し控えるべきだ」と批判した。聖公会大学のヤン・ギホ教授も「20年前の日本の最高裁が判決した議論と同じだ」としながらも「一審であるため象徴的な意味はあるかもしれないが、控訴すれば(事案の)本質は変わらないだろう」と見通した。
 政府内では、今回の判決が韓日関係に特別な影響を及ぼすとは考えない雰囲気だ。一部では11~13日に英国で行われる主要7カ国首脳会議(G7サミット)での韓日首脳会談または韓米日首脳会議の推進に肯定的な要因として作用するのではないかという見方も出ているが、「そのような可能性は低い」というのが政府関係者の説明だ。政府内では、今回の判決自体が韓日関係悪化の要因として作用する可能性はないという点で多少は安心している様子だが、いずれにせよ日本政府は強制徴用被害者の訴訟は成立しないという立場を堅持しているため、特に好材料として作用することもないという判断だ。
キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/998371.html
韓国語原文入力:2021-06-07 18:55
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